2021年07月27日

【脚本添削SP2021】5: 構成

構成というのは、
三幕構成理論を眺めていてもできるものではないです。


ひととおりストーリーを書いてみて、
どこが一幕、二幕、三幕にあたるのか、
その配分はいけてるのか、
その境目の第一ターニングポイント、
第二ターニングポイントは機能しているのか、
という「診断」に使うものだと思います。

さて。今回のリライト版のお話を、
プロットとして俯瞰してみましょうか。


さくら、依頼を受ける。
AR侍、カゲロウの様子がおかしいと。

バグではないらしい。AIに魂が宿るかはわからないが、
よみがえった侍が変だというのだ。
問診を試みるさくら。
統合失調症(?)のおそれ。
ためらいながらも、その症状を告げるさくら。
私に治療が出来るのかどうかは分らないけど、と。

プログラマーのタケルとともに、
失われた台本を探す。
お蔵入りしたフィルムは手に入ったが、
その後のストーリーが分らない。
「オレ、落ちわかったんだけど」とタケル。
「この侍、実は狂っていた、って話じゃない?」と。

知り合いをたどって、ついに台本を入手した二人。
さらわれた息子はいなかった、
それは幻覚だった、という悲惨な落ちがわかる。
侍は子供のころ山賊にさらわれた経験があった。
そのころに親を惨殺されたことも。
本人はそのことを忘れていて、
その歪みが「息子を山賊にさらわれた」ように幻覚を見せているのだと。

さくらはなぜカウンセラーをやめたかを話す。
親友に統合失調の気があったのに、
言えなかったこと。
そのことで親友の症状が進み、妄想に取り憑かれて、
刃物で襲われたこと。
首の傷はそれだったこと。
「今度同じことをしちゃいけない」

山賊が根城にしているという富士山頂に登る。
そこで、幻の山賊を斬る。
大体富士山に登るのどんだけ大変なんだよ、
おかしいと思わなかったのかよ、
などとタケルの突っ込みが入る。
だが、
山賊を斬ったことで、
昔の記憶がカゲロウによみがえり、
息子はいなかったことを実感する。
「やっと山賊を倒せた」と笑顔になるカゲロウ。

ARの中のカゲロウから、魂が消えたように、
プログラム通りの反応しかしなくなる。
たぶん成仏したんだろう。
富士山を眺めるさくら。
入院している親友のところに、会いに行く決意をする。
「私は私の富士山に登りにいかないといけない」




三幕構成理論に当てはめると。

一幕
さくらが依頼を受けるまで。
一度断るけど、勇気を出して症状を告げる、
というシーンが第一ターニングポイントになるかな。
でもまだ実情は明かさない、
というパターンにしますか。


二幕
冒険の内容は、
「心に問題をかかえた侍の調査と解決にむけて」ですかね。
前の版では中盤が薄かったように思います。
それを、
フィルムを手に入れる、
台本を手に入れる、
秘められた過去、
のようにみっつに増やしています。
そして、今回は失敗したくない、
というのが強力な動機をもってクライマックスに行くわけです。
(第二ターニングポイント)
これが第一ターニングポイントとペアになることで、
物語の構造が分かりやすくなっています。

「秘められた過去」のパートは、
そもそも前の版ではオープニングにあったものですが、
これが中途半端でした。
もっとガッツリ描くために、
中盤にもってきます。
そのぶん一幕に空間があくので、
じっくりとしたセットアップができそうです。


三幕
富士山での決戦。
似顔絵の落ちはよくわからなかったので、
さくらの決断で締めることにしました。


これ、15分でまとまるかなあ。
やってみましょう。
あ、その前に、タイトルどうしようかな。

次回。
posted by おおおかとしひこ at 00:03| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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