2021年07月30日

【脚本添削SP2021】8: 詳細解説

原稿と一対一で説明したほうがいいと思ったので、
書き込んだやつをつくりました。

カラースキャナーがないので、
アイフォンカメラ+オフィスレンズで失礼します。
赤字解説.pdf


なお、
生原稿がこれです。 手書き原稿.pdf
僕はだいたいA4一枚で800字強くらい書くことが分っているので、
5枚書けば10分、くらいの感覚で書いています。

あとは大体書いた疲れで、
どれくらいの分量書いたかなあ、
ということがわかります。
とはいえ、15分予定で14分、
程度の誤差ですけどね。

どちらにせよ、
この紙の割り方のほうが、ストーリーをよく分割していることがわかります。
一幕が1枚半、
二幕が半枚+半枚+一枚の2枚相当、
三幕が1枚半、
というバランス。

多少の文字数の前後はありながら、
この感覚で書いていることが明らかになるでしょう。

この「紙という枠を感じながら書く」のは、
アナログならではの感覚です。
「あのへんで終わりだから、
これくらい書いておこう」という感覚が使えるわけです。

デジタルの「無限に続く紙」ではこの感覚は使えません。
これくらいまで来たから、次はちょっとはしょろうかとか、
ちょっとここはじっくり書こうとか、
感覚で感じながら執筆が出来るのは、
アナログならではです。

書き終えた紙が手元にあるから、
全体を掴みながら書いていけることも大きい。
そうだな、一幕はこれくらい書いて1枚半か、
じゃあ三幕はこれくらいの内容がいるなあ、
などと、手で枚数を感じながら書いていけます。

紙の端を身体で感じながら書くことができます。

僕がデジタルで書くことを否定するのは、
こうした車幅感覚が使えなくなるからです。
逆にいうと、
こうした「手の感覚」が出来てない人は、
アナログだろうがデジタルだろうが違いを感じない感度でしょう。

そして、デジタルではこうした手の感覚を学ぶことが出来ません。
僕がアナログを推奨するのは、
こうした手の感覚をマスターするためです。

(僕がwordを使わないのは、
横書きだとトップページしか白紙に上から書けず、
途中ページは真ん中から書くため、常に視線が下がるからです。
縦書きだと最後まで行ったあと、次のページに書くと、
改ページ表示でバグります。
これは随分前にマイクロソフトにクレーム入れたんですが、
改善してないですね。
手で紙をめくった方が100万倍直感的)


「何文字」ではなくて、
白紙の枚数でなんとなく全体の流れの量を感じながら書くことは、
プロの書き手として重要です。

あ、はみ出したから削らないと、とか、
足りないから何か足さなきゃ、とかは、
書き終わって数えてからでは対応が遅れます。

書きながら調整して、
終わるころに帳尻を合わせるのが、
プロの書き手です。
いちいち行ったり来たりせず、
一発で終えるのが、プロの演奏というものです。

執筆は演奏に近く、
プロットは楽譜に近い感覚です。
体感でリズムを測り、ちょうどで終えるのがプロの演奏です。


全体を5枚で考える。
15ページではなく、5ブロックで。
このストーリーがうまく整っているのは、
そうしたリズム感に支えられています。

実は多くの脚本構成理論よりも、
このリズム感のほうが本質的かもしれないですね。


次回は、元の版と大岡版での、
プロットの比較をしてみます。
posted by おおおかとしひこ at 00:03| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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