2022年01月21日

【薙刀式】文字、変換操作、記号

この三つをどのように統合、分離するかは、
入力環境の改善であるところの配列の、
実はグランドデザインのひとつかもしれない。


文字…アルファベット、カナ
   句読点、長音、促音は文字に含むだろう

記号…「」?!…()などの日本語文章でよく使うもの
    数字、英文によく使う記号
    その他プログラミングに使う記号類

変換操作…IME切り替え、スペース、変換、カーソル、シフト、
     エンター、BS、Del、ホーム、エンド、
     ショートカット類、Ctrl


JISキーボードを見ておくと、
文字はホームポジション近辺にあるが、
長音は遠い。
文字を打つ動線が洗練されているとはとてもいえない。
(これが新配列をつくる動機だろう)


記号類は使いにくい。
ブラインドタッチできる人は稀であろう。
そして動線もとても遠い。
仮にブラインドタッチしても小指バインドなので、
大変疲れると思う。
小説で「」なんて何千回も出てくるんだぜ。

英字文章前提ならば、US配列の記号配置は、
JISに比べて合理的で使いやすい。
それを前提としたアプリのショートカットは、
JIS配列だと非常に使いにくい。
(+-が隣り合ってペアになっている前提の拡大縮小が、
明後日のペアになってしまったりなど)

記号類がJISとUSで異なるのは、
ベースになったキーボードが異なるからだ。
策定された時点ではUS配列が生き残ると思えなかったのかも知れない。
数字段の記号を全部覚えてる人はなかなかいないだろう。
678あたりが僕は怪しい。

また、英語以外の言語用のキーボードでは、
英語にも日本語にもない記号がたくさんある。
それらの配置は合理的なのだろうか?
自国語を愛するフランスでは、
フランス語を打つために合理的に再配置された、
第二キーボードを策定したそうだ。
それの使用率や評判など、日本では情報がほとんど入ってこないのが残念。

異同の多いヨーロッパ圏では、
右AltキーをAltGRキーと定義して、
特殊記号のモデファイアキーにしていたりする。

それもこれも、
大元のqwertyキーボードを崩さないように、
崩さないように定めてあるだけで、
大元の背骨が歪んでいるから、
キュビズムみたいな建築になっていると思う。


日本語の変換操作系は、
類を見ない愚かな体系だと思う。
これが戦闘機の操作法だったら、
間違いなく多くの人は墜落したり撃墜されるだろう。
無駄な動線、目視でないと使えない、
ホームポジションから遠すぎるそれらは、
「合理的な動線を持った入力法とは何か」
という議論を経ていない、
場当たりのサグラダファミリアだ。

ピアニストでもこんな複雑な曲は弾くまい。
「美しくない曲」と唾棄されるだろう。



新配列は、
こうした、複雑で入り組んだ迷路を、
整理して万人に使いやすくすることを、
目的としたものだと考えられる。

だけど、
文字配列までは手をつけたものの、
その他まで踏み入っている配列はあまりない。
飛鳥、新下駄、薙刀式などが代表的だろうか。

記号類は人によって使うものが大きく違うし、
文字操作類も人によってやり方が違うだろうことは、
想像に難くない。

だが、それらを配列内に織り込んだ上で、
自由に拡張できるようにしているかといえばそうでもないんじゃないかな。
「文字配列だけ変えて、あとはデフォルト」
ないし、
「文字配列だけ変えて、あとは各自」
と文字配列ユニットだけ、
独立して考えているものが多いと思う。

単純に文字配列だけでも大変で、
話がややこしくなるというのが理由だとは思う。
「あとは各自」にすることで、
考える範囲が限定できるし。


とはいえ、
文字、記号、操作系は、
渾然一体となったものであり、
それらをどのように整理するべきかは、
議論するべき対象だと考えている。

僕は単純に、
文字配列だけ変えたって、
最終的に幸せになってないと感じる。
なので結局編集モードをいじくって、
「文章を書くときに31キーだけで済む
(マウスすら使わずに)」
ことを目的として薙刀式に畳み込んだ。

