2021年08月12日

【薙刀式】キー数は多いべきか、少ないべきか

フルキーボードは109キーもあるそうだ。
(微妙な前後はある)
こんなに多くていいのか?
それともミニマル系自作キーボードのように、
30キー〜50キーくらいでいいのだろうか?


【ミニマル派閥の主張】
・ホームポジションに手を置いたところから、
 精々1キー遠くまでで操作は完結させるべき
・そのためにレイヤーキーを使い、
 「レイヤーキーを押しながら何か」に全てを当てる
・30キーでも4レイヤーあればおさまるはず
・レイヤーキーをどこに置くかという、
 「複雑さが増えたこと」のデメリットはある
・レイヤーに、ブラインドタッチしやすいように、
 全てを並べ替えられる可能性がある
・キーボードのポータビリティ
・フルブラインドタッチ前提
・距離を最小にする

【キー多い派の主張】
・滅多に使わないボタンは印字ありで脇に置いておきたい
・複雑な押し方になるくらいなら単打で押したい
・デスクトップ前提だから多少広くても良い
・よく使うところだけが整理されてれば良い
・フルブラインドタッチしない前提
・段取りを最小にする

みたいなところだろうか。

これはカナ配列でも対立する考え方で、
新下駄は「とはいえ単打の方が楽」と考えているし、
飛鳥、薙刀式は「ホームキーのシフトの方が遠目の単打より良い」
と考えている。

これは「どちらの手が得意か/直感的か」
という個人の感覚にもよるかも知れない。

広い部屋にすぐに取り出せるように棚に整理するタイプと、
狭いデスクにごちゃごちゃつんで手の届く範囲に全部置きたいタイプ、
のように分けられるだろう。

僕は手の届く所に全部置きたい派なので、
家の机も、
キーボードも、
カナ配列薙刀式も、
ミニマルでレイヤー積みタイプだな。

でもPCのデスクトップは、
わずかのフォルダしか置いてなくて、
かなり深い階層までつくって整理するタイプだ。
ここの生理は逆だな。
デスクトップにファイル置き散らかしてるタイプではない。

一見するこの矛盾に、一貫性があるとすると、
「ぱっと見の情報量を制限したい」
ことがあるのかも知れない。
一度に見渡せる視野角を減らして、
その中で深さ違いで整理する感じか。

真逆の考え方は、
たとえばJISカナや、大昔の漢字直接入力キーボードだろうか。
デスクトップにファイルを置き散らかすのも、
単打で全てを賄いたいかわりに、
視野角は広がっても良いと考えるわけだな。


ブラインドタッチの視野角と、
関係がありそうだ。
一度に扱える、手や意識の、仮想視野角で、
好みが決まるのではないだろうか。

平家の田舎の広いタイプの家は僕は苦手で、
屋根裏部屋とか地下とかにまとまってるタイプが好きだな。
こうした好みは生理的に一貫してる可能性がある。


まあ、もともと、
「ブラインドタッチが出来ない」から出発して、
「自分の可能なブラインドタッチの範囲」内で、
カタナ式や薙刀式をつくったので、
根がコンパクトなんだよな。

薙刀式に慣れると、
ふつうの位置のカーソルが死ぬほど遠くてだるい。
視線を外さないと辿り着けなくて、
よくこんな面倒なもの今まで使ってたなと呆れる。
これをブラインドタッチ出来る人は、
そうは思わないのかも知れないが。

僕はminiaxeの36キー以外は、
ブラインドタッチ出来そうもない。
無理矢理やれば出来るだろうけど、
自然に使い続けるのは無理そうだ。



自作キーボードでも、
数字段いる派いらない派、
ファンクション段いる派いらない派、
カーソルキーの単独いる派いらない派、
機能キーを親指島にまとめる派デフォ位置派、
などの、
キーマップの生理のようなものがあって、
実に面白い。

これに、キーキャップの印字通りじゃないと気持ち悪い派/
別に気にしない派/無刻印なら許せる派
があって、話が噛み合わない場面をよく見る。

あと、
自分用なんだからフルカスタマイズ派/
とはいえデフォルトにすぐ戻りたい派
の対立もある。

生理が違うという前提に基けば、
どちらが合理的で気持ちいいかは、
人によって違うから、
喧嘩する意味はないのだが、
「対立概念で分類して、クラスタ分けができるぞ」
ということは強調していいかもしれない。


個人的には、
HHKBライクな7sProやChoco60や、
入門的なMint60や、Alice配列やAtreus配列を使う人は、
なるべくデフォルトに合わせたい派で、
全く違うレイアウトのキーボードに行き、
キーマップを練る人は、
デフォルトがとても嫌な人たちなのだと思っている。

そのへんは沢山のグラデーションがあり、
二分法で片付けられない所もあるだろう。

カナ配列もそうした面があって、
「自分はこういうのが生理的にいいのだ」
と分かってればすぐ選べるのだろうが、
そこまで分かってる人はなかなかいないと思う。
なので、
「気に入ったやつを使ってみる」
「別のも気になるので使ってみる」
のループから、徐々に自分の生理をわかっていくしかないかも知れない。

その意味で有名な親指シフトに手は出しやすいが、
親指シフトの生理が合う人は全員ではないと思う。

薙刀式が合うという人もいれば、
新下駄が合うという人もいれば、
JISカナが合うという人もいるだろう。
qwertyが最も生理に合う人も0とは言い切れまい。

だけど、異なる生理を押し付けるべきではないし、
異なる生理をずっと使えばおかしくなることは確実だ。

我々が示すべきは、
「様々な生理があり得て、
我々は選択することができる」
だと思う。

自作キーボードの豊かな世界を見ていると、
真の多様性とはこういうことだと、
よく分かる。
世間の狭い炎上は、自作キーボードや配列の世界を見習うべきだね。



ということで、
文字の面積を頻度に比例させた配列表は、
結構直感的で面白いと思ったので、
「選択肢を沢山見せる」という使命感から、
またいくつか作ってみようかと思います。
蜂蜜小梅、TRON、いろは坂あたりは手元に配列表があるんだけど、
ほかに何つくろうかな…
ローマ字系と英語も広げる?
posted by おおおかとしひこ at 13:42| Comment(2) | カタナ式 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
キーボードの物理配列と、
カナ配列のうちで同時打鍵する配列については、さらに、
同時判定の許容遅延時間などソフト/ハード実装上のパラメータと、
各個人が両手指の動きを同期させる際の生理的感覚との相性があるかもしれませんね。調律が必要。
Posted by 417 at 2021年08月14日 04:00
>417さん

困ったことに、
どのようなパラメータが存在して、
どのようなものが自分に合うかは、
「ブラインドタッチしてみないと分からない」
という問題があります。
視覚的なものでは分からず、
触覚的な、しかも「暗闇での触覚」と関係していると思います。

秋葉原の遊舎工房では様々な物理配列の試打が出来ますが、
論理配列は自分で使ってみるまで分からないという。
そういうのをまるっと集めたキーボードカフェが欲しいところですね。
Posted by おおおかとしひこ at 2021年08月14日 13:02
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