2021年08月19日

【薙刀式】キーキャップ設計の優先順

3Dキーキャップをつくったり改訂したりでわかってきたのは、
設計に優先順位があること。

そしてそれは、
おおむね薙刀式で重要視するキーの順番だってこと。
(使ってるのが薙刀式だから当たり前か。
これがqwertyでも同じ重要順になるのかは不明)


以下、右手を例に。

1. 親指、JKの三大キー
2. ;L
3. 人差し指下段、中指上段
4. 人差し指伸ばし、人差し指上段、中指下段
5. 小指下段、薬指上下段
6. 小指上段

の、大体6ブロックにわかれると考えている。


1. 親指、JKの三大キー

空間をこの三点で固定すればいいか、
などと考えていたのだが、
実は手首と机の接点と、
計4点で空間を固定しなければならないことに気づく。
「手首をつけた状態で、
まず親指、JKのどれもが打ちやすく、
組み合わせやすいこと」が、
最優先事項になる。

親指キーをちょっと変更すると、
JKが打ちづらくなるとか、
手首の付ける位置をちょっと変えるとどこかが打ちづらくなるとか、
互いに影響し合うので、
ここをまずフィックスしないとあとが続かない。


2. ;L

次に重要なのは小指だ。
薬指は「中指と小指の中間」にすれば大体収まりがよいので、
小指を決めさえすれば大体うまくいく。
物を持つときに重要なのは小指の使い方で、
道具も小指をどう使うかがキモだったりする。
日本刀の持ち方とかね。
なので、小指がしっくりする角度や高さを見出すことが、
二番目に重要になってくる。


以下毎回同じなんだけど、
これをしっくりさせたことで、
他のキーがしっくり来なくなることが、
とてもよくある。
その場合また1に戻ってやり直し、
ここまでやり直す、
というループを踏む必要がでてくる。

指の感覚は総合的なもので、
かつ書く文章によって色々な手の動きがある。
「この言葉を書くときは違和感がなかったのに、
あの言葉の時はあったぞ、なんでだろう」
と、一つずつ運指をチェックするしかない。
前に書いた言葉で、ホームポジションに指がいないときに、
違和感を覚えることもある。
「ホームポジションに戻らずに連続する運指」
前提で指の動きを考えるべきだ。

沢山の例をこなして、
平均的に良い物を見出すしかない。


3. 人差し指下段、中指上段

よく使うV字ラインが次の優先事項。
親指との組み合わせがここでまた変わったりして、
最初に戻ることはよくある。

4. 人差し指伸ばし、人差し指上段、中指下段
小指や薬指よりも、人差し指中指を先に違和感なくしたほうが、
結果気持ちいいみたいだ。
これに合わせてJKを微調整すると、
また親指キーからやり直しになることが、
稀によくある。

5. 小指下段、薬指上下段
6. 小指上段
このへんはとくに順番はないが、
違和感を感じてベストに変更したとしても、
中指や人差し指にまた違和感が出ることもある。
ここまで来るとそこらへんを変更したくないので、
「全部を満足させる角度」を探しがち。


あと最近発見したのだが、
日によって自分の調子が結構違うことだ。

昨日最高のやつが出来たと思っても、
今日はしっくり来ないことも稀によくある。
日による平均的な良さも追求しないと、
ベストの3D配列は難しいと思う。

おそらく、
試打で1万字くらいは毎度必要なのは、
論理配列設計と同じオーダーだろうか。

「手の違和感、疲労感」をチェックするには、
大体それくらいはかかると思われる。

ということで、
今日もマステを貼って角度や高さを変えて、
日々ベストを探している。
で、目合わせでモデリングを修正してプリントして…
のループをもう何十回やったかなあ…

毎回あとちょっとで完成かな、
なんて思うのに、打ってるうちに違和感を感じるのは、
論理配列と同じだ。


さいわい、「論理配列はベストである」と確信があるので、
これに合わせた3D曲面をつくればいいだけ、
と目標が明らかだ。
これが論理と物理と両方やってたら、
キリがないだろうなあ。


僕が親指シフトを信用しきれないのも、
こんなに苦労してんのに、
すぐ決定できるわけないよね?
という不審からだ。
物理は数回しか試作してないらしいし、
もっとベストがあり得ただろうに。
あくまで親指シフトは、当時の固定されたベターでしかない。

この自作キーボードのブームは、
ベストを追求する機会が訪れたということだ。
しかも自腹で莫大に試行錯誤できるんだぜ。

論理配列だけで10年かけた飛鳥が、
もし「ロウスタッガード以外のキーボードもつくっていいぞ」
ってなったら、
どんなものを作り上げただろう、
と時々妄想することがある。
たぶん、もっとシンプルになっていったのではないかなあ。



エアバッグみたいな装置で、
今日の手の構え方をしたらプシュッと型を取ってくれて、
一日その曲面で打てるようなキーが、
理想なのかも知れない。
それは難しいので、3Dプリントで理想の平均像を探してゆくのみだ。
posted by おおおかとしひこ at 13:45| Comment(0) | カタナ式 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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