セットアップに比べて、
展開部は展開が速いはずだ。
そうなっていない展開部は、退屈の対象になるかもしれない。
なぜなら、
ストーリー全体を通じて、
展開の速度はどんどん上がっていくものだからだ。
展開は加速を求められていて、
どんどん事態は変わっていくこと、
よりひどくなっていくこと、
そしてそれを最後に大逆転することが期待されている。
だから、展開部が過去の一幕より展開が遅いと、
小康状態となって退屈するわけだ。
ストーリーを書いている作者自身は膠着状態に悩むことになるが、
書き終えたものは、膠着を感じさせない、
一気に、怒涛に、展開するものが求められている。
なぜそうなるかを考えると、
セットアップは丁寧にやるべきだから時間がかかるが、
展開は「それを使って何かをする」だから、
セットアップに時間をかけなくていいからだろう。
もちろん、新要素が出てきたらそのたびにその設定をしなければならないので、
まったく説明なしで展開が続くことはまれであろう。
だから、都度説明が入るのは当然だと思う。
(前提すべてを一幕で説明する必要はない。
ゲームの説明書を最初に全部読んでから始める人はまれだ。
新要素がでてきたら、説明を挟めばいいのだ)
で、
それがちょいちょい挟まれたとしても、
すでに知っている要素を組み合わせるのが展開だ、
と思うと良い。
つまり、一幕と、直前に説明した要素が、
どんどん絡んで先に進むことが、
展開だということだ。
展開に困ったら、
これまでの要素のうち、
まだ絡んでいないものは何かを洗い出すとよい。
ストーリー全体には絡んでいないかも知れないが、
一度絡ませておくとサブプロットを発生して、
何かに利用できる可能性もある。
もう絡ませる要素がない、
全部使ったよ、ってなったら、
始めて新要素を投入すればいいだけの話だ。
で、その新要素投入までは、
展開は速いと考えられる。
なぜなら説明を省いてきたからだ。
つまり、説明した仕込みよりも、
それらを消費するほうが速い。
だから展開部は、設定部より速いのである。
一個一個積み上げてきたものは、
ジェンガのように一瞬で崩れる展開となる。
あなたが展開に困っているならば、
ジェンガのように絡み、崩れていくものが、
充分に準備されていないか、
それともまだ絡んでいないものに気づいていないかだろう。
展開部は展開が速くなる。
その流れをつくるのが展開部だ。
進み、止まり、進んでは止まるような、
ぎくしゃくした展開は、面白い展開とは言えない。
もっと怒涛になるように、事前に組み上げておくべきだ。
次々に襲ってくる敵、次々にクリアしていく展開こそが、
面白い展開というものだ。
もちろん、この「敵」というのはたとえ話で、
ストーリー論ではこれは「障害」と一般に呼ばれるものになる。
2022年01月31日
この記事へのコメント
コメントを書く