2021年11月05日

そのキャラはそういう性格ってどうやって示す?

そのキャラクターがいる。
こういう性格だと設定はする。
言葉遣いや態度はなんとなくわかる。
でもそれを描くだけでは、実はまったく伝わらない。

たとえば、「慎重な性格」は、
どうやったら描けるだろう?


ある場面で判断を保留したり、
皆が危険な選択を取る中、
一人安全策を取ったりする場面で示せそうだ。

でも、それはただの設定の披露にすぎず、
印象に残る性格づけではない。

説明場面が記憶に残らないのと同じである。

そうではなくて、
「大事な場面でその性格が出る」ようにすると良い。


決定的な場面がある。
Aを選べば危険だが助かる道があり、
Bを選べば確実に死なないが、助かる保証もない。
究極の二択を用意してBを選ばせて、
Aを選んだ人全員が死ぬ場面をつくるとよい。

これはその「慎重な性格の人」が、
正しいという描き方で、
間違っているとするならば、
Bが全滅するとよいだろう。

いきなりこの場面を持ってきて、
慎重を印象付けてもいいし、
序盤では慎重な言動をする人のように説明しておいて、
大事な場面で選択させてもよい。

また、その人に「石をぶつける」とわかる。
石とは人のことだ。
「いけいけどんどんの人」と喧嘩させるとよい。
具体的にはAを選択したい人とだ。
その人に、
「こっちの方がリターンがデカイだろ!」
と突っかからせれば、
「いや、それは違う」と、
自らの哲学を披露する。
その時にはじめてその人が、どういうことを考えていたか、
わかるようになるわけだ。

「私は慎重な人間です」と、
初手から周りに触れ回る人はいない。

その人と違う人とコンフリクトさせて、
性格や考え方の違いを浮き立たせる場面を作らないと、
その人の内面は外に出てこない。

慎重な人の隣に慎重な人を座らせて、
「Bが妥当だな」
「私もそう思う」
と言わせては、
彼が慎重かどうかは分かりにくい。

リスクを取る人に「なんで?」と聞かせたほうが、
対比の力で外に出てくる。

コントラストは、
主人公サイドと敵サイドでつくるべきだが、
こうした、
周りの人間関係でもつくるべきだ。

こうして普段から外に見せるようにしておいて、
重要な場面で慎重な決断をして、
その結果が出た時のみ、
その人は慎重だったと、
記憶に結びつく。

慎重ゆえにクビになるとか、
慎重ゆえに死なずに済むとか、
慎重ゆえに告白できないとか、
慎重ゆえにハズレを引かなかったとか。

慎重だが愚鈍だったか、
慎重で賢明だったかは、ストーリー次第だが。


人間は一人では分からなくなる。
乙女座は、獅子座がいて初めて理解できる。
常に対立するところが、
「性格の違う」ポイントになるんだよね。


じゃあ、
怒りっぽい人、
愚かな人、
人付き合いが苦手な人、
勤勉な人、
目の前しか見えてない人を、
どうやって描く?

そのやり方を考えてみたまえ。
何パターンもあるだろう。
それはいつか使えるストックになるよ。
posted by おおおかとしひこ at 01:06| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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