なぜqwertyローマ字が支配的になったのか、
いくつか理由があると思うけど、
僕は実は第一の理由は、
「カナ入力とローマ字入力の切り替えの仕方が、
キーボードの印字を見ただけではわからない」
ではないかと思っている。
現在のWin10では、
Alt+ひらがなカタカナキーだ。
これを初手で当てられる人はいるまい。
あるいは、
右下のIMEアイコンを右クリックすれば、
切り替えメニューが出てくる。
これも、初手でたどり着ける人は皆無だと思う。
なぜなら、
1. 文字入力関係はIMEの担当
2. ローマ字/カナ入力の切り替えは、IME担当
3. それは右下のアイコンから呼び出せる
4. 左クリックは文字種の切り替えで、
右クリックでやっとオプションが出る
の4つを全て知らないとたどり着けないからだ。
Windowsを触る人には常識?
僕は5年前MacからWindownsに転向して、
これをわかるまで一年以上かかったよ?
マニュアルに書いてあるかな?
調べないと分からない道具は、
道具として拙劣だ。
しかも調べるには文字を打てなければならない、
という矛盾があるんだぜ。
工場出荷設定がローマ字になってたら、
一生そのスイッチに気づかないだろう。
ハードスイッチでなく、
ソフトスイッチによる制御は、
「それを知らなければたどり着けない」
という、
初見殺しばかりになってしまう。
ちなみにMacの場合、
ことえりのアイコンクリック(左も右もない)
→環境設定→初手のところにローマ字/カナ入力の切り替えタブがある。
これなら、馬鹿でも探し切れる位置だ。
こうした、
「マニュアルを見なくても使える」
ように徹底されているのがMacの設計思想で、
逆にそんなことを考えてないWindowsは馬鹿なんだな、
と使うたびに僕は思っている。
つまり、
日本でカナ入力が絶滅したのは、
工場出荷設定と、スイッチのわからなさの、
二つの要因だけだと僕は考えている。
だって、仮にキーボード横にスライドスイッチがあって、
「ローマ字入力」「カナ入力」って書いてあったら、
一回は試そうと思うものね。
その「ふと試してみる」が一生ないんだよな。
ちなみに、
日本人の7割はサイトメソッドだから、
JISカナのブラインドタッチの運指の不合理は、
説明になってないと思う。
サイトメソッド的には、
「小っの打ち方が分からない」(シフトだと認識できない)、
「濁点と半濁点が、印字からわかりづらい」(小さすぎるので)、
「カナの長音が、マイナスやアンダースコアと区別しにくい」
「そもそも48キーを目で探すの無理」
という、
印字の悪さの問題もあると思う。
キーの印字を見ると、
左上にアルファベットがあり、
まずはそこが目につくから、
そこを選択してしまいがちだろうね。
せめて、英語は黒、日本語は赤などの、
二色印字をするべきだったが、
コスト面で合わなかったのはわかる。
つまり、
カナ入力は、たかがコスト競争に潰されたわけだ。
日本人の母語の入力が、
アルファベットを一度介さないと打てないことに、
日本人はもっと切れていい。
(切れる前に若者はフリックしか使ってないが)
そしてJISカナを使えば、
配列の不合理に誰もがむかつき、
qwertyローマ字にすれば、
その運指の不合理にも気付き、
結局フリックに戻るに違いない。
そして、「パソコンでないと仕事できないですか?」
とスマホで仕事をしようとするに違いない。
母国語を喋れないことは、
日本人を弱体化させることだろう。
これは遠い未来の予想ではない。
リモートワークが広まれば、
横の伝播がなくなり、
こうした、
「ちょっと詳しい人に聞けばわかるのだが、
自分で調べようとすると言葉がわからないと何も出来ないこと」
が増えていくと思う。
僕はIMEという言葉を知らなかったため、
その関係を調べることが自分からできなかった。
こうして、Windowsを使う知識は、
どんどん絶滅していくような気がする。
ちょうど、昔のワープロを使う技術がロストテクノロジーになりつつあるように。
(昔のワープロはまだマニュアルがあったけど)
そもそも、この問題をなんと呼ぶべきかもわからない。
日本語入力の問題、
キーボード入力の問題、
キー配列の問題、
IMEの問題、
など、どれも核心にたどり着くには、
すっといけないものばかりだろう。
JIS規格を見直すべき時に来ている。
このままでは日本のITや、
IT前提の文化(ほぼすべてだろう)は、
日本語入力の機能不全とともに沈む。
僕はそれをなんとかしたいし、
そもそもクソみたいな入力方式を押しつけられないために、
シンプルで使いやすく、高速な、
薙刀式をつくり、広めようとしているわけだ。
カナ入力そのものは母語入力として当然で
(本来は漢直がベストだが)、
しかしJISカナはハナクソ以下のレベルなので、
そこをなんとかしたいんだよね。
2021年11月03日
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