ログラインを見ましょうか。
「患者を救えなかった元カウンセラーが、
ARキャラの願いを叶える」
となっています。
大岡式の原則には当てはまっていますが、
中身はこういうストーリーだったかな。
患者を救えなかったことは、
なんとくオープニングで示されたままでした。
本編中に使っていないアイデアです。
富士山の頂上で侍に傷ごと切られたようですが、
それがどういう意味があるのか、
まったく我々には知る由かありません。
AR侍であるカゲロウがなぜ切ったのか、
その切る行為は、カゲロウの成仏でしかありませんでした。
本来ならば、
切るというクライマックスが、
カゲロウの問題を解決し、
主人公さくらの問題を解決しないといけないと思います。
さくらはただカゲロウに付き合っただけで、
患者を救えなかったことはなんの関係もありません。
最初は押し付けられた仕事だったが、
実はこれは救えなかった患者を救うことと同じことなのだ、
という風になるのが理想でしょう。
そうなっていないのはなぜかは分りませんが、
文字数に対して描写が多すぎて、
本題にたどり着く前に文字数がオーバーしているように思えました。
これは表現力の問題ですが、
ストーリーと密接に関係していると思います。
外見の描写が多かったけど、
それほど記憶に残るような新しい絵ではなかったことも、
大きいかもしれません。
どこかで見た絵ばかりだから、
おそらく誰でも想像できる。
ということはそこは省略できると思います。
思い切って切ってみますか。
赤は新しく書き直したところ、水色は順番を変えたところです。
before: キル.pdf
after: キル赤入れ1.pdf
さてこれであと2分ぶん、書けることになりますね。
逆に、内容としては13分程度のものが、
描写によって水増しされていたともいえます。
描写は、新しく想像できないものは細かく書いてもいいですが、
わかるもの、見たことあるものは省略しても話は通じます。
どうせセリフである程度わかるので。
あとオープニングは、
セリフを立たせることで、何が起こっているのか分りやすくしています。
どこにも伏線がなかったので、
ほとんど省略できていることに気づかれたいです。
診療所が狂った患者に襲撃され、
カウンセラーが犠牲になることは、
新しい絵ではないと思うので。
むしろ、なぜ襲ったのか、
どういう経緯があったのか、
ここで分りたいとすら感じました。
(これはあとで足してくことになると思います)
この第一稿では、
絵で精いっぱいで、
話の中核に入り込んでいく感じがしませんでした。
シナリオは絵の設計図ではありますが、
それは話の中核が出来てからの話です。
脚本の教室では、描写は簡潔に、と求められることがあります。
それは、話の中核だけをつくる練習をするためです。
さて、絵を切り詰めることで、
話が丸裸になったかな。
次回、その話を分析しましょう。
変わらず脚本執筆の参考に愛読させて頂いてます。
現在、コンクール応募に向けて執筆中の作品に、本記事はとても参考になりました。
現在リライト中ですので、応募前に省略できる描写を炙り出してみたいと思います。
プロとしての活動経歴がないと、どうしてもト書き、柱、これで読む人に伝わるのだろうか?
と不安になります。
恐らくそれは、自分だけではないと思います。
また、脚本教室の指導も一つの原因だと思います。
自分の通っていたクラスは、10分の課題習作提出がありました。
そこで、「ト書きにないことは映像に写らない」理念のもと、兎に角描写が足りないことを指摘されました。事実、足りていないものもあったのでしょう。
例えば、
○桜川中央病院・全景
○同・病室
とした際に言われたのは、桜川中央病院の看板がある、というト書きを入れるように指摘。病室の柱では、病室の後に病室内のシーンならば
○同・病室・中
とまで描かないとダメ。
といった指導を繰り返し受けました。
そういった要因で、結果、描写が過剰になる。。。
で、よく思ってたのが、プロのシナリオは結構省略されてるよな、と思ってたんです。
その理由が本記事でよくわかりました。
まったくどうでもいい指導ですね。
教えるレベルが低いと思います。
姿勢が悪いのに化粧をけなしてるレベルですね。
まあ根本的に無理だから、
せめて化粧でも整えとこ、なのかも知れません。
面白ければ化粧はどっちでもいい、
というのが僕の立場です。
社会人になるには、スーツや名刺のマナーを先に教えておくべきか、
ビジネスとは何かを考える場を先に持つか、
みたいなことで、
僕は後者ですね。
面白ければ化粧はどっでもいい
これを指針に自作のリライトに
取りかかりたいと思います。
ありがとうございました。