先日薙刀式でつくったものを、各配列でつくってみた。
ついでにシフト部分も足してみる。
各文字の頻度を、文字の面積に比例させる図をつくる。
つまり、頻度の平方根が級数に比例している。
ざっくりいえば、大きいほどよく出る文字、
小さいほどめったに出ない文字。
(0.1%未満の頻度のものは表示していない)
清濁同置配列は清濁ぶんを同じカナに足す。
別置は清音と濁音を別に集計。
拗音に関しても同様。
また、BSとエンターを全体の8%として見積もった(僕のタイプカウンターの集計)。
シフト使用率も大きさで示す。
時代順に並べたほうが分かりやすいと思ったので、
それで見てみよう。
【JISカナ】
ホームポジションが意味をなしていない。
なんだこの左上に偏った分布。「う」は最上段で遠すぎるし、「か」「ん」のTY位置は拷問だろう。
小指シフトが案外多い。(左は句読点がほとんど)
そして右小指の範囲の広さ、そしてよく使うくせに遠すぎるBSとエンター。
ブラインドタッチをやらせる気がないとはいえ、
じゃあ、これが熟練したときに、効率がいいとでも思っていたのだろうか。
【親指シフト】
JISカナを批判するだけの合理性を備えている。
三段におさめた合理性、
各手の中央部によった頻度、近くなったBS。
しかしこれがベストとは、現代の肥えた目からは言えないと思う。
左手小指、左手薬指、右手小指は使いすぎだと思う。
下段の頻度を極端に下げているのはいいとしても、
TYGHを使いすぎじゃないか。
あと親指の負担が多すぎない?
これがqwertyよりも打ちやすいが、
そこまで速い使い手が現れない理由ではないか。
案外親指シフトは疲れるのではないかと思った。
【新JIS】
当時先行していた親指シフトを批判する形でつくられたものだと思う。
センターシフトはどちらの親指を使ってもよいから、
負担の軽減に一役かっただろう。
操作体系もなるべくシンプルにしようとする配慮がある。
でも意外と人差し指上段を使いすぎているだろうな。
あと小指伸ばしの「な」、BS、エンターが遠すぎると思う。
【月】
新JISを現代に蘇らせようとした月は、
さすがのバランスになっていると思う。
なんだか字の大きさが、指のバランスに近づいてきている。
おそらく、このあとに、アルペジオなどのもっといい運指が研究されたのだろう。
単純な指頻度としては、なかなかの美しさだ。
【飛鳥】
ホーム8きーにすべてを。残りを薬指中指上段に。
その集中的な指の使い方が透けて見える図となった。
連続シフトによるアルペジオ運指の発見は、
指自体は気持ちよく合理的にしたが、
親指の使用を増やすあだ花となったように思う。
でも指をあんまり動かさずに打てるから、
おそらく気持ちいいのだろうと想像する。
しかしちょっと覚えきれんよね。
【新下駄】
新下駄は統計に徹底的にもとづいてつくられた、
美しい配列。
中段に頻出が集まっていて、
飛鳥よりさらに洗練が進んだように見える。
シフトは★で示した。拗音は図がややこしくなるので省略。
これで運指がアルペジオになっていたりして、合理化されているんだぜ。
速くて当然だね。
でもやはり僕には複雑に見える。
これを丸暗記するのはちょっと無理だな。。。
【薙刀式】
飛鳥と新下駄の後にこれを見ると、
「ほんとに全部入ってんの?」とやや不安になってしまうくらい、
シンプルな均整が取れているように思う。
BSやエンターの頻度も考慮した全体のバランスがすばらしく見える。
コンパクトなこと。
これが薙刀式の特質だなあ。
ヒートマップと配列図を同時に重ね合わせられないか、
ってずっと思ってたんだけど、
文字の大きさで表現すればいいんだ、
と気づいて、つくってみた。
なかなかいろんな見方を提供してくれるものになったと思う。
(追記)
英語や追加のカナ配列もつくってみた。
http://oookaworks.seesaa.net/article/483016742.html
同じ大きさの文字で作った配列図よりかえって見やすくて概略図としては優れていますね。
拝見しました。
触ったことない僕でも、
「へえ、月見草はV字型に手を使うんだなあ。
やってみたかったやつだ」とか、
「左手はシフトキー専用にしつつ、要所のカナか」とか、
「『ょう』があそこか」「『たい』は打ちやすそう」
なんてぱっと見でわかるので、我ながらいいアイデアだと思います。
新配列の優位性であるところの、
指の使用度の合理性なんかは一発で伝わるし、
分かる人にはその配列の骨格的なものまで見えるので、
ヒートマップ+呪文のような配列図より優れてるなあと思いました。
マイナー文字を視界から消してくれるのが良いなと。
はじめにこの大きさの違う文字のブロックがあれば、
机に並び替えながら配列を作れたのでは…
次作るとき(あるのか?)はそうするかも。