2021年08月14日

【薙刀式】IMEのオンオフの総覧

Macでは「かな」「英数」と呼ぶ。
WinではIMEオン、オフと呼ぶのが誤解のない呼び方のよう。

僕はMacのやり方が最もスマートだと思う。


Macの場合、
最下段に、左Command、英数、スペース、かな、右Command、
と並んでいる。対称的でわかりやすい。

CommandはWinにおけるCtrlと同じ機能。
なんとMacの方がショートカットが使いやすい。
これに慣れるとWinのCtrlが遠すぎて使い物にならない。
(左Ctrlを手のひらで打つやり方があるらしい。
そんな方法を開発しなければならない段階で、
WinのCtrlの位置は設計ミスだ)

で、さらに英数、かなはそれより近い。
これだけでIMEのオンオフが出来るのだから、
MacはJISキーボード一択である。
これ以上スマートなやり方はない。


一方、Winは混乱している。
元々の、JISにしかない全角半角キーは遠すぎる。
これをブラインドタッチしようと思ったら、
最上段小指外を正確に打てなければならない。
僕は出来ないので、
それがゆえに90年代から10年代くらいまで、
Winを触らずにMacしか触っていなかった。

しかもトグルというのも訳がわからない。
今オンかオフか、わざわざ右下の小さい表示を見るか、
打ってみて間違ってたらBSするしかない。
お前もUSBの裏表かよ。

Winの場合、最下段は、
左Alt、無変換、スペース、変換、ひらがなカタカナ
となっている。
無変換と変換とひらがなカタカナは、
いつどうやって使うのかの定義がわからない。
正確にいうと、
何通りものIME操作が混在していて、
しかもユーザー定義がなかなかの自由度でできるため、
もはや何のキーか分からない混乱が混在している。

それを整理しようとしたのか、
最新のWinでは、
無変換にIMEオフ、変換にIMEオンという、
ついにMacと同じ方式を採用した。

正確に言うと、IMEのオンオフ専用のキーコードを新設したそうだ。
Windows95から26年かかって、
ようやくMacのパクリをして、
しかもそれ専用のキーコードがなかったという設計の悪さである。



親指シフトのFacebookにIMEのオンオフの話題があった。
https://m.facebook.com/groups/oyayubishift/posts/4692231904138025/

無変換でオン、
英数キーでオフ(A横のCapslockはデフォルトで英数キーと呼ぶ。
シフト+Capslockで本来のCapslockになるそうだ。
そんなん知らんがな。このキーも廃止でいいんじゃないか。
ちなみにMacのCapslockは、右シフトの下、絶対に触らない位置にある。
優秀)
というのが親指シフトのデフォルトらしい。
知らなかった。

全角トグルより遥かに使いやすそうではないか。
(両方とも左手なのか)


無変換キーは入力文字がないときは何も起こらないキーで、
入力文字があるときは、
ひらがな→カタカナ→1文字目カタカナ…と切り替えるキーだ。
(三つ目以降の機能いつ使うの?)
とても近いこのキーをIMEオンにするのは賢い。

上で引用したみなさんのやり方や、
野良で見た情報も追加して、
一覧してみる。
★のついたものは何らかのエミュレータ必須。


【Mac/JIS】
英数、カナ
Ctrl+スペースでトグル(USと共通操作)
A横のCtrlでトグル★

【Mac/US】
Ctrl+スペースでトグル(JISと共通操作)
Option(Alt)+`でトグル
左Command、右Command★


【Win/JIS】
全角半角でトグル(デフォルト推奨)
Alt+全角半角でトグル(USと共通操作)
Ctrl+スペースでトグル
A横の英数でトグル★

英数、ひらがなカタカナ(デフォルト推奨)
英数、無変換
無変換、変換(最新の推奨)

【Win/US】
Alt+`でトグル(JISと共通操作)



ああ、完全にバベルの民ではないか。
トグルだったり明示的切替だったり、
ローカルルールだらけだ。
なにひとつ共通化できない。


薙刀式はこれに対して、
Win、Mac、JIS、USで、
統一的に動作する方法を提案している。

どのキーボードにもある、
文字部分で切り替える提案だ。

FG同時押しでオフ、
HJ同時押しでオン、
という、
「普段同時押ししないキーの同時押し」
(標準運指ではどちらも人差し指に当てられているキーを、
手をずらして人差し指+中指で打つやり方)で、
オンオフを切り替える方針である。

