2021年08月31日

「あ」のレッスン

以前事務所の人に、役者のワークショップ興味あります?
と雑談してて聞かれたので、
自分なら何を教えるか、課題をちょっと考えた。

「あ」のニュアンス違いでもやってみよう。


場面は以下だ。

○会社、会議室

   ドアを開けると、上司と部下がイチャイチャしてた。
主人公「あ」


この「あ」を、いろんなニュアンスで演じ分ける課題。


1. 単に驚くニュアンス

・まったくその恋愛を知らなかった場合
・それを知らなかったが、不倫など許されない恋愛の場合
・知ってたが、その場面に出会いたくなかった場合
・知らなくて、しかもどちらかを好きだった時
・知ってて、しかもどちらかを好きだった時
・前にも同じことがあって、またかよの時
・上司が服を脱いでいた時
・上司が服を脱いでいて、それが宇宙人だとわかったとき

表情、「あ」のニュアンス、
その後扉を閉じるだろう閉じ方すら、
演じ分けることが可能だろう。

2. 悪意のあるニュアンス

・わざと開けて、騒ぎを起こそうとしたとき
・わざと開けて、黙ってるからその代わりに、
 をその後切り出そうとしているとき


さらに年齢を下げてみよう。
高校生と部室にシチュエーションを変えてみよう。
反応は幼く、生硬になるはずだ。
演じる俳優が童貞または処女として、
「羨ましい」「汚い」というニュアンスを足してもいい。

似たような場面でも、
役としてのそれまでの経緯、
これからやろうとしていることによって、
「あ」ひとつのニュアンスは全然変わってくるわけだ。

時間は点ではない。線だ。
線を「あ」という点で表現するのが、
演技だといっても過言ではない。

そして、
当然だけど、
それが書いてないシナリオは、
「あ」に正解なんてなくなってしまう。
posted by おおおかとしひこ at 00:10| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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