2022年02月17日

メインプロットが詰まらなくてもおもしろくなるか

メインプロットが面白くて、
焦点を当てられているのが興味深くて、
最後までそれに惹きつけられるのが理想だろう。

でも現実問題、そうじゃないことも沢山ある。
だけど、そうじゃないからといっても、
おもしろくないわけではないと思う。


バトルもので考えればわかりやすいが、
A側が勝つのか?B側が勝つのか?
というメインプロットでハラハラみ続けるわけじゃないだろう。
ぶっちゃけどっちが勝つかには興味がなくて、
面白いバトルがあればそれでいいのではないだろうか。

あるいは、好きなキャラだから、
そんなに内容が大したことなくても、
み続ける原動力になることはある。

バラエティショウと同じで、
みんなでなにかゲームをやることが面白いだけで、
ゲームそのものが面白いわけじゃない状態、
みたいなことだ。

つまりこれらは、
プロットではなくディテール、ガワで見ていることにあたる。

ガワが面白ければある程度み続けることができる。
ストーリーのセンタークエスチョン、
「○○は果たして○○出来るのか?」
にそれほど惹きつけられなくても、
ガワが面白いからみ続ける、
というパターンだ。

スポーツ漫画なんかほとんどそれだよね。
どっちが勝とうがスポーツだからどうでもいいっちゃあいいのだが、
それで感情が動くこと自体を楽しんでいる状態なわけだ。

積分が大して面白くなくても、
微分だけでなんとかなる例だろう。


ミステリーを例に考えると、
ぶっちゃけ犯人当てや推理に興味はなくて、
ネタの面白さやキャラの濃さや、
人間ドラマの面白さで持たせるパターンだね。
驚愕のトリックや新しい犯人パターンというのはなかなか難しいから、
こうしたオカズがメインになるパターンだろう。

正義と悪の、勧善懲悪ものもそうなりがちだ。
この悪は許せん、このまま放置したら、
人間の尊厳が崩れる、なんとしても倒さなければ、
と、観客全員がラストを心待ちにハラハラする、
勧善懲悪ものはなかなかない。
どちらかというと悪が負けて正義が勝つのはお約束で、
そうなるのはわかっているから、
それまでのディテールや過程を楽しもうという考え方だ。

こうしたものは、
プログラムピクチャーに近いと思う。


逆に言えば、
プログラムピクチャーとは、
ある種のジャンルのお約束の骨格を持ってきて、
そのメインプロットはあくまでパターンの骨組みで、
骨以外を楽しむものである、
と言えるかも知れない。

だから「○○もの」みたいなジャンルになっていたり、
「○○パターンもの」みたいな呼ばれ方になるだろう。
(例: 主人公は既に死んでる系とか。)


創作の理想は、
骨もガワも全くの新しいものをつくることだけど、
骨格そのものをつくるのは大変で才能がいるため、
ガワで楽しませる、
コスパのいい方法で稼ぐ手もなくもないわけだ。

少女漫画の実写化なんて、
典型的なプログラムピクチャーで、
ベルトコンベアみたいに量産されている。
正直どれがどれか区別がつかないよなあ。
いっときのトレンディドラマは順列組み合わせと揶揄されたものだが、
順列組み合わせをやってるうちに、
次のフレッシュスターが出てきて新陳代謝して…
みたいな変なループが回ってる気がする。
それが成功かどうかはおいといて。


で、ようやく本題。

なんかね、筆が進む時がたまにある。
それって、よくあるパターンにハマってることが多い、
ってこと。

つまり、プログラムピクチャー的な、
お約束の展開の流れに乗ったときに、
筆が進むことが多いんだよね。
なんてことない、どこかで見たやつを、
無意識に真似してるから早く書けてるだけなんだよな。

ほんとうにやるべきこと、
つまりメインプロットに興味を抱かせ、
心底感情移入させて、
落ち着きなく気分を上下させて振り回して、
予想の斜め上を行って判断力を麻痺させることから、
逃げる時に、
オカズを盛りがち、ということだ。

サブプロット書いてる時が一番楽しいとか、
サブキャラの方が魅力があるとか、
ちょっとしたギャグやセリフやひねりが楽しいとか、
そう思える時は、
メインプロットが詰まらなくて、
プログラムピクチャー的なものに、
逃げている時だと思う。


たとえばバカボンドは、
吉岡一門の戦いの後、
メインプロットを見失い、
サブプロットである伊織や小次郎サイドを、
たくさん描くことになってしまった。
これはプログラムピクチャー化した証拠だと思うんだよね。
それくらいメインプロットを見失っていると思う。

つまり、

メインプロットが面白くない
→サブで面白くさせる
→ますますメインプロットに戻れなくなる

という悪循環がある。
それで、当初の計画はまったく果たせなくなってゆく。


どうしたら元に戻せるか?
地道に、「次のメインプロットの新展開」を考えるしか、
ないと思うんだよね。
そのプレッシャーに負けるから、
寄り道してしまって、その先の森へ入ってしまうのだろう。

「おもしろいからいいじゃん」と、
ひらきなおる人もいる。
それはメインプロットが詰まらないことを隠したいんだよな。
自信がないからそう嘯くんだよな。

常にメインプロットを面白くすることができれば、
サブプロットも脇役も、何倍も輝くぞ。


メインプロットが面白くなくても、
サブで面白くすることはできる。
トータルで面白ければ勝ちという考え方もある。
でも本当の勝ちは、メインプロットが面白いことなんだよね。
posted by おおおかとしひこ at 00:03| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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