2021年11月07日

【薙刀式】レーサーとオフローダー

競技タイピングと、創作文章タイピングのちがいは、
サーキットにおけるレースと、
コースまで自分で決めるオフロードの冒険に、
たとえることができると思う。


競技タイピングは、
問題文が決まっている。
ランダム出現ではあるものの、
ワードリストが事前に配られて初見でないことが多い。
(つまり事前に徹底的に練習できる)
もちろん例外もあり、初見文でどれだけコピーできるか、
というものもある。

とはいえ、
「何を書くべきか」はすでに決まっていて、
「それをどう効率的にタイプするか」
しか問われない。

だから、
ある程度コースが決まっていて、
ライン取りを競う、
サーキットレースにたとえよう。

コースも舗装されて、
マシンもレギュレーションが決まっていて、
あらゆることが標準化された状態での、
打鍵パフォーマンスだけを測定する感じ。

アクシデントは起こらない。
起こらないように、環境があらかじめ整えられている感じ。

標準化されたものだから、
一斉スタートして複数の競技者で競い合うのが普通だろう。
同一条件での比較に意味があるわけだ。


これに対して、
創作文は、オフロード車で、
道なき道を走破する、冒険にたとえることが出来る。

そもそもコースなどない。
出発点すら決まらないし、
いざ出発しようとしても、
ゴール地点はぼんやりしている。
ないわけではないが、
「大体あの方向」しかわからない。

地図はないから、
どこで曲がるべきか、どこを避けるべきか、
どこを迂回するべきか、
どこでギャンブルするべきかは、
あらかじめ分からない。

おおまかに分かる時もあるが、
地図にない小石につまづいて横転することもある。
そもそも、合ってると思った地図が、
現状と違うこともある。

だから「走破」という表現があうと思う。
サバンナがあるのか、川があるのか、
岩があるのか、雨が降るのかわからない。
それでもまっすぐ進むしかない。
時に迂回して、ものすごく時間を無駄にすることもあるし、
思わぬショートカットになることもある。

それは、走ってみるまでわからない。

アクシデントだらけだ。
天候もばらばらだ。
数十分で終わる場合もあれば、
何年もかかるものもある。

また、基本的にこの冒険に参加するのは一人だけだ。
同じ出発地点、同じゴールへ向かう人は一人もいない。

ていうか、
創作とは被らないことだから、
同一コースのラリーレースはしない。
隣を走ってる車に気づいたら、
ハンドルを切って別の方向へ離れるのが創作というものだ。

いつ出発するのか、
いつ冒険が行われるかも不明である。

そしてその冒険の価値は、
冒険の凄さや、たどり着いたゴールの価値で決まる。
タイムアタックは関係ない。

どんな手段であっても構わないから、
果実を得た者が勝利者だ。


サーキットレースはタイムアタックであるが、
冒険はその道程とゴールが、いかに人と違うかを競う。


サーキットマシンは、
同一レギュレーションの中で、
極限まで車体を軽くしたり、
空力を利用したりと、
ある条件下での最大化を狙う。
事故が起こらない前提だから、
接触や転倒は致命傷だろう。

一方冒険のためのオフロード車は、
「どんなことがあるか分からないから、
出来るだけタフに作っておく」だろう。
しかし鈍重であっては、
ゴールにたどり着けないから、
パワーはタフで、スピードは出るようにするべきだ。
また、アクシデントが起こる前提で、
フレームが歪んでも走るようにするだろう。


競技タイピングは、サーキットレースに似ている。
創作文章は、オフロードの探検に似ている。

前者はゲームであり、
後者は芸術や活動である。
どちらが価値があり、どちらが難しいかは、
ここでは議論しない。
芸術は高尚と思われがちだが、ゴミみたいなのは無数にある。

ただ、両者のかけ離れは、
サーキットバイクと、オフロード車くらいの、
差があるということだ。

それを、
同じキーボード、同じ運指法で、
比較できるはずがない。

目的も、やり方も、まったく違うのだ。



qwertyは、
もともとはサーキットの為につくられた。

ワープロ時代、それをオフロードに転用されたが、
PC時代に入り、
サーキット時代の使いにくさが、
オフロード目的使用者からの批判が殺到しているといえる。

一方、サーキットレースに使う者がいて、
その成果をオフロードに転用する人もいる。

オフロード用には親指シフト、M式などがあったが、
Windowsで採用されなかったため、
サーキット用のqwertyしか実質残らなかった。


PCは、
サーキットレースをする道具か?
オフロードを探検する道具か?
後者に使う時に、
サーキットレーサーしかデフォルトにないから、
みんな事故ってるんじゃないか?

探検には探検用のクルマがいるだろ。
それが新配列だと思う。

薙刀式は、その急先鋒だと考える。

親指シフトは旧車オフロードだ。
その他の新配列は、オフロード寄りだったり、
サーキット性能もあったりと、
それぞれに特徴があると思う。


オフロード車を、サーキットレースで評価するべきじゃない。
にも関わらず、
サーキットレースで測定して、
「あの配列は速い/遅い」ということには、
意味がないと思う。

また、サーキットレーサーで、
サバンナに出るべきじゃない。
砂が詰まればエンストするし、
コケたら二度と走れなくなる。


殆どの人がこの差異を知らないのは、
サーキットだろうがオフロードだろうが、
トロトロ走ってるからじゃない?

薙刀式で、オフロード1500出した。
目標は2000だ。
qwertyで、オフロードで1500出せる人もいる。
サーキットでは2000や2500の世界だ。

ほとんどの日本人は、
700とかそこらで走っている。
だからサーキットもオフロードも、
大して変わらないと考えているかも知れない。



あの価値ある冒険を支えたのは、
こうした性能を持つこのオフロード車である、
そういう風に、
新配列は紹介されるべきかも知れない。
posted by おおおかとしひこ at 10:35| Comment(0) | カタナ式 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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