ここまで考え抜いて、
動線を整理した配列は、
今のところ薙刀式だけだろうと思う。
もっとみんなオレのショートカット集を披露すればいいと思う。

ただキーマップだけを見せるのは意味なくて、
これとこれをペアで使うから使いやすいとか、
このあとにこれが来るからこういう運指なんだとか、
そういうものを知りたいんだよね。
説明がすごく難しいけど、
そういう議論がないと、
こういう機能や記号が動線形成するべきだ、
ということが分からないと思うのだ。


自作キーボードやそれ以前の新下駄の記号部にもあるやつで、
「「」一文字戻る」は、
使い勝手がいいよね。
(薙刀式はその中を完成させたあとに、
カッコの外に出るショートカットの動線まで考えてある)

自作キーボードで左右分割式だと、
開きカッコは左手、閉じカッコは右手の対称位置、
なんてなってるのもよく見る。
直感的でいい配置だと思う。

JISキーボードでもAHKなどで親指キーに機能キーを振ることは、
昔からやられてきたけれど、
自作キーボードでは、親指にたくさんの機能を割り付けるのが常識だ。
機能キーやレイヤーキーはもちろん、
Space and Shift、Ctrl and Enter、
BSとレイヤーキーを同じにするなど、
単押しと押しっぱなしで機能が変わるキーにする手もある
(ワンショットモデファイア)。
ダブルクリック、トリプルクリックに機能割り付けも、
自作キーボードならできる(タップダンス)。

ノートPCなどでは、
キーの範囲が狭いから、
Fnキーとの組み合わせでテンキーを打てるようにしていたりする。
数字段で一列に並んでるより、
テンキー型の方が使いやすいと僕は思うので、
僕のMiniAxeではRaise+右手の同手でテンキーだ。

このFnキーをどこに置くか、
Fnキーとの組み合わせで何をどこに置くかは、
自作キーボードにおける、
レイヤーキーとまったくおなじだ。

市販のキーボードではFnキーは、
端っこの方の使いにくいところに置かれることが多い。
既存配列を壊さないようにすると、
そこしかないのだろう。
だが自作キーボードでは、
親指の特等席にこれがあることが多い。

特に日本で多い左右分割キーボードでは、
この親指の活用に特徴がある。

海外だと、完成度の高いUS配列をいじらずに、
物理的打鍵感や、デザイン性を追求したものが多い。

彼我の差は、英語入力と日本語入力の、
完成度の差だと僕は考えている。
日本語入力は、英語に比べて、
やることが多いし動線が複雑なのだ。

だから少しでも、自作キーボーダーは、
合理的に楽しようとするわけだ。


薙刀式では、
日本語入力を31キーに収めた。
残りのプログラミングやらファイル操作やらするように、
+5キー加えて、
僕は36キーでPCを使っていて、
とくに問題は感じない。
ただショートカットを多用するアプリを使うときは、
専用のキーマップを持ったマクロパッドを使う。

キーボードは汎用の忖度をしすぎて、
専用が弱くなったのだと思う。



さて、
文字配列は、文字だけを扱ってるだけでは、
帯に短しだと思われる。

他は大変だからやらないす、というスタンスも勿論あるけど、
どのような拡張性を用意していて、
こういう風に使いやすくなることを想定してる、
くらいは、
やっておくべきだと思うんだよね。
文字配列だけでは、
日本語入力の動線の整理されてなさを、
カバーしきれないと僕は考えているので。



もしIMEの操作体系ごとグランドデザインできて、
キーボード入力体系全体を作り直して良い、
となったら理想はなにか?
と、時々妄想することがある。

フリックは、それを日本語入力史でやってのけた、
時代を変えた入力法だと思うんだよね。

自作キーボードをやればやるほど、
IMEやエディタの問題に突き当たることがある。
専門化が進みすぎて、セクショナリズムに陥ってる気がするな。

「ことばをデジタルにする」という目的では、
ワープロ時代のメーカーの方が幸せだっただろう。
まあ現代はメーカーを介さず色んなことができるから、
面白いのは今の方かもだが。
posted by おおおかとしひこ at 14:06| Comment(0) | カタナ式 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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