2021年11月19日

モンタージュ効果

それ単独ではその意味はなかったはずなのに、
特定の並びになることで、
別の意味が発生してしまう現象。
「下ネタを言ったあとにシャウエッセンの話をすると、
すべて下ネタになる」
という例で確認できる。

すべての編集、物語はこれを利用して話をすすめる。

最近の例で見てみよう。


北海道シチューCM、冬版15秒形は、
寒い中二人で作業して、あったかいシチューを食べる話だ。
ストーリー(特別な事件とその解決)というほどではなくて、
シチュエーションのつながり程度のタイムラインだろう。

ところが、
90秒版を見たあと、
15秒版を見ると解釈が変わる。


90秒版は、
妻が忘れた手袋というシチュエーションで、
夫が自分の手袋を脱いでつけてくれるという、
少女漫画的マフラーシチュエーションの、
北海道版を新しく作ろうと試みたストーリーだ。
(北海道の人はマフラーをしない。
邪魔だからね。首元のしっかりした上着を着るだけだ。
東京だと電車の中や店内は暑すぎるから、
マフラーで首元調整しやすいんだが)

さて、
この90秒版を見たあと15秒版を見ると、
「あの手袋は、松坂桃李がつけてくれたやつだな、
ふふふ」
と、二人の秘密を知ってる人の気分になれる。

これがモンタージュ効果である。

同じもののはずなのに、
意味を知った「あと」では、
別の意味に見えるわけだ。


なぜ編集で、
シーンの入れ替え、
カットの入れ替え、
セリフの入れ替えが存在するのか?

モンタージュ効果をつくる、
除去する、変更する、
意図しないモンタージュ効果を整理するためである。


編集と同じことは、
本質的にシナリオで出来る。


シナリオで、シーンの順番を入れ替えたりすることは、
稀によくある。
それは、モンタージュ効果を調整しているのだ。

「単にその方が気持ち良いから」
という理由で順番を入れ替えるのは、
間違いではないが間違い。
モンタージュ効果を分かった上で、
それをコントロールしよう。


今回の90秒版は、15秒版にモンタージュ効果を与えるために、
作ってたりするんだよね。
ファンだけのお楽しみということで。



なぜ第一印象を大事にして、
それをコントロールするのか?
その後すべてにわたって、
モンタージュ効果をつくるためだ。
posted by おおおかとしひこ at 10:50| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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