特に自作キーボード界隈では、
「親指シフト」を、
「親指エンター」や「親指BS」と同じジャンルの言葉に、
使い始めているような気がする…
日本の自作キーボードシーンは、
海外の高級カスタムキーボードがメイン(に見える)の流れと違って、
・左右分割
・親指クラスタの活用
が目立つ。
最初に「これはおもしろい」と飛びついたLet's Sprit、
それのクローンぽい配列のHelixが、
界隈の初期ベクトルを決定づけたと思う。
左右分割のメリットはここでは語り尽くせないほどで、
一体型使ってるやつはよほど窮屈な理由があるのだろう、
と僕は思っている。
唯一の欠点は持ち運びだが、
僕は最小クラスのMiniAxe、
かつケーブルをすべてマグネット化してるので、
ほとんど不便に感じない。
(TRRSケーブルだと抜き差しが面倒かもね。
MiniAxeはUSB microBなので、マグネットが使えるのだ!!)
左右分割型のメリットに、
親指クラスタがある。
ひとつの親指に対して、
3から5キーほど割り振るのがふつうだろうか。
ここに、
エンター、BS、レイヤーキー、
シフト、Ctrl、Alt、Win、
英数、かな、
カーソル、ESC
などの良く使う機能を割り振るのが、
自作キーボードの最大の魅力のひとつだ。
(これがなかった頃は、
AutoHotKeyなどで、
変換、無変換、カナキーあたりに、
色んな機能を割り振っていた。
それの拡張版だ)
この親指クラスタ(+レイヤー)の登場によって、
キーボードはパラダイムシフトをしたと思う。
親指で何かを押しながら、
残りの指で何かを押すとか、
親指単独で、だいぶ遠くを押さなきゃいけなかったやつを近くにする、
などによって、
キーボードは一段階別の便利な道具になる。
それを一言で伝えるため、
「親指エンター」「親指BS」などの用語が生まれ、
その中のバリエーションとして、
「親指シフト」が最近使われるようになってきた。
これは、古参には違和感がある。
登録商標があるかは知らないが、
「親指シフト」は、
富士通が80年代のワープロから使っている、
独自キーボード&独自配列の固有名詞だからだ。
「正式名称NICOLA配列なのだが、
これだとわかる人しかわからないし、
親しみやすくないし、
名が体を表した方がイメージしやすいし、
しかし狭義の、親指キーを押しながらキーを押す方式ではなく、
親指キーとキーを同時打鍵する、
広義のシフト方式なのだが、
それを一々説明してると伝わらないので、
縮めた用語としての」
親指シフトなのだ。
親指シフトは、
スペースキーに当たるところが二つに割れていて、
親指左キー、右キーとよぶ。
ふつうの押し方、左キーとの同時打鍵、
右キーとの同時打鍵の、
計3レイヤーに拡張して、
30キーの範囲内に50音カナを収めた配列だ。
方式が画期的ゆえにワープロ時代は一番の普及を見た。
JISカナよりもqwertyローマ字よりも合理的である。
だがWindowsに搭載されなかったため、
徐々に下火になり、
先日公式サポートが打ち切られた。
いまでも当時の世代の人や、
新規参入者(主にブロガー)を中心に使われていて、
親指シフトをPC上で実現するエミュレータや、
qmkに親指シフトNICOLA配列を搭載した作例もある。
で、
キャッチーな「親指シフト」という用語が、
自作キーボードの上で交わってしまっている。
どちらも、キャッチーさを求めてその用語を使ってて、
親指クラスタ側は、
富士通の親指シフトを知らずに言っているんだと思う。
そして多分、自作キーボードやってる人の方が、
いま「親指シフト」を沢山発言しているはず。
富士通の親指シフトが淘汰されつつあるのだ、
という俯瞰した見方もある。
元祖親指シフターは、
この現状を打破されたい。
僕個人の意見をいえば、
親指シフトはその後の優れた配列よりも、
運指効率が劣るため、
今積極的にマスターするべき配列のリストからは外れると考える。
だから、淘汰されるんだろう、と大局的に見ている。
親指シフトやるくらいなら、
僕のおすすめはもちろん薙刀式だ。
紅皿でも対応したし、つかってみようぜ。
(ダイマ)
親指キーで色々できるのは超便利なので、
親指クラスタを活用するのは、
それと関係なくぜひおすすめ。
(一回これ出来るようになると、
元のキーボードが馬鹿にみえる)
2021年06月21日
この記事へのコメント
コメントを書く