2021年11月14日

【薙刀式】私たちは、小指下段を正しく打ってないのではないか

小指下段キーは打ちにくい。
それは不器用で弱い指の、しかも打ちづらい段だから?

それが主な原因ではないと僕は考える。
「そもそも、きちんと指の正面で当たってない」
ことが原因ではないか、と。


一番指に力が入るのはどこか?
突き刺し派なら指先の真ん中、
撫で打ち派なら指の腹、指紋の中央部だろう。
指の構造を考えれば、
そこが最も強いところで、
その他のところは弱いだろう。

だが小指は、その一番強いところで打っていない。


指はねじれている。

その構造を知る人は少ないのではないか?

どういうことかというと、
指先方向の軸に対して、
指は内側方向にねじれている。
手のひらの法線に対して、
指の正面は内側(右手だと左方向)を向いてるのだ。

人差し指を基準としたとき、
中指、薬指、小指はねじれがさらにきつくなる。
丸いものを持ち、保持するのに適した構造だ。

さらに、
指を曲げ、縮めると、
そのねじれ角はきつくなる。
よりねじれるようになっている。

指関節がねじれるのではなく、
指関節が、指先方向に対して微妙に斜めについているからだ。
人差し指では、指元に対してほぼまっすぐ指を曲げられるが、
中指、薬指、小指に至るほど、
指元より内側に指先が握られる構造になっている。

これは、指を縮めるだけでモノに引っかかりやすく、
ものを掴みやすい構造になっていると考えられる。
ねじれがどんどんきつくなるからね。
(日本刀は小指で持つ。小指を締めるなどという)

逆に掴んだものを離すときは、
指を伸ばせば離しやすい構造だと思う。


ホームポジションに構えたとき、
とくに小指の正面は、鉛直下を向いていない。

人差し指の正面を基準にしたとき、
右手ならやや左を向いているはずだ。
ねじれの蓄積が、小指が一番きついからだ。

そのぶん小指の、側面寄りがキーに触れているはずだ。

だから、
平面であるキーボードに触れたとき、
外側の指ほど、
真正面でなく外側が触れるようになる。

キートップ面の円筒形のえぐれは、
それを補正するためにあると考えられる。
指の正面がなんとなく当たるように出来ている。

だけど、
キーの打鍵方向とはすでにずれていて、
指の力の入る方向は正面より外側面だ。


上段を見てみると、
この指のねじれは、
指を伸ばすほどに解消していくから、
だからより正面が当たりやすくなる。

下段は逆で、
指を縮めるとねじれの傾向はさらに強くなる。

(ちなみに、
ロボットの指ってこうやってつくってるのかな?
少なくともガンダムの指はこうなっていない。
指先の方向に対して90度に曲がるだけだよな。
ロボット研究者はこのことに気づいてるだろうか?)


「上段は打ちやすいが、
下段は打ちにくい」
というキーボード打鍵上の経験則は、
このようなことも影響していると思う。

つまり上段はより指の正面が当たり、
力を入れやすいが、
下段はねじれの影響で、
中段の時点で外側の指は側面気味に当たっていて、
下段に指を縮めると、
さらに側面が当たってしまうからである。

この影響を一番受けるのは、
もっともねじれが強い、小指だ。


中段の時点ですでに側面が当たっていて、
小指下段を打つと、さらに側面が当たると思う。

フラットキーボード、パンタグラフでそれを最も実感できる。
右手だと、爪の右側面あたりがキーに当たるはず。

円筒形や球形に抉れている、
メンブレンや高級キーボードのトップ面では、
もうちょっと中央寄りに当たるが、
それにしても力の方向とは異なると思う。


僕がずっとご執心の3Dキーキャップは、
このギャップを解消しようというものである。

右小指下段でいえば、
下り坂になってて、指の縮みの角度を受け止め、
右に回転していて、指の縮みのねじれを受け止めるわけだ。
(前後の打鍵で縮み方が違うので、
動的な平均になることが理想だと最近わかった)


さて、
ようやく薙刀式の本題、右小指下段の「れ」である。

二つの立場があって、
右小指下段はこのように変な角度で当たるのだから、
「れ」よりも頻度の低いものに変えるべきだ、
というのと、
そもそも右小指下段はまともに当たってないんだから、
まともに当たるように物理キーボードを工夫して、
右小指下段本来のスペックを評価してから、
判断すればいいのでは?
だ。

自作キーボード、3Dキーキャップに出会う前なら、
迷いなく前者を取っていたが、
最近はずっと後者を考えているんだよね。

指が自然な打鍵をするときの、
自然な配列がいいんじゃないか、
と今は考えている。

ただ、多くのキーボードで、
そんな自然な打鍵が出来ないのだから、
やはり右小指下段はあまり使わないほうがいいのでは、
という考え方もあるとは思う。



3Dキーキャップなら、
間違いなく「れ」は楽になるが、
まだ完璧な楽にはなっていない。
さてどっちへ進化しようかな。

論理配列設計だけなら、
「け」「れ」の交換の一手もまだあるし、
シフト側に落とすなら、「れ」「ね」の交換もある。
ただあんまりいい手ではないので、
ぐだぐだ考えてるうちに、
3Dキーキャップの試作は淡々と完成に近づいていたりする…



薙刀式の右小指下段「れ」は、
右小指全体の使用率が3%と、
他の配列に比べれば極端に低いにもかかわらず、
何故かよくやり玉にあがる。

僕も思ったより使う印象があるのはたしか。

パーセンテージだけでない何かがあるとして、
まず「ちゃんと当たってない」問題があるのでは、
と自覚している。
現状3Dキーキャップでは、
まだ外側が当たってる感覚なので、
もっと回転角を取らなくてはならない…
posted by おおおかとしひこ at 19:33| Comment(0) | カタナ式 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。