2022年01月04日

自由エネルギー原理

「培養した人間の脳細胞に、ピンポンゲームを学習させると、
機械学習(プログラム的AI)よりも学習効率が良かった」
というマッドサイエンティストな実験。
そのことに深く突っ込んだ、自由エネルギー原理の解説が面白い。
https://note.com/masa_kazama/n/n004e8b4e0d52


つまりは、
予測可能な方向に人は行動して、
予測不可能なノイズを避ける、
エントロピー的な行動原理があれば、
人は学習し、行動し、探求するのであるわけだ。

これは哲学ではなし得なかった、
定量的計算科学、脳科学、認知科学などの、
総合的な研究がなした、
パラダイム転換が起こりそうだ。
ものごとが単純化されるのがすばらしい。


物語についていえば、
予測可能で詰まらない日常から、
日常をよくしてくれそうな新しい何かに出会い
(僕はそれを異物と呼んでいる)、
自由エネルギー原理最小へ傾くことを期待して、
行動をはじめるわけだ。(冒頭のヒキ、期待)

しかしそれはノイズを増やす方向になり、
にっちもさっちもいかなくなる。
(コンフリクト、展開)

それらをうまくまとめる最良の方法にたどりつき、
一気にノイズをクリアする。
(第二ターニングポイント→クライマックス)

このことによって、
自由エネルギーは、
最初より少なくなり、
よりエントロピーの低い、幸せな世界になった、
ということである。


人生における、
自由エネルギー原理による行動を、
ある時間の中で成功させた架空のものを、
物語と呼び、
我々はそれをシミュレートして、
娯楽としている、
と考えることができる。


つまり、この原理に反する、
へたくそな脚本は、つまらないのだろう。
すなわち、ヒキで期待できないとか、
コンフリクトがおもしろくないとか、
クライマックスが出口と最後の壁に見えていないとか、
ラストが最初より良くなっていないとか、
全体の流れに無理があるとか、
無駄がある(それこそ過程の最小ではない)とか。

この統一的原理をもってすれば、
なぜ人が物語を欲するか、
根源的なことが言えるかもしれない。
自由エネルギー原理のシミュレーションをして、
学習したことが快感だから、
世界をテーマによって整理できたから、
といえるのではないだろうか?
posted by おおおかとしひこ at 17:03| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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