概観してみたくて、まとめてみる。
【英字】
(最初期)上段に母音、中下段に子音
→qwerty(おそらく色んなTIPSが含まれて動いた結果)
→中段に頻度の高いやつを集めて、左右交互打鍵にする(Dvorak)
→同時押しを多用して、よく使うフレーズを出したり、
キー数を減らす(ステノグラフ)
→よく使う文字を中段に、人差し指方面に集めて、
上下段や弱い指の頻度は下げる(Colemak、Workman)
→qwertyからの移行コストを減らした、最低限効率化(Minimakなど)
【ローマ字】
qwertyローマ字
→dvorakローマ字で、英語ローマ字を効率化
→ローマ字のみに特化、
左右に子音母音を分離する(行段系ローマ字)
→子音母音混在系ローマ字
→弱い指を使わず、配列内にカーソルBSエンターを盛り込む(カタナ式)
→英語でもローマ字でも使えるやつ(Eucalynなど)
【フリック】
ガラケーのトグル入力
→何回も押すのではなく、押しながら4方向に滑らす(フリック)
【カナ】
Stickny三段、シフトは小指
→4段でほぼ全部単打、行をまとめて探しやすくする(JISカナ)
→三段に戻す、親指二つに特殊キーを置き同時打鍵でシフト、
出現頻度に応じてカナを並べる(親指シフト)
→親指一本でセンターシフト、左右交互重視に並び替え(新JIS)
→中指二本で前置シフト(花、月)
→薬指二本で前置シフト(月の派生)
→中指薬指同時シフト、1モーラ1アクション(下駄)
→一方、親指シフト系列は同時連続シフトで、
よく出る連接を打ちやすいようにする(飛鳥)
→拗音を左右同時のマトリックスで打つ(蜂蜜小梅)
→1モーラ1アクションで清濁別置、拗音も一発(新下駄)
→行段同時押しでカナ(phoenix)
→行段同時押しでカナ、よく使うカナは単打(よだか、かわせみ)
→1モーラ1アクション、清濁半小、拗音外来音同置、
BSカーソルエンターも配列内にいれこむ、
意味や用途によってカナを分類し、左右にわける(薙刀式)
こんな感じ?
主に「考え方」のようなものを重視した。
→で繋いだのは直列ではなく、
分岐もあると思う。
薙刀式から見た歴史観だとは思うけど、
論点は絞れる。
・見つけやすい配置(初期のタイプライター、JISカナ)か、
頻度に合わせた配置(新配列全般)か
・サイトメソッド(JISカナ)か、
ブラインドタッチ(新配列全般)か
・シフトせずフルキー使う(ローマ字、JISカナ)か、
シフトして打鍵範囲を狭める(新配列全般)か
・濁音を数打にするか、一打(1アクション含む)にするか
半濁音、小書き、拗音、外来音を以下同
・清濁同置か、別置か、
全部別置か、同置(薙刀式のみ)か
・よく使う連接を、左右交互打鍵か(新JIS、月系)、
中段アルペジオか(飛鳥)、
外→内のアルペジオか(新下駄)、
意味によって左右アルペジオを使い分ける(薙刀式)か
・BS、カーソル、シフトカーソル、エンター、
IMEオンオフなど、変換機構に必要なキーを、
配列内に入れ込んでいるか(薙刀式では単打と編集モードで充実)
・記号を整理しているか(薙刀式ではマクロも込みで充実)
後半になればなるほど、
薙刀式がカナ配列に新パラダイムを盛り込んだ、
みたいになっている。(薙刀式史観なので)
薙刀式は配列界隈からすると、
それまでの文脈から関係ないところに現れた、
宇宙人のような存在に見えてくる。
でもほんとうは「文字をずっと入力すること」を、
最も労力を減らせるようにしたら、
従来のカナ配列が触れてこなかったところに、
結果的に触れているような気がする。
それは無駄だからやらなかったことなのか、
誰も気づいてない鉱脈だったかは、
以後の歴史で証明されるだろう。
従来の配列がタイピングゲーム、
つまりランダムな単語ないし短い文で、
変換もなく句読点もないような文字列を、
短期的に最高速で打つ実証で、
タイパーたちに対抗してきたのに対して、
「それはふつうに文章を書くことから遠い」
と、別の場所から見ているのが、
薙刀式のような気がする。
ぶっちゃけ、タイピングゲームで速くなることは、
文章を書くことと関係ないとすら思っている。
(タイプウェルSCくらいまでは目的と手段が一致してると思うけど、
その先は別れ道になってると思う)
言葉の意味を重視して左右に分けたり、
あえて頻度の低いものを単打に昇格させて、
「本質的な言葉は打ちやすくする」なんてことを考えたり、
アイデアメモから入稿まで、
すべての段階の作業の効率化を考えたりしてるのは、
薙刀式だけかもしれない。
かつて日本語ワープロが、
「どうやって日本語を書く習慣を、
コンピュータに移植するか」
を模索した時期があり、
それは80年代から90年代初頭まで進化し続けた。
だがWindowsがデファクトになるにつれて進化は止まり、
それどころかレガシーが開発した思想さえ忘れられて、
退化を始めているようにすら思う。
僕は「使える道具がない」という個人的な理由から、
使える道具を作ってきたのだが、
結果的に、
ワープロ時代の開発を継ごうとしてるのかもなあ、
などと俯瞰してみて思っている。
IMEはGoogleへと進化しつつあるが、
みんなの誤変換を学習してしまうことが最大のガンだ。
デマの広がり、エコーチェンバーに似ている。
正しい辞書と比較するプログラムが、
クラウドにないと困るだろう。
それらをうまく操作する仕組みができたら、
日本語入力はもう一段階進化するかも?
楽したい。
たかが道具に足を引っ張られたくない。
それが進化の原動力だろう。
そうやって、少しずつ配列は進化しているように見える。
僕の中では絶対横綱が新下駄と飛鳥で、
月が大関。
薙刀式が、そこに食い込めたら面白いなあと思っている。
(いろは坂や和音漢直みたいな大胆な試みや、
漢直などの別建てはとりあえず議論からはずした。
そちらが伸びて行く可能性ももちろんある)
2021年11月24日
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