2021年07月28日

【脚本添削SP2021】6: タイトルとテーマ

タイトルがよくわからないものって、
結局テーマがはっきりしていないものだと思うのです。


元の版では、「キル」でした。
何かを殺すkillの意味と、斬るの重ね合わせだということは分りますが、
じゃあ、何を殺すのか?です。

幻の山賊を殺すこと?
それは自分のトラウマ的な何かを殺すこと?
なぜ山賊の幻があるのか、
前の版ではよくわかりませんでした。
悲劇ゆえに、というのはありそうだったので、
足してみた部分です。

このように、
良くわからないタイトルというのは、
本編のあいまいさを引きずっていることが多いです。

あいまいなものと、想像が広がるものは異なります。
あいまいなものは、
本編に想像するだけの材料がなく、
想像したとしてもそれだと確信ができないものです。
想像が広がるものは、
本編中に根拠があり、
「このようにも想像できるし、
こう想像しても正解だ」
と「確信」できるものをいいます。

作者の中で決まってないことを想像するのは、
こちらが補完してあげているときだけです。
楽しんでいるとはいえません。

「あの子は俺を好きなのかな、どっちだろう?」
と想像が膨らむ時は、
その子が好きな素振りを見せながら、
いや、その他大勢の一人に対した態度にも見える、
というときです。
「何も情報がない時」ではありません。


では何があいまいだったのか?
テーマでしょう。

前の版で、このストーリーのテーマは?
と改めて問うても、なかなか出てこないでしょう。

「トラウマに向き合うと幸せになれる」
ということでもないでしょう。

そうしたことを描こうとしていた感じはありますが。
テーマはテーゼの形(PはQであるの形式)で書くとよいです。
ほんとうにそれを書いていた?ということをチェックしやすいからです。


僕の版では、
どういうテーマでしょうかね。
「失敗をもう一度繰り返さない」みたいなことかな。

だとすると、
カゲロウも何か大きなミスをして山賊に襲われ、
家族を失った、
ということがありそうですね。
じゃあ、
「ミスをすることはある。でもそれがわかったら、繰り返さないことだ」
というテーマになりそうです。

こうして、
テーマからエピソードや台詞が生まれることは、
よくあることです。

じゃあ、これにふさわしいタイトルってなんだろう。

とりあえず、
「富士山の侍」
で行ってみようかな。

ヒキがありつつ、テーマを絵で象徴している、
ということが重要だと思います。


では書いてみましょう。
しばしお待ちを。
posted by おおおかとしひこ at 00:02| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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