2022年01月27日

身長を想像する

ストーリーをつくるときに、
登場人物は比較的抽象化される。
なので、時々こういうことを考えるのも、
手がかりになったりする。


テンプレはいくつかある。

・小柄で、積極的で跳ね回り、怒ると攻撃的な感じ
・デカイ大男で戦闘力が強く、
 気は優しい(意外な怖がりの弱点があったりする)
・デブで食いしん坊でだらしなくてオタク
・長身の2枚目、病んでる
・長身のモデル体型、一見完璧だが寂しがり屋とか
・長身でガタイがよく、リーダータイプ

テンプレを使っても良いし、
適宜変えても良い。

キャラクターにあまり身長は関係ない説もあるけど、
リアルだと人格形成に与える影響は、
わりとあると思う。

ざっくりいうと、
「自分より上が沢山いる世界に生まれ落ちたか」
「自分より下ばかりの世界に生まれ落ちたか」
「自分より上も下もいる世界に生まれ落ちたか」
だと思う。


勿論、大人になってからの人間社会では、
身長と能力は関係ないとされている。
だけど幼少期は原始時代にいるようなものだから、
身長は即生存力のようなものだ。

身長が低い者は、
目立つように動き回り、自分の存在をアピールすることに長けている。
そうしないと生き残れなかったからだ。
攻撃的になりやすいのも、相手を威嚇しないとすぐに舐められるからで、
実際のケンカが強いか弱いかは置いといて、
キャンキャン吠えがちであろう。

身長が大きい者は、
とくにそのような焦りがないので、
「この世で生きてていい」と思っている。
だからゆっくりしてるし、急がない。
他人を押しのけずに、自分の居場所を確保できる。
その後のその能力をどう使うかで、
成功すればリーダータイプになるだろうし、
失敗すれば病むタイプになるかもね。

普通の者は、
「世の中には上も下もいる」という人生観だ。
だから、
下に落ちることを恐れるか、
上に上がることを望むか、
ふたつの動機があり得ると思う。


この、身長が人格形成に及ぼす影響は、
日本では兄弟の有無でも形成されやすい。
儒教の影響がまだ残っていて、
年上を敬う、えらい、などとする風潮からだ。

つまり、長男長女は、
身長と関係なく、
身長が高い者のメンタリティを持っていて、
弟妹は、身長が低い者のメンタリティを持っている。
真ん中の子(あまりいないけど)は、
普通の者のメンタリティだから、
わりとテンプレに収まらない人が多い気がする。

もちろん、血液型や星座や四柱推命などでの、
性格分析も有効だけど、
身長や兄弟による「世界はこうなっている」
という基礎理解は、
人生観に影響しているような気がする。


さて、
この手をどうやって使うか。

・大体性格が決まっているキャラクターの身長を想像して、
ぴったり合うものにすることで、
よりそのキャラクターを想像しやすくする。

・まだあまり決まっていないキャラクターの身長を先につくり、
それに沿ってキャラクターを開発する。

・キャラクターの一覧を見た時、
同じ被りを避けて、違う身長差をつくる。
あるいは、わざと寄せる。
これは、キャラクターのバラエティを作ろうという狙いだ。

・そのキャラクターの性格と、身長をわざとずらす。
つまりそのキャラクターの性格形成に、
身長以外の強い要素を創作するわけだ。
テンプレでいうと、
身長が低いが自信満々の天才少年とか、
身長が高いが、ベトナム帰りで心にトラウマを負っている、
身長が高くてモデルになったが、プロたちの凄さを知り、
自信を無くしている女、
などだろう。

・リライトするときに、身長を変えてみる。
そのことで、がらりと印象を変えられる。


などだろうね。
人生観、哲学、行動指針、世界観などに関係しているから、
その人の深いところまで触れられると思われる。

たかが身長だけど、
そうした無意識的なことは関係している。


だけど、
シナリオには「高身長で」とか書く必要はない。
表現のキモであればそうするべきだが、
とくにどちらでも良い場合は、書かないのが吉だ。
なぜなら、とてもいいキャストを、
たかが身長で獲得できないことになるからだ。
(あと撮影技術には、身長差をごまかすテクニックが沢山ある。
あなたの見ている画面は、ほんとうの身長差とは限らない)

高身長なのに繊細だったり、
低身長なのに悠々としていたり、
ギャップによる魅力をつくれる可能性もあるしね。


あくまで性格的なものだから、
物理表現とはわけて考えた方が良い。
だけど、
脚本家だけは、「この人はこんな身長の人生観」とわかっているとよい。
posted by おおおかとしひこ at 10:13| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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