薙刀式の単打とシフトカナの住み分けは、
実は口の形に影響を受けていると気づいた。
ア行、カ行、サ行、タ行、ハ行あたりは、
発音しやすい。
母音を出したまま口の形を作ればいい感じ。
だが、
ナ行、マ行、ヤ行、ワ行は、
一回口を準備してから母音が遅れて出る感覚がある。
ぬ…あで「な」みたいな。
発音するのが速い音は単打、
ちょっと遅れる音はシフトなのでは?
と思い、調べてみた。
速いもの
ア行 単打3、シフト2
カ行 単打5
サ行 単打3、シフト2
タ行 単打3、シフト2
ハ行 単打4、シフト1
ラ行 単打4、シフト1
遅いもの
ナ行 単打1、シフト4
マ行 シフト5
ヤ行 シフト3
ワ行 単打1、シフト2
単打とシフトのバランスが多少前後するものの、
「速い音は単打、遅い音はシフト」
という全体の傾向がおおむねあるようだ。
僕の脳内では脳内発声がなく、
言葉の概念でものごとがすすみ、
脳内発声のないカナ配列でタイプしていると思っていたが、
「概念からカナへの変換過程」において、
「カナの速度」というのがあり、
その感覚に応じて、
単打かシフトかが、
どうやら決まっているらしい。
頻度や連接重視の新配列では、
「の」や「ま」のような重要カナは、
単打側に出るのが普通だ。
ところが薙刀式では、
これは両方ともシフトなんだよね。
とはいえ、FJのシフトだから、
下手な位置の単打よりもいい場所ではある。
これはわりと変わった方法論で、
たぶん他の配列では見ないやり方だ。
自分の無意識はなぜそういう選択をしたのだろう、
と考えていて、
ひょっとして「ぬ…お」「む…あ」という、
口の形の「間」(ミリ秒程度だろうが)を、
センターシフトで表現しているのでは?
と気づいたのだ。
親指同時シフトじゃなくて、
前置かつ押しっぱなしの通常シフトを選んだのは、
SandSが気に入ったことと、
連続シフトを実装するDvorakJの制限であったわけだが
(QMKでは飛鳥と同様の、同時連続シフト方式も選択できる)、
僕がそれに違和感を感じず、
むしろ自然に打っていたのは、
この「口の形を前もって作る」ことを、
無意識にシミュレートしていたからでは、
ということ?
言葉の原初は音だ。
音は書き文字になった。
僕は書き文字で考え、書き、音を排する方向で、
物書きをしていたつもりだが、
こんな意外なところで音の要素があるなんてね。
次の薙刀式動画では、
スローモーションを多用して、
どういう指の動きかを観察する場面が多い。
それをぼーっと見ていて、
単打は速いよなあ、
シフトは半テンポ遅いよなあ、
何が違うんやろなあ、
と考えていて、
口の形のシミュレートだと、
気づいたわけだ。
スローにして気づいたけど、
実際は1/5秒以内の出来事の話。
薙刀式は、
「口腔内でやることを、親指で代わりにやる」んだね。
脳内発声がないならば、
1モーラ1アクションに拘らなくてもいいはずだけど、
やっぱり気持ち良いのは、
その身体的感覚が、
どこかで繋がっているからではないかと思った。
脳内発声はないが、
手が口のように動く身体性は残っている、
みたいなことだろうか。
これは、速度や楽さに対して、
枷になってるのか、それとも追い風になってるのか、
ちょっと判断しづらい。
思考や文章には身体性がないが、
書く身体には身体性がある、
みたいな発見かなあ。
僕が、
3Dキーキャップをつくったり、
キースイッチを改造したり、
打鍵姿勢を色々検討したりなどの、
身体性が最近気になってるのは、
なんだかんだ身体性がタイピングから切り離せないからかもなあ。
一方手書きのニョロニョロと線を書く行為は、
タイピングの身体性とは異なる気がする。
このへんをうまく一致させる方法があるのか、
あるいはどちらかが勝るのか、
あたりが僕の知りたいことなんだろう。
2022年01月01日
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