崩壊したバベルの塔にもう一度戻り、
すべてを共通化しようという志のもとに作られた方式である。
30%キーボードでもそのまま使える、
すぐれた方式だ。


PCのことは詳しくないのだが、
IMEの切り替えによって、
各ローカル言語が使える仕組みなのかな。
英語(IMEオフ)/ローカル言語IMEオン
の切り替えに共通して使える、
グローバル視点でのキーバインドだと僕は考えている。

多言語IMEの切替需要がどれくらいあるか分からないが、
RT、YU、VB、NMの同時押しもまだ余ってる。
(YUはよく出る綴りだから、避けた方がいいかもだが)
第二言語IME、第三言語IME…のように、
明示的に切替られる方法である。

需要は知らないが、設計としては洗練されて美しいと思う。



「普段同時押し(アルペジオも)しないキーでIMEを切り替える」は、
他のキーでも応用できる。

昔僕は、「→を押しながら←」とその逆に、
IMEオンオフを当てたことがある。
結局カーソル単独キーのあるキーボードを使わなくなったので、
今はFG/HJ一択だけど、
たとえば「←を押しながら↑→↓」で、3種のIME切替、
ということは可能だろうね。


そもそも、
「英語入り混じりの日本語文」があり得るから、
IMEの切り替えが頻繁に必要とされる。
なるべくそんな文章を書かない、
というのが優れた書き手の技量というものだ。

おそらく、
MSやAppleは、
この「頻繁にIMEを切り替えて文章を書く」
という需要を把握してないと考えられる。
Macは最初の英数カナという設計が優秀だったから、
需要の把握とかどうでもいいが、
Winはあまりにも惨憺たる出来だ。

メーカーの無知に振り回されるのは、
あるいはメーカーとしての「これがデフォルトです」
の無能さに振り回されるのは、
書き手として耐え難い。
自衛するしかないのだ。


ということで、
色々俯瞰すると、
・自作キーボードで、いいところの親指位置で、英数/かな方式
・Mac/Winで英数/かな方式
・あらゆるプラットホームで、FG/HJ方式
が、
洗練されたやり方ではないかと思う。
posted by おおおかとしひこ at 14:14| Comment(2) | カタナ式 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
これは本当に本当にそう思います。
IMEオンオフの切り替えが「1」の左とかどういう考えで配置したのか全く理解できないし、トグル方式もどうかしてると思います。
MacのJISキーボードは本当によく出来てると感心します。元々Ctrlキー自体もMacがControlとして編集用の修飾キーとしてつくったのち、commandキーをアプリ用のショトカキーとして作ったら、winが後からパクってctrlに全部詰め込んだせいで、全く別の操作を全部Ctrlにぶちこんでて面倒臭いことになってるんですよね。
QWERTY配列自体がどうこうももちろんありますけど、いったんそこに目を瞑っても、あとは「ー」(長音記号)が個人的には我慢ならないポイントですかね。自分も寝る前にQWERTYのモバイルキーボードに触ってると、長音記号でかなり手こずります。これはMacでもどうしようもないですし。IMEオン時はLの隣に置くみたいなオプションをWinやMac系にいれてもらえないかなと思います。
Posted by いずみ at 2021年08月18日 06:22
>いずみさん

僕はWindows95〜9までほとんど使ったことないのですが、
話を聞く限り、日本独自のIMEが沢山あったようです。
そこでローマ字テーブルも自由に変えられたようですね。
(昔はFEPと呼んだようですが)
度重なるバージョンアップで少しずつ振り落とされて、
いまATOKと一太郎くらいしか残ってないのでは。
(MS-IMEのカスタマイズに残る複雑な操作系の痕跡は、
各種IMEを統合してきた香りがします)


また、「ー」って頻度でいうと0.5%しか出てこないのに、
毎回イライラさせられる記憶があるということは、
1000回に5回でも人はイライラする証拠だと思われます。
「ちょっとくらいええやん」は、
文章書きには良くない要素ということです。

もし手書きで「ー」の度に「紙を裏返さないといけない」
となっていたら、そのうち全員それをしなくなり、
別の記号を発明するでしょう。

そうした「現場の工夫(設計者のミスを補う)」を、
デジタルは止めたのです。
これがデジタルのもっとも悪いところだと僕は考えています。
使う/使わないしか選べないですからね。

そこにDvorakJという、
「配列を自由に変えられるもの」(エミュレータ)
の存在を知ったので、
僕は「使いやすいキーボード入力」をつくり、提案している次第です。
Posted by おおおかとしひこ at 2021年08月18日 09:39
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