これを意識すると二幕は面白く書けるのではないか。
第一ターニングポイントから始まり、
ミッドポイントを経て、
第二ターニングポイントで終わる第二幕は、
全体の展開部、一時間を担う部分で、
書くことが大変難しい。
一時間話を持たせることがまず難しい。
興味を誘導して、しかも感情をいろいろ起こさないといけない。
飽きたり停滞したりすることを避けながら、
たくみに観客を引き付けることは至難の業だ。
で、それをうまく書ききるコツとして、
前半と後半の色を変えるといいと思う。
前半のトーンがミッドポイントという大きなターニングポイントで、
一気にムードが変わって、後半のムードになってしまう、
というのがいいと思うんだよね。
そうすると前半と後半の役割が大きく分かれて、
しかも飽きずに行けると思う。
最近思うのは、
前半部を世界が拡大するわくわく感、
後半部を、その世界の裏張り、
みたいに考えるといいなと思っている。
どういうことかというと、
前半部は、新しい世界に突入して、
世界が拡大する面白さがあるといいと思っている。
後半部は、その新しい世界が、
そこで暮らしたり生きたりすることで、
最初ほどよくないぞ、よくよく観察すればいやなところでいっぱいだ、
という風になるといいと思う。
たとえば前半が遊園地のような感覚だとすると、
後半は、その遊園地をよく見ると、
すすけていたり、ボルトが緩んでいたり、
バイトはブラック労働だったりすることが分かる、
そういう感じ。
せっかく夢のような新世界だと思ったのに、
夢のような世界はなく、
「ここも世界のひとつに過ぎない」が分かったほうが、
いいと思うんだよね。
とくにオリジナルの世界観で勝負しようとしている場合、
そのせっかく作った世界が、
案外たいしたことなく、徐々にメッキがはがれていくとか、
崩壊していくとか、
危ういバランスの上にいたものがどんどん崩れていくとか、
そういう風に展開していくと、
面白くなると思う。
世界観は壊すためにあるが、
それが壊れるのはクライマックスとしても、
「ここはもう持たないかも知れない」なんて裏の部分が分ってくるのが、
面白いと思うんだよな。
だからこそ、夢の世界に安住するのではなく、
新しい何かをなして元の世界に戻ろうとする主人公に、
感情移入できるんだと思うよ。
ミッドポイントから第二ターニングポイントはとくに難しいので、
前半部で描いたことの裏がすすけて見えるようなことが起こったりすることを意識すると、
崩していきやすいのではないかなあ。
映画のセットって表の面は豪華絢爛だけど、
裏に回ったら、ベニヤと角材で作られているじゃない?
そんな感じ。
セットの面が二幕前半、
その裏面のベニヤと角材の部分が後半だと思うと、
このセット全体をひっくり返したくなると思うんだよな。
そんな箱庭のイメージだ。
2022年02月07日
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