小指下段キーは打ちにくい。
それは不器用で弱い指の、しかも打ちづらい段だから?
それが主な原因ではないと僕は考える。
「そもそも、きちんと指の正面で当たってない」
ことが原因ではないか、と。
一番指に力が入るのはどこか?
突き刺し派なら指先の真ん中、
撫で打ち派なら指の腹、指紋の中央部だろう。
指の構造を考えれば、
そこが最も強いところで、
その他のところは弱いだろう。
だが小指は、その一番強いところで打っていない。
指はねじれている。
その構造を知る人は少ないのではないか?
どういうことかというと、
指先方向の軸に対して、
指は内側方向にねじれている。
手のひらの法線に対して、
指の正面は内側(右手だと左方向)を向いてるのだ。
人差し指を基準としたとき、
中指、薬指、小指はねじれがさらにきつくなる。
丸いものを持ち、保持するのに適した構造だ。
さらに、
指を曲げ、縮めると、
そのねじれ角はきつくなる。
よりねじれるようになっている。
指関節がねじれるのではなく、
指関節が、指先方向に対して微妙に斜めについているからだ。
人差し指では、指元に対してほぼまっすぐ指を曲げられるが、
中指、薬指、小指に至るほど、
指元より内側に指先が握られる構造になっている。
これは、指を縮めるだけでモノに引っかかりやすく、
ものを掴みやすい構造になっていると考えられる。
ねじれがどんどんきつくなるからね。
(日本刀は小指で持つ。小指を締めるなどという)
逆に掴んだものを離すときは、
指を伸ばせば離しやすい構造だと思う。
ホームポジションに構えたとき、
とくに小指の正面は、鉛直下を向いていない。
人差し指の正面を基準にしたとき、
右手ならやや左を向いているはずだ。
ねじれの蓄積が、小指が一番きついからだ。
そのぶん小指の、側面寄りがキーに触れているはずだ。
だから、
平面であるキーボードに触れたとき、
外側の指ほど、
真正面でなく外側が触れるようになる。
キートップ面の円筒形のえぐれは、
それを補正するためにあると考えられる。
指の正面がなんとなく当たるように出来ている。
だけど、
キーの打鍵方向とはすでにずれていて、
指の力の入る方向は正面より外側面だ。
上段を見てみると、
この指のねじれは、
指を伸ばすほどに解消していくから、
だからより正面が当たりやすくなる。
下段は逆で、
指を縮めるとねじれの傾向はさらに強くなる。
(ちなみに、
ロボットの指ってこうやってつくってるのかな?
少なくともガンダムの指はこうなっていない。
指先の方向に対して90度に曲がるだけだよな。
ロボット研究者はこのことに気づいてるだろうか?)
「上段は打ちやすいが、
下段は打ちにくい」
というキーボード打鍵上の経験則は、
このようなことも影響していると思う。
つまり上段はより指の正面が当たり、
力を入れやすいが、
下段はねじれの影響で、
中段の時点で外側の指は側面気味に当たっていて、
下段に指を縮めると、
さらに側面が当たってしまうからである。
この影響を一番受けるのは、
もっともねじれが強い、小指だ。
中段の時点ですでに側面が当たっていて、
小指下段を打つと、さらに側面が当たると思う。
フラットキーボード、パンタグラフでそれを最も実感できる。
右手だと、爪の右側面あたりがキーに当たるはず。
円筒形や球形に抉れている、
メンブレンや高級キーボードのトップ面では、
もうちょっと中央寄りに当たるが、
それにしても力の方向とは異なると思う。
僕がずっとご執心の3Dキーキャップは、
このギャップを解消しようというものである。
右小指下段でいえば、
下り坂になってて、指の縮みの角度を受け止め、
右に回転していて、指の縮みのねじれを受け止めるわけだ。
(前後の打鍵で縮み方が違うので、
動的な平均になることが理想だと最近わかった)
さて、
ようやく薙刀式の本題、右小指下段の「れ」である。
二つの立場があって、
右小指下段はこのように変な角度で当たるのだから、
「れ」よりも頻度の低いものに変えるべきだ、
というのと、
そもそも右小指下段はまともに当たってないんだから、
まともに当たるように物理キーボードを工夫して、
右小指下段本来のスペックを評価してから、
判断すればいいのでは?
だ。
自作キーボード、3Dキーキャップに出会う前なら、
迷いなく前者を取っていたが、
最近はずっと後者を考えているんだよね。
指が自然な打鍵をするときの、
自然な配列がいいんじゃないか、
と今は考えている。
ただ、多くのキーボードで、
そんな自然な打鍵が出来ないのだから、
やはり右小指下段はあまり使わないほうがいいのでは、
という考え方もあるとは思う。
3Dキーキャップなら、
間違いなく「れ」は楽になるが、
まだ完璧な楽にはなっていない。
さてどっちへ進化しようかな。
論理配列設計だけなら、
「け」「れ」の交換の一手もまだあるし、
シフト側に落とすなら、「れ」「ね」の交換もある。
ただあんまりいい手ではないので、
ぐだぐだ考えてるうちに、
3Dキーキャップの試作は淡々と完成に近づいていたりする…
薙刀式の右小指下段「れ」は、
右小指全体の使用率が3%と、
他の配列に比べれば極端に低いにもかかわらず、
何故かよくやり玉にあがる。
僕も思ったより使う印象があるのはたしか。
パーセンテージだけでない何かがあるとして、
まず「ちゃんと当たってない」問題があるのでは、
と自覚している。
現状3Dキーキャップでは、
まだ外側が当たってる感覚なので、
もっと回転角を取らなくてはならない…
2021年11月14日
この記事へのコメント
コメントを書く