これは大変難しいパターンだ。
ストーリーというのは時間軸だ。
もとに戻れるのは時間軸による変化ではない。
可逆的なのは「時間」を描いたことにならない。
空間を順番に描き、もとに戻ってくるだけのことだ。
そうではなく、
時間を描くとは、どこかで元に戻れないものを書くことだと思う。
だからストーリーの中では、
もとに戻れない変化がある。
人が死んだり、生まれたり、
会社がつぶれたり、家を追い出されたり、
気持が変わってしまったり、
人生観が変わってしまったり、
何かを失ったり、得たりする。
それはストーリーのきっかけであったり、
結果であったりする。
ある変化をした結果、二度と戻れない変化になってしまうこともあるし、
二度と戻れない変化をしたから、二度と戻れない変化になることもある。
ふつうのストーリーは、
まだもとに戻れる変化からはじまり、
ついに二度と戻れない変化へと至る。
しかしそれではゆっくりでインパクトが足りないから、
二度と元に戻れない変化から始めるパターンもある。
妻が死んだところから始める。
振られたところ、別れたところから始める。
家がなくなったところから始める。
会社や部がつぶれたところから始める。
殺人事件から始める。
ニューヨーク壊滅から始める。
失うことが一番やりやすい。
「次にどうするのか」を力強く書けるからだ。
逆に、力強いストーリーをつくったら、
最初に失うところから始めると、
立ち上がりのベクトルを作りやすいと思う。
生まれたところからやってもよい。
ようやくつくった会社のスタート。
部活、家、家族、息子、などのスタートだ。
出会って即片思いするラブストーリーなどもそうだ。
新しい都市やアミューズメントパークのオープンもか。
これらはすでに力強いスタートを切っているから、
初期ベクトルを持っている。
ただしその威力が落ちたとき、つまりそれに飽きたときに、
次のストーリーの勢いを保てるかが、継ぐポイントとして難しいと思う。
いずれにせよ、
穏やかな変化、もとに戻れる変化から始めるよりも、
インパクトがあり、スタートダッシュが効く分、
ヒキが強い。
ただそのあとの力強い行動へとつなぐことが、
パワーを落とさずにすることが難しいだけだ。
だから一度練習として挑戦しておこうぜ、
というのが今回の提案だ。
それが自分にとって難しいならば、
いつもの緩やかなスタートで始めればよい。
ただ、パニックから始める方法をマスターしておくと、
始め方のバラエティが出て、
飽きられない手法となるだろう。
ストーリーは山と谷の連続だが、
それをどうコントロールするか、
ということに究極的にはなってくる。
谷から始めるか、山から始めるかだ。
谷から始めれば山を登るのが楽しくなるが、
山から始めると、谷へ降りるのが面白くなくなる。
上昇を面白く描くか、下降を面白く描くかだ。
うんこ映画実写「ガッチャマン」は、
インパクトのあるバトルオープニングだが、
そのあとの谷がひどい。あまりにも詰まならくて眠気が襲ってくる。
(そのあと一度もオープニングを超えることなく終了する)
山から始めて、そこがピークだった例として記しておく。
結局、ラストのピークと比べて、
全体がどうか、ということに最後はなってくる。
元に戻れないポイントから始めるのは、
ラストのピークとの兼ね合いという計算をしておくといいだろう。
2021年06月28日
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