あまりにも素晴らしすぎて、拍手しかなかった。
サム・ライミ版の1からの、
スパイダーマンを完結させてくれてありがとう。
あの日蜘蛛に噛まれて始まった、
ピーターパーカーの冒険を、
ここまで見てきてほんとうによかった。
ネタバレなしで批評したい。
この物語単体のテーマはなんだろう。
「セカンドチャンス」だろうね。
もう一度やり直せるなんて簡単なことを言うけれど、
そんなにうまいこと行くわけがない。
スパイダーマンのヴィランたちは、
ただの純粋な悪は少なくて、
なんらかの暗黒面に落ちた理由があることが多い。
その結果怪人になったパターンがね。
本当はその心の闇まで完全に晴らして欲しかったが、
悪役総集合という今回のネタでは、
拾いきれなかったのは残念だ。
怪獣墓場からかつて倒した敵たちが蘇るのは、
ウルトラマンでもやったことだ。
今回のネタはマルチバース、
いわゆるパラレルワールドだね。
パラレルワールドから呼び寄せてしまったヴィラン「たち」が、
今回の敵だ。
彼らをそのまま元の世界に帰せば済む話だった。
だがそのまま帰せば、その世界のスパイダーマンに、
殺されてしまう運命だ。
今回のピーターパーカーは、
「彼らを治せば、運命は変わる」と考える。
セカンドチャンスが生まれると信じて。
だがそのことによって、
とてつもない悲劇が襲う。
ピーターの判断は正しかったのか?
誰にとってのセカンドチャンスなのか?
このセンタークエスチョンを、
見事に落としてきたのは、
ものすごい脚本力だ。
僕はマーベルコミックを読まないが、
このアイデアは原作的なものにあるのだろうか?
物凄いアイデアだぜ。
よく考えればパラレルワールドものにありがち、
な後半のアイデアだけど、
「セカンドチャンス」というテーマに、
全て落としてくる見事さ。
号泣するしかない。
新聞社のあの親父が出てきたラストから、
ついにライミ版3の完結の失敗を拭うチャンスが来たと、
僕はものすごく期待したが、
しばらくゴタゴタがあって、
たぶん成功しないだろうと予測していた。
でもスパイダーマンは、
支える脚本家に恵まれた。
こんな回収の仕方があったのか。
パラレルワールドものは基本嫌いだけど、
このアイデアのためなら許す。
ライミ版スパイダーマン3の失敗だけでなく、
リブート版アメイジングスパイダーマンの失敗の尻拭いをも、
この映画はやってのけた。
魔法と科学というご都合主義は、
セカンドチャンスを描くための、
単なるマクガフィンに過ぎない。
ラスト、ピーターパーカーの決断が素晴らしい。
これ以上は映画館で号泣しながら見るがいい。
ゴースパイディーゴー。
お前こそ本当のヒーローだ。
2022年01月22日
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