以下のような親指シフターの主張を見たが、
あまりにもロールオーバーに対して無知ではないか。
qwertyのような順次打鍵のいいところは、
ロールオーバーで間を詰められることだ。
Oを離す前にMを打ち、
Mを離す前にEを打つ。
これらは一息の一連で行われる。
全角アルファベットと半角_で、
無理矢理表現すると、
O
_M
__E
みたいな感じで、
ずれながらのタイミングで打鍵するはずだ。
O
M
E
みたいに一個一個粒で打つわけではない。
こんな感じで比較してみよう。
O
_M
__E
D
E
_T
__O
___U
____G
_____O
______Z
A
_I
__M
___A
____S
_____U
(実際にはここまで繋がるわけではなく、
どこかで途切れるだろうが、理論値として)
お
め
で
と
_う
ご
ざ
い
ま
す
親指シフトのロールオーバー可能箇所は、
「とう」の部分だけになり、
1.7倍のアクション効率差ほど開かないことがわかる。
「親指シフトで、
ローマ字より2倍速くなる!」
は、そもそも1.7を四捨五入した2という、
小さな嘘をついているのだが、
それよりも、
ロールオーバー不自由な打鍵法によって、
ローマ字ほど間を詰められないことを無視した言い方のほうが、
欺瞞であると僕は思う。
親指シフトにしたけれど、
思ったより速くならないぞ、
という不満は、
qwertyローマ字のロールオーバーを過小に見積もっているか、
親指シフトのロールオーバー不可能な部分が頭から抜けているかの、
どちらかもしくは両方だろう。
親指シフトのロールオーバー可能な部分を考えると、
単打部分だ。
だが「濁音になるカナを表、
濁音にならないカナは裏が多い」
の縛りのため、
単打部分のロールオーバーできる部分は、
後続の高効率の配列よりも限定されている。
新下駄は同時打鍵を多用する配列であるが、
単打率が非常に高く、
単打部分でロールオーバーできる連接は、
統計的に最大化されているといってもいいだろう。
薙刀式では、
単打部分のアルペジオを重視していて、
ここでグッと縮まる計算をしている。
ロールオーバーは、
単打の左右交互と、単打の片手アルペジオで出来るが、
前者より後者の方が速くて楽と考えたからだ。
(左右交互に関しては、
左→右が圧倒的に多く、右利き用になっている)
また連続シフトの採用で、
ここでもロールオーバー可能だね。
飛鳥は、連続シフトによって、
ロールオーバー可能面を3面に増やした配列、
といっても過言ではない。
上の形式で、
qwerty、親指シフト、新下駄、飛鳥、薙刀式を比較してみよう。
【qwertyローマ字】
O
_M
__E
D
E
_T
__O
___U
____G
_____O
______Z
A
_I
__M
___A
____S
_____U
【親指シフト】
お
め
で
と
_う
ご
ざ
い
ま
す
【新下駄】
お
め
で
_と
__う
ご
ざ
い
_ま
__す
【飛鳥】
お
_め
で
と
_う
ご
_ざ
い
ま
_す
【薙刀式】
お
_め
で
と
_う
ご
ざ
_い
ま
す
ロールオーバーだけの理論値であるが、
新下駄=飛鳥、薙刀式、親指シフト、ローマ字
という着順になった。
1アクションをスタッカートで区切って打てば、
カナはローマ字の1.7倍速くなるが、
スタッカートで打つローマ字者はいないだろう。
とくに上級者が「じゃらっと打つ」「ほぼ同時打ち」
なんて言い方をするとき、
こういうことがまず基礎にあるわけだ。
(最適化運指はすなわち、
標準運指でロールオーバーできない部分を、
全部ロールオーバーで繋いでいこうとする試みだ)
親指シフターは、
1モーラを1アクションで打つ、
脳内発声の癖ですべてを見ているのかも知れない。
世の中にはもっと広い打ち方があるぜ。
シフターが、
「親指シフトはローマ字の2倍!」
なんて無邪気に言うならば、
「ローマ字はロールオーバーでどんどん詰められるが、
親指シフトでロールオーバーで詰められる部分は単打部に限られ、
その詰められる箇所が少ない。
従って指は忙しいものの、ローマ字が速度的には逆転する可能性もある」
と反論してみてはどうか。
このあたりが、ローマ字タイパーに、
シフターのタイパー(いるのか)が、
勝てない理由ではなかろうか。
ローマ字タイパーの詰め方はえげつないからな。
(追記)
以下のような批評があった。
> 指は忙しいがphoenixかなの方がローマ字より速い。 #個人的な感覚では。
phoenixの速さの理由はロールオーバーの有無のファクターよりも、
打鍵範囲の狭さのファクターが効いているように思われる。
上で比較したものは、
おおむね3段30キー範囲の配列の比較で、
2段のphoenixはまた異なる指の原理だろう。
2段かつロールオーバーできるなら、
さらに速くなることが想像される。
(ローマ字の2段配列とか?)
phoenixの動画を見たことがないため、
qwertyローマ字より速いと言えるのかはわからない。
(個人の中でphoenix>qwertyは全然あるし妥当だが、
タイプウェルのタイム比較では、
phoenixは結果を出してないともいえる。
まあそんなこというと、薙刀式も結果は出してない)
では1段のつばめ配列などは速いのだろうか?
実態不明なのでなんともいえない。
(もし動画があれば、ぜひ拝見したい)
勿論、個人的な感覚のファクターは大きいが、
それを言ったら議論する楽しみが終わってしまうのでね。
一人が「できる」ことと、
一人が「できない」ことと、
みんなが「できる」ことと、
みんなが「できない」ことは、
違うし。
2022年02月04日
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