「働かざる者食うべからず」という直感的な倫理観、
「階層が増えるほど下の方が指数関数的に増え、
下の方が圧迫されるだけの搾取構造」という構造的問題、
の二つの点で禁止されるべきだろう。
持続化給付金事業の孫請けが、
9次まで行ったそうだ。関わる会社は564社。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/123804
これを現代のねずみ講として批判してる人がいて、
頭のいい人だなあと思った。
ちなみに元請けに100払うとして、
30%中抜きして70%を下に投げるとしよう。
指数関数的、とは以下のようになる。(小数点以下四捨五入)
1: 100
2: 70
3: 49
4: 34
5: 24
6: 17
7: 12…原発除染作業で7次受け問題が指摘された
8: 8
9: 6
一番上と一番下で比較すると、
1000万で60万。
100億で6億。
下の層ほど、加速度的に旨味がないことがわかる。
また、下の層ほど上に上がれない仕組みだ。
利益がなく、直接働く人がいなくなるからだ。
ちなみに風俗店の構造。
1: 100(女衒)
2: 50(嬢)
紹介手数料を50%と見積もったが、
上の3次受けのケースよりも、
直接働く者が儲かる仕組みだ。
しかも客は女衒の間を通れば、
その後嬢と直接やり取りができる。
50%上がりを取ってでも、
孫請け禁止法を作った方が、
日本は明るくなるだろう。
風俗は「ヤクザのようなやり方」と嫌われた歴史があるが、
9次受けはヤクザをも下回る、
商売人の風上にも置けぬ、下の下の下のやり方だと僕は思う。
ちなみに、映画の構造。
1: 映画配給会社
2: 映画製作会社(大手は1と2を兼ねる)
3: 映画製作プロダクション(2と3を兼ねるところも)
4: 脚本家、監督
5: カメラマン、照明、美術、衣装、音楽、編集など各スタッフ
5次請けだね。
とはいえ、元請けは日本中の映画館のスクリーンのスケジュール調整や、
映画館イベントなどの調整をしてるはずで、
丸投げ構造ではないだろう。
僕はこの構造すらレイヤーが多いと思っている。
監督は配給の現場を見て企画を出すべきだし、
配給は現場がどういう映画を面白いと思ってるか知るべきだと思う。
今受けるもの、今面白いもの、
過去受けたもの、過去面白かったもの、
将来受けるもの、将来面白いもの、
は異なるからである。
それらを一堂に会して、
ああでもないこうでもないと言う場が、
定期的に設けられるべきだと僕は考えている。
そうでない限り、
配給の欲しいものは監督から上がって来ず、
途中の素晴らしい提案は握りつぶされ、
監督の次に作りたいものは配給から出てこないだろう。
5でこのていたらく。
僕は9でそれが実現しているとは到底思えない。
「社会の階層化」というとき、
我々はつい往年の身分制度を想像してしまい、
そのようなものは自由主義で駆逐されたように感じていた。
法の下の平等がそれであると。
ところが9次請け構造という闇の形に、
現代では変わっていたというわけだ。
人権思想的、倫理的にも許すべきでないし、
作業の効率を見ても合理的ではない。
この社会の階層化、見えない身分制度が、
日本の衰退の原因であると思う。
新入社員が助けた掃除のおじさんが実は社長で、
社長は掃除のおじさんのフリをして、
現場を逐一見て問題点を把握していたのだ、
という遠山の金さんのようなものは、
すでにリアリティを伴っていない。
上と下は、同じ目線でものを見ていないだろう。
なぜ邦画はつまらなくなったか?
コロナはとりあえず置いといたとしても、
ねずみ講状態で作っているからではないか?
そして映画業界だけでなく、
これは日本全体を覆う問題であろう。
僕が自作キーボード楽しいと言ってるのは、
一次請け(製作)と二次請け(輸入販売)で完結してる世界だからだ。
商売の本来の姿を、正しい進歩と発展をここで見ることができて、
たいへん健全だと僕は思う。
僕は同人誌文化に手を出していないが、
エロ以外の同人誌にこそ、
ほんとうに面白い作品があるのかも知れない。
2021年08月14日
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