親指シフトの優位点ってなんだっけ。
実は多くの点で、薙刀式と自作キーボードのほうが、
上回ってるのでは?と思い、整理してみた。
親指シフトニコラ配列のいいところ
1. 親指同時打鍵を用いて、すべてのカナを1アクションで打てる
2. とくに濁音は、逆手シフトで清濁同置で、
2打のJISカナより革新的に良い
3. 打鍵範囲は31+2親指と、狭くて良い
4. 日本語の頻度に応じた指の使用率
5. BS、ESCが小指外にあり、やり直しがしやすい
6. 専用キーボードがあり、
繋げば設定なしで使える。
また、35gと軽かったり、親指キーが高く、
同時打鍵に向いたキーボードだ。
7. 親指シフトはワープロコンテストで優勝した
ひとつひとつ検証してみよう。
1. 親指同時打鍵を用いて、すべてのカナを1アクションで打てる
薙刀式では、
センター通常シフト、人差し指同時打鍵を用いて、
すべてのカナを1アクションで打てる。
また、親指シフトが2アクション必要な、
1モーラカナ(発音は1音だが、
カナとしては2文字のもの。拗音、外来音)を、
2キーまたは3キー同時押しの1アクションで打てる。
【比較】 シフト 1アクション
親指シフト 親指同時 1カナまで
薙刀式 センター、人差し指 1モーラまで拡張
親指同時のほうがシンプルなシフト方式だが、
薙刀式は1モーラまで1アクションに拡張した。
互角かな。
2. とくに濁音は、逆手シフトで清濁同置で、
2打のJISカナより革新的に良い
親指シフトは清濁同置までだが、
薙刀式は、清濁半濁小、そして拗音外来音も、
すべて同置である。
また親指シフトの欠点で、
同置でない、半濁音5、小書き5は、
異常に覚えにくい(小ゃゅょは比較的使うのでまだ覚えられる)
面がある。
ここは薙刀式の圧勝。
3. 打鍵範囲は31+2親指と、狭くて良い
薙刀式の打鍵範囲は、27+1。
親指シフトにはあって薙刀式にはないのは、
Q、T、Y、@の、
非常に打ちづらいキーだ。
薙刀式のほうが合理的だ。
4. 日本語の頻度に応じた指の使用率
計算してみた。
グラフを見れば一目瞭然だ。(薙刀式は昔の版だが傾向はほぼ同じ)
薙刀式のほうが、
人差し指>中指>薬指>小指を実現している。
また、人差し指だけで50%、
人差し指+中指で80%と、
強い指をよく使い、弱い指の使用を極端に下げたのが薙刀式。
人差し指の打ちづらいTYを不使用にしたことで、
人差し指の頻度をあげている。
一方、親指シフトの頻度分布は、
右中指は結構低いし、人差し指より中指を使うし、
薬指も結構使う。
TYも使うために人差し指の運動を抑制したのではないかと推測する。
あと親指の使用率が案外高い。
JISカナやqwertyローマ字の、ひどい配列に比べればマシ、
と言う程度で、
先行より良いが、最近のものに負けていると思った。
5. BS、ESCが小指外にあり、やり直しがしやすい
薙刀式では、
BSはU単打、ESC×3がDF+Pにバインドされている。
小指外より人差し指のほうが使いやすいと思う。
ついでに、日本語操作用の編集モードが薙刀式にはあり、
さまざまな編集に1アクションで対応している。
ここでも薙刀式>親指シフトだろう。
6. 専用キーボードがあり、
繋げば設定なしで使える。
また、35gと軽かったり、親指キーが高く、
同時打鍵に向いたキーボードだ。
専用キーボードの価格は、自作キーボードと変わらない。
ハンダゴテとプログラミングが必要だが、
それを抜けば、いくらでも軽いスイッチは作れる
(レシピは公開済み。約30g、ストローク2.1mmに改造)し、
薙刀式に便利な3Dプリントキーキャップは僕が提供している。
親指シフト専用キーボードは生産が中止で、
中古を手に入れる以外入手不可。
IMEのJapanistもサポートを打ち切ったので、
簡単に設定できるわけではない。
専用キーボード以外での使用だと、
薙刀式はセンターシフトなのでどのキーボードでも使えるが、
親指シフトはFJ直下に親指キーがないキーボードでは、
かなりの無理を強いられる。
専用キーボードについては一長一短、
それ以外だと親指シフト<薙刀式。
7. 親指シフトはワープロコンテストで優勝した
当時の記録が、920字(変換後)/10分前後と証言がある。
薙刀式の最新動画では1500越えのペース。
コピー打鍵と創作打鍵の差、
IMEの性能差を鑑みても、親指シフトが勝るとは言えない。
1200はあるが、1500以上の親指シフト動画が一つもないから、
「親指シフトは速い」証拠は、今一つもない。
(そもそも現在のqwertyでは、コピー打鍵で2500クラスが出てる。
コピー打鍵と創作打鍵がどれくらい違うのかは、
なんともいえないが)
打鍵方式と、専用キーボードが互角なのをのぞいて、
ほとんどの親指シフトの長所に対して、
薙刀式が勝っていると感じたが、どうだろう?
親指シフトは大企業富士通のサポートが後ろ盾にあったが、
その打ち切りをもって、
新配列の中のひとつの配列となった。
「設定を自分でやり、練習も各自やり、
環境を整え、OS改変の荒波も情報収集で乗り越える」
ことをやり続ける新配列の欠点を、
そのまま親指シフトも受け入れなくてはならない。
まだFacebookが機能してるので、
ユーザー同士のサポート体制はあると思う。
ユーザー数の数は大差で負けかな。
でもアクティブなユーザーがどれくらいいるかだよね。
そうした現状をのぞいた、
メソッドだけ取り出した優劣でいうと、
薙刀式が優勢に見える。
さらに、
薙刀式が優位で親指シフトにないものがふたつ。
ひとつはアルペジオ打鍵の活用。
指の繋がりがよく使う言葉でアルペジオになっていて、
言葉の流れが打っていて気持ちいいようになっている。
親指シフトでは少なく、比べると拾い打ちの感がある。
もうひとつは編集モード。
さまざまなショートカットを30キー範囲に入れていることで、
日本語操作をその中で完結させている。
指の動線のつながりも練られている。
すべてを活用しなくてもよいが、
全部覚えればなかなか最強の効率化だ。
そうしたものは、親指シフトにはBSとESCしかなく、
あとはフルキーボードの遠い位置に頼ってて、
心許ない。
もちろん、これは議論するために、
わざと挑発している。
親指シフトが生理的に好きだ、
という人は除外するとして、
論理的に親指シフトの優位点ってなにがあるかな?
2021年11月12日
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