2021年11月19日

【自キ】Tecsee2ステージスプリング37g

がTALPさんとこに入荷したので、
早速ゲットして色々テストしてみた。


結論からいうと、
Gateron Silver Pro
(3pin Pre-Lubed)に入れて、
Krytox 105でバネルブすると良い。

でも音が良くないので、
音関係なしの触覚の話を、
以下ではする。


そもそも2ステージスプリングは、
ふつうのスプリングと比べて何が良いのか?
2ステージはロングスプリングの改良版だ。
ロングスプリングの何がいいかというと、
「初動と底打ちの押下圧の差が少ないこと」だ。

バネ荷重は、
初動、アクチュエーション、底打ちと、
直線に変化する(リニア、線形特性)が、
ノーマルの長さだと、
初動が軽く、アクチュエーションで重みを感じる。

だが初動の第一印象のノリで、
指は加速しようとするため、
押下重の軽いノーマルスプリングでは、
底打ちで力を入れすぎて指を痛める現象がある。

ロングスプリングだと、
最初からやや重く、
ノーマルに比べて重くなっていく率が低いので、
指は無茶して底打ちしない。
なので結果的に軽く感じて、
指を痛めないという効果がある。


2ステージはそのロングスプリングを、
直列二分割したような構造になっていて、
バネ定数を一定にしないことで、
共鳴現象を避けて安定しているらしい。

僕の見立てでは、半分のバネの定数Rと、
バネ定数R0の関係は、
1/R0 = 1/R+1/R
の関係があるはずで、
単に軽いロングスプリングを作ると脆くなるが、
2ステージだと半分のバネを強く作れるのではないかと考えている。

いずれにせよ、
2ステージは、ノーマルバネよりコシがあり、
ロングスプリングよりツヤがある気がする。

で、
なかなかそれで僕好みの軽いやつがなかったんだが、
ついに交換用の37gの2ステージが出たのでゲットしたわけ。


僕の現在のフェイバリットスイッチは、
スピードスイッチかつBoxステムかつ2ステージの、
Gateron Silver Proだけど、
アクチュエーション45gと、まあまあ重い。
(標準なんだけど、一日使えないよね)

まずはこれに入れてみる。

打鍵感が安くなった。


「重いバネはしっとりとして高級感があるが、
軽いバネはスカスカになって安っぽくなる」
現象がある。
これもそれを感じる。

で、ためしにバネルブをしてみたら、
わりとしっとりして滑らかに良くなった。

スプリングがこすれて抵抗を生じて、
安っぽさを感じるのかも知れない。


さて、他の35g系のスイッチと比較しよう。

Gateron Clear(ノーマル35g)
Akko Vintage White(ロングスプリング35g)
Gateron White Pro(2ステージ35g)

いずれも普通のステムで、
軸安定性はSilverに負ける。
Akkoはルブをしないというポリシーだが、
35g程度だとルブなしでも滑らかに感じる。
そのかわりめちゃくちゃ長いスプリングを入れてて、
最初から長いバネを縮めた状態でセットするから、
横ズレが起こりにくい張力が張った状態であることが想像される。

Gateronの白は2ステージ35で、
なかなかの完成度なんだけど、
スピード接点じゃないのが残念、という一品。

まあ、
「アクチュエーションまでを短くして、
なおかつ35以下に軽くしたい」
という仕事量最小化したい変態は、
あまりいないのかも知れないね。

Gateron Clearは元祖軽いスイッチで、
これ欲しさにアメリカからキーボードを輸入したのが、
僕のスイッチ凝りのデビューかもだ。
さすがに今イイとは言えない。
色んないいものを知ってしまったので。


35gと37gは比較すれば微差はわかるが、
パッと見では感じる差ではない。

底打ちの感触は、
ステムとボトムハウジングの材料、厚み、
反発係数などによるのだろう。

Gateron Pro Whiteが柔らかく、
Silver Pro 2ステージ37換装が次に柔らかく、
Akkoが少し硬く、
Gateron Clearが一番硬かった。

僕は底にプラ板を仕込んで底打ちの感触を柔らかくしているため、
あんまり追求してないが、
ノーマルで使うなら底打ちの感触こそ、
軽いスイッチのキモになりそうだ。


で、
冒頭の感想に戻る。
バネルブをしてしっとりさせた、
Silver Proは感触的にかなりよいが、
これらの比較の中で、
最も音が甲高くなってしまう。

それを筐体で調整したり、
中敷きの改造でマシにすれば、
オススメの改造になるかも知れない。


また、他のスイッチに仕込むバネとして、
ふつうのバネ35gより、
この2ステージのほうが安定性が高いと思う。
バネルブは必須だね。
Krytox 105でバッグルブしました。




今僕が使ってるスイッチは、
Gateron Silver Proを、
アクチュエーションやトラベリングを短くして、
45gの2ステージをバネ切りして軽くしたものなのだが、
それに切らないこのバネを入れてみた。

…と、かなりなロングスプリングなので、
粘りが出て、高級な感触になる。
バネ切りしたものはなんとなく30gくらいで、
37gにしたことで「重くなった高級感」の可能性はあるものの、
底打ちの粘る感覚が、
指へのダメージを軽減しているように思える。

コトコトといっていたスイッチが、
トトトト、くらいになった感じ。
これがスプリングの重さによるファクターなのか、
バネを切ったことでロング性が失われていて、
軽く長いバネにしたことでの、
初動と底打ちの差のないファクターなのかでいうと、
後者の割合が高く感じる。

ただ、重くなったことで、
疲れる可能性はあり、
押下重の疲れの要素が疲れになるのか、
底打ちのダメージの要素が疲れになるのかは、
これから耐久試験をしてみないと分からない。

しかし第一印象はとてもよいぞ。


なかなか面白いバネなので、
軽く、高級な感触が欲しい人は、
試してみてはどうだろう。
「数量限定」とあるのは、
需要がそこまで見込めないの意味だと思うので、
これが普及したらみんなこれを好むと思うがなあ。

もう60gオーバーの世界に行くつもりはないんだよね。
鉛直軸方向より、
指を動かす平面方向に力を使っているので。
posted by おおおかとしひこ at 09:32| Comment(2) | カタナ式 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
記事を拝見したときには売り切れていたのですが、昨日入荷したので早速注文しました。
2ステージは色々研究しがいがありそうなので楽しみです。
Posted by Yuichi Abe at 2021年11月29日 10:36
>Yuichi Abeさん

何かを改造するときに使えるパーツだと思います。
Gateron Silverのノーマル45gでPallete1202を動かしてたんですが、
流石に重くて、一日やると左手が疲れて、
とりあえずGateron Pro whiteの35gの2ステージに換装して、
作業を続けてます。
左手マクロだと、アクチュエーションよりも押下圧のほうがとりあえず効果的のようです。

このスプリング、Ink Yellowとかに入れても面白いかもですね。
直進性が高いけどバネが重いのがなー、ってやつに入れると何でも面白そう。
(軽いバネにした途端グラつきが目立つハウジングも結構ありますが)
2ステージはどの場所でもフラフラしない、粘りみたいなのを感じます。
Posted by おおおかとしひこ at 2021年11月29日 11:25
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