2021年06月29日

【薙刀式】キーボードを使えば使うほど沼に行く

そんなに使ってなかった頃は、
キーボードなんてなんでも良かった。
論理配列というものがあるのも知らなかった。
並んでるボタンを見て押せばよかった。

でも、使えば使うほど、
キーボードへの感度が上がって、
「こんなの使い物になるわけがない」
の基準があがっていく。


押下圧は、50gだろうが60gだろうが関係なかった。
メンブレンとパンタグラフしか知らなかったら、
ストロークの短いパンタグラフでいいや、
というくらいしか自分の中の分解能がない。

それが静電容量、リニア30g、15gときて、
スロースプリング55g(ボトム値。アクチュエーションは30g程度)が、
今の僕の基準になった。

プロファイルも、PBTも知らなかった。
チェリー、OEM、DSA、SAを遍歴したり、
親指キーだけ自作したりして、
「各指に合わせるべき」と、
3Dプロファイルキーキャップを自作している。

100%かTKLしか知らなかった物理配列は、
80%、60%で、
Fnとの組み合わせをすれば行けることをわかり、
40%でホームポジションから動かない運指法を知る。
現在は36キーで何も不自由ない。

左ロウスタッガードで左手を痛めてからは、
左右対称であるべきと考えるようになる。
僕の左手が左に捻られて付いてるならロウスタッガードでも構わんが、
キーボードを沢山使うなら、
左右対称がふつうだろ。

コラムスタッガードよりも格子配列が好き。
一体型では手首の捻りはよくならない。
左右分割で手首はまっすぐするべき。
一体型+ハノ字は慣れない。肩が開いた方がいいみたい。

パームレストは昔凝ったけど、
なくてもいけるキーボード+キーキャップで、
なしで行けるミニマルなスタイルになっている。


論理配列は、
qwertyローマ字の無駄さに激怒して、
カタナ式をつくり、
下駄配列、飛鳥配列、新下駄配列、親指シフト、
新JIS、JISカナを試した上で、
薙刀式をつくった。


打鍵方法も、
カチ…カチ…カチ…から、
カタカタ…カタカタ…に、
ダラララ…カタカタ…ダダダ…に、
そして、
ロロロロロロロロ…
になってくる。


エルゴノミクス。

キーボードを使えば使うほど、
無駄な力を使うことを嫌うようになる。

無駄な力を使わなくなると、
キーボードをもっと沢山使うようになり、
さらに無駄な力を使わなくなる。
そうするともっと沢山キーボードを使うようになり…

というループになる。

僕はqwertyローマ字オンリーで、
既成のキーボードを使ってた、
何も知らなかった頃に比べて、
何倍も文字を書くようになった。

仮に3倍とすると、
僕は3倍のエルゴノミクスに成功したのだ。


だからといって、
創作量は3倍にはならない。
質と量は比例しない。
だけど、試行錯誤するエネルギーは格段楽になっているから、
質はめちゃくちゃ上がってると思う。

量は変わらないとしても、質が上がることは、
キーボードのエルゴノミクスで、
あまり議論されていない事だ。

昔はキーボードに向かうことは嫌だった。
今は苦ではない。
その差はとても大きいと思う。


キーボードは、使えば使うほど沼に行く。

既製品から高級キーボードへ。
キーキャップやスイッチ交換へ。
スイッチのルブやバネ交換やフィルムなどのスイッチ改造へ。
キーマップ改造へ。
自作キーボードの物理配列やキーマップ改造へ。
論理配列の変更へ。
ローマ字配列からカナ配列へ。あるいは漢直へ。
3Dエルゴノミクスの検討へ。

効率をよくすればするほど、
キーボードを沢山使うようになる。

どれが何%効率化できるかは人によるので、
どの要素が効くかはやってみるしかない。
しかし、
「キーボードを効率化したら、
もっと使うようになったので、
もっと効率化できないかと思う」
沼が沢山存在してて、
結局は全部の沼に足を入れないと、
答えは見えてこないような気がする。

なにせ、使えば使うほど沼は深く広くなる。
自分の分解能があがるからだ。

沼の最深部の人は、つまりは、
キーボードを沢山使う、
分解能が高い人なのだ。


僕は最深部にはいないだろうけど、
相当深いところにいる自覚はある。
(遊舎の店員さんに、
初心者さんに「だいぶ深淵の方です」と紹介されるくらいだ)

それは、たくさんたくさんキーボードを使ってきたし、
これからも使うだろうからだ。


今のところ薙刀式は安定しているが、
時々もっといい手はないかなあ、と入れ替えることもある。
DvorakJより速いエミュレータでしか分からない効率が、
あるような気もする。
(紅皿、AutoHotKey版だととても速いので、
考えることと打鍵の関係が変わってきたような気がするが、
まだ言葉になっていない)

キーキャップとキースイッチはまだこれ以上はない、
まで来てない気がしている。


沢山使えば使うほど、
効率の沼に入り、
それゆえにまだ効率化できることがあることに気づく。

5000字/hはひとつのゴールだろう。
ぼくは6000くらい行く時もある。
内容次第だけど。

自作キーボードやったり、
高級キーボードやる人は、
なぜかそうした生産量や速度を書かない。

タイパーはゲーマーとして僕は無視する。
h当たりの生産量を知りたいのだ。

少なくとも10分速くらいは知りたい。
1000字(変換後)/10分くらいの人も、
ほぼ見ない。
僕は1200〜1500がアベレージで、
調子いい時は2000に手が届く。
でも一時間書くときは、そこまで速くならない。
考える時間の方が長いからね。

それを何日も続けるときの、
手指腕肩首腰の、疲労についてもエルゴノミクスしたいのだが、
それを突き詰めている人があまりいなくて残念だ。

なので、わかったことを発信して、
もっとみんな沼に来いよ、
ということを言いたいわけだ。


僕はキーボードに関してもっと知りたい。
もっと使い、もっと書きたい、もっと楽したい、
そしてもっと使いたいわけだ。

自作キーボード界隈は、あまりそうは考えてないみたい。
配列界隈は、開発が終わったらその後の通信が途絶える傾向にある。
(タイパーの継続的結果しかないなあ)
作家系は、高級キーボードか論理配列変えただけでそれ以上追求してない。
エミュレータ開発者系は、作家とかブロガーとかではないようだ。

沼はもっと深くて広くて面白い。
分断せずに往来すればいいと思うんだ。
posted by おおおかとしひこ at 12:01| Comment(0) | カタナ式 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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