2022年01月26日

タイトルのフォントを変えてみる

ワープロ系のソフトがあれば、
なんでも実験できる。

あなたのストーリーは、
どんなフォントがふさわしいか?


書体に詳しくない人でも大丈夫だ。
次の4系統は、大抵入っている。

明朝体
ゴシック体
丸ゴシック体
教科書体
(書体名が違う場合があるので、
適当に選んでみて以下の説明に該当するかをチェック)


明朝体は、小説の本文に使われる、
縦が太くて横が細いやつ。
ハネトメハライが三角になってるやつ。
繊細で優しく、真面目な印象を受ける。

ゴシック体は、見出しとかに使われる、
マジックで書いたような、
線が全部が同じ幅のやつ。
押し出しが強く、
元気で目立つが、IQは低く見える。

丸ゴシック体は、ゴシック体の変形で、
角が丸くなっているやつだ。
幼児の読むものによく使われる。
やさしく親しみやすく、難しいことは言わない感じ。

教科書体は、
硬い筆で書いたような、
トメハネハライがきっちりとある書体。
教科書によく使われ、
正しくやさしい感じ。


あなたのストーリーのタイトルは、
この4書体のうち、
どれがふさわしい?

手持ちのエディタで、4種類変えてみてみよう。

つまりは、これは、
あなたの書いたタイトルのふさわしい雰囲気を探すメソッドで、
「それは内容と合ってるんだっけ?」
と確認するためのテストだ。


たとえば、
アクション映画でバカでスピード狂の話は、
ゴシック体が向いている。
「ワイルドスピード」とかね。
(実際のロゴはイタリックで傾けてスピード感を出している)
「!」が後につく系は大体これだろう。

たとえば、
「リリィ・シュシュのすべて」
のような、繊細な話は明朝体だ。
(実際のロゴは、見出し明朝というやや太めの明朝体で、
イタリックで傾けて、特別感を出している)

たとえば、
子供でも楽しめて、夏休みに公開されそうなものは、
丸ゴシック体が向いている。
パッと作例が思いつかなかったが、
「グレムリン」は近い考え方だと思う。
(ざっと探したところ、「ムーンライト」がそうだったが、
これは丸ゴシック体というより、ネオンサインを模したものだろう。
本編でネオンサインは重要ではないため、
これは失敗したデザインだ。
もちろん子供が見る内容ではない)

たとえば、
マニュアル的なものだったり、
明朝体では平凡になりそうなやつは、
教科書体が向いている。
作例はパッと出てこなかった。
嫌われてるのか、穴場なのかだね。



また、
その書体に、長体(縦を長くする)をかけたり、
平体(横を長くする)をかけるだけでも、
雰囲気はガラッと変わる。

文字間はどれだけあける?
詰めれば濃密、感情的な感じになり、
開ければクールに、知的になる。

また、横書きタイトルであるべきか、
縦書きタイトルであるべきかも試したいところ。

つまり、
あなたのストーリーは、どのように受け取られるのがベストかを、
タイトルフォントで示すことができるということ。

他にも、
太明朝体系列なら、
明朝体の繊細さや真面目さと、ゴシック体の押し出しを、
兼ね備えることになるし、
細ゴシック系列なら、
ゴシックの力強さと、明朝系の繊細さを兼ね備えるだろう。



実は、これだけをたったひとつで表現できる筆記具がある。
筆だ。

激しく力強く、情熱的にも、
スピードがありとんがってる感じにも、
やわらかくて繊細な感じにも、
面白おかしい感じにも、
硬くて真面目な感じにも、
子供に読めるようにも、
IQは低くも高くも、
書くことができる魔法の道具だぜ。

自分が書道がうまくないのなら、
周りに段持ちを探してみよう。
そしてその人に、
自分の欲しい感じを伝えて、
その感じで何枚か書いてもらうとよい。
その人に頼む前に、自分で試し書きしてもいいぞ。

要求は多くしないこと。
せいぜいふたつに絞ることだ。
自分が頼まれて嫌じゃないレベルに、要求はとどめよう。

自分の字じゃなくて、他人の字で書かれるのは新鮮だよね。

つまりこういう風に、あなたのタイトルは他人の中に入るのである。



意味を、形でなんとなく表現したものが、
フォントや筆文字である。

激しい波のような「うんこ」という文字は、
どう考えても勢いよく出たやつだろうし、
細くて途切れそうな「うんこ」という文字は、
だいぶ死にかかってる体調の人だろうね。
トメハネハライがしっかり書けている「うんこ」という文字は、
真面目できっちりした人のようだ。
丸っこく書かれた「うんこ」という文字は、
かわいくてアニメに出てくるマキグソタイプだろう。
色もポップなピンクとかだろうね。

文字は同じでも、書き方で意味を伝えることができる。

文字は同じでも、言い方で意味が変わるセリフのようだ。
(ためしに「うんこ」という文字を、
上の4つの言い方で言ってみることだ)



あなたのストーリーはどんなツラがふさわしいか、
試してみるとよい。
また、意味と逆目の形もありなので、
そうした可能性を探すのもいい。

それは、ストーリーの本質を探る行為である。
既に決まっていれば、すぐに決まる。
迷うということは、
定まっていない証拠だね。


抽象的なタイトル(例: THX-1138)だと、
こういうことができない。
つまり「意味をつけることから逃げている」といえよう。

誰も知らない変な英語タイトル
(例: レミニセンス)も同じ。
内容に自信がないときにそうなりがち。


ちゃんと内容があり、
それが人に伝える意味があるならば、
日本語でわかりやすいタイトルがつけられる、
と僕は考えている。

もちろん、これらのテンプレにない、
新しい形の感情を示したい時もある。
そういう時は、その感情を日本語で説明して、
(日本語で説明のできないものはこの世にない。
少なくとも日本語で説明のできるものが、
宣伝に使われて人を誘う)
そうした筆文字で書いてもらうといいと思うよ。




さらにその先のこと。
画像をいじるソフトなどがあれば、
そのフォントの色を変えてみたまえ。
(ワードでも多少はできる)

何色の気分のタイトルかな?
背景色は?
どんな背景色にどんな色で、
どんな風に書かれたタイトル?

そのコンセプトが分かり易ければ、
あなたのストーリーは強いし、
分かりにくければ、あなたのストーリーの芯も、ヒキも弱い証拠だね。
(タイトル詐欺だけしようとしたら、
嘘はいくらでもつけるけど)
posted by おおおかとしひこ at 00:40| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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