競技タイピングと、創作文章タイピングのちがいは、
サーキットにおけるレースと、
コースまで自分で決めるオフロードの冒険に、
たとえることができると思う。
競技タイピングは、
問題文が決まっている。
ランダム出現ではあるものの、
ワードリストが事前に配られて初見でないことが多い。
(つまり事前に徹底的に練習できる)
もちろん例外もあり、初見文でどれだけコピーできるか、
というものもある。
とはいえ、
「何を書くべきか」はすでに決まっていて、
「それをどう効率的にタイプするか」
しか問われない。
だから、
ある程度コースが決まっていて、
ライン取りを競う、
サーキットレースにたとえよう。
コースも舗装されて、
マシンもレギュレーションが決まっていて、
あらゆることが標準化された状態での、
打鍵パフォーマンスだけを測定する感じ。
アクシデントは起こらない。
起こらないように、環境があらかじめ整えられている感じ。
標準化されたものだから、
一斉スタートして複数の競技者で競い合うのが普通だろう。
同一条件での比較に意味があるわけだ。
これに対して、
創作文は、オフロード車で、
道なき道を走破する、冒険にたとえることが出来る。
そもそもコースなどない。
出発点すら決まらないし、
いざ出発しようとしても、
ゴール地点はぼんやりしている。
ないわけではないが、
「大体あの方向」しかわからない。
地図はないから、
どこで曲がるべきか、どこを避けるべきか、
どこを迂回するべきか、
どこでギャンブルするべきかは、
あらかじめ分からない。
おおまかに分かる時もあるが、
地図にない小石につまづいて横転することもある。
そもそも、合ってると思った地図が、
現状と違うこともある。
だから「走破」という表現があうと思う。
サバンナがあるのか、川があるのか、
岩があるのか、雨が降るのかわからない。
それでもまっすぐ進むしかない。
時に迂回して、ものすごく時間を無駄にすることもあるし、
思わぬショートカットになることもある。
それは、走ってみるまでわからない。
アクシデントだらけだ。
天候もばらばらだ。
数十分で終わる場合もあれば、
何年もかかるものもある。
また、基本的にこの冒険に参加するのは一人だけだ。
同じ出発地点、同じゴールへ向かう人は一人もいない。
ていうか、
創作とは被らないことだから、
同一コースのラリーレースはしない。
隣を走ってる車に気づいたら、
ハンドルを切って別の方向へ離れるのが創作というものだ。
いつ出発するのか、
いつ冒険が行われるかも不明である。
そしてその冒険の価値は、
冒険の凄さや、たどり着いたゴールの価値で決まる。
タイムアタックは関係ない。
どんな手段であっても構わないから、
果実を得た者が勝利者だ。
サーキットレースはタイムアタックであるが、
冒険はその道程とゴールが、いかに人と違うかを競う。
サーキットマシンは、
同一レギュレーションの中で、
極限まで車体を軽くしたり、
空力を利用したりと、
ある条件下での最大化を狙う。
事故が起こらない前提だから、
接触や転倒は致命傷だろう。
一方冒険のためのオフロード車は、
「どんなことがあるか分からないから、
出来るだけタフに作っておく」だろう。
しかし鈍重であっては、
ゴールにたどり着けないから、
パワーはタフで、スピードは出るようにするべきだ。
また、アクシデントが起こる前提で、
フレームが歪んでも走るようにするだろう。
競技タイピングは、サーキットレースに似ている。
創作文章は、オフロードの探検に似ている。
前者はゲームであり、
後者は芸術や活動である。
どちらが価値があり、どちらが難しいかは、
ここでは議論しない。
芸術は高尚と思われがちだが、ゴミみたいなのは無数にある。
ただ、両者のかけ離れは、
サーキットバイクと、オフロード車くらいの、
差があるということだ。
それを、
同じキーボード、同じ運指法で、
比較できるはずがない。
目的も、やり方も、まったく違うのだ。
qwertyは、
もともとはサーキットの為につくられた。
ワープロ時代、それをオフロードに転用されたが、
PC時代に入り、
サーキット時代の使いにくさが、
オフロード目的使用者からの批判が殺到しているといえる。
一方、サーキットレースに使う者がいて、
その成果をオフロードに転用する人もいる。
オフロード用には親指シフト、M式などがあったが、
Windowsで採用されなかったため、
サーキット用のqwertyしか実質残らなかった。
PCは、
サーキットレースをする道具か?
オフロードを探検する道具か?
後者に使う時に、
サーキットレーサーしかデフォルトにないから、
みんな事故ってるんじゃないか?
探検には探検用のクルマがいるだろ。
それが新配列だと思う。
薙刀式は、その急先鋒だと考える。
親指シフトは旧車オフロードだ。
その他の新配列は、オフロード寄りだったり、
サーキット性能もあったりと、
それぞれに特徴があると思う。
オフロード車を、サーキットレースで評価するべきじゃない。
にも関わらず、
サーキットレースで測定して、
「あの配列は速い/遅い」ということには、
意味がないと思う。
また、サーキットレーサーで、
サバンナに出るべきじゃない。
砂が詰まればエンストするし、
コケたら二度と走れなくなる。
殆どの人がこの差異を知らないのは、
サーキットだろうがオフロードだろうが、
トロトロ走ってるからじゃない?
薙刀式で、オフロード1500出した。
目標は2000だ。
qwertyで、オフロードで1500出せる人もいる。
サーキットでは2000や2500の世界だ。
ほとんどの日本人は、
700とかそこらで走っている。
だからサーキットもオフロードも、
大して変わらないと考えているかも知れない。
あの価値ある冒険を支えたのは、
こうした性能を持つこのオフロード車である、
そういう風に、
新配列は紹介されるべきかも知れない。
2021年11月07日
この記事へのコメント
コメントを書く