2022年02月04日

【薙刀式】ロールオーバーの効率

以下のような親指シフターの主張を見たが、
あまりにもロールオーバーに対して無知ではないか。


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qwertyのような順次打鍵のいいところは、
ロールオーバーで間を詰められることだ。
Oを離す前にMを打ち、
Mを離す前にEを打つ。
これらは一息の一連で行われる。

全角アルファベットと半角_で、
無理矢理表現すると、

_M
__E
みたいな感じで、
ずれながらのタイミングで打鍵するはずだ。


 M
  E
みたいに一個一個粒で打つわけではない。


こんな感じで比較してみよう。


_M
__E
  D
   E
   _T
   __O
   ___U
   ____G
   _____O
   ______Z
       A
       _I
       __M
       ___A
       ____S
       _____U
(実際にはここまで繋がるわけではなく、
どこかで途切れるだろうが、理論値として)


 め
  で
   と
   _う
     ご
      ざ
       い
        ま
         す

親指シフトのロールオーバー可能箇所は、
「とう」の部分だけになり、
1.7倍のアクション効率差ほど開かないことがわかる。


「親指シフトで、
ローマ字より2倍速くなる!」
は、そもそも1.7を四捨五入した2という、
小さな嘘をついているのだが、
それよりも、
ロールオーバー不自由な打鍵法によって、
ローマ字ほど間を詰められないことを無視した言い方のほうが、
欺瞞であると僕は思う。

親指シフトにしたけれど、
思ったより速くならないぞ、
という不満は、
qwertyローマ字のロールオーバーを過小に見積もっているか、
親指シフトのロールオーバー不可能な部分が頭から抜けているかの、
どちらかもしくは両方だろう。


親指シフトのロールオーバー可能な部分を考えると、
単打部分だ。

だが「濁音になるカナを表、
濁音にならないカナは裏が多い」
の縛りのため、
単打部分のロールオーバーできる部分は、
後続の高効率の配列よりも限定されている。


新下駄は同時打鍵を多用する配列であるが、
単打率が非常に高く、
単打部分でロールオーバーできる連接は、
統計的に最大化されているといってもいいだろう。


薙刀式では、
単打部分のアルペジオを重視していて、
ここでグッと縮まる計算をしている。

ロールオーバーは、
単打の左右交互と、単打の片手アルペジオで出来るが、
前者より後者の方が速くて楽と考えたからだ。
(左右交互に関しては、
左→右が圧倒的に多く、右利き用になっている)

また連続シフトの採用で、
ここでもロールオーバー可能だね。


飛鳥は、連続シフトによって、
ロールオーバー可能面を3面に増やした配列、
といっても過言ではない。


上の形式で、
qwerty、親指シフト、新下駄、飛鳥、薙刀式を比較してみよう。

【qwertyローマ字】

_M
__E
  D
   E
   _T
   __O
   ___U
   ____G
   _____O
   ______Z
       A
       _I
       __M
       ___A
       ____S
       _____U
【親指シフト】

 め
  で
   と
   _う
     ご
      ざ
       い
        ま
         す
【新下駄】

 め
  で
  _と
  __う
    ご
     ざ
      い
      _ま
      __す
【飛鳥】

_め
 で
  と
  _う
    ご
    _ざ
     い
      ま
      _す
【薙刀式】

_め
 で
  と
  _う
   ご
    ざ
    _い
      ま
       す

ロールオーバーだけの理論値であるが、
新下駄=飛鳥、薙刀式、親指シフト、ローマ字
という着順になった。


1アクションをスタッカートで区切って打てば、
カナはローマ字の1.7倍速くなるが、
スタッカートで打つローマ字者はいないだろう。

とくに上級者が「じゃらっと打つ」「ほぼ同時打ち」
なんて言い方をするとき、
こういうことがまず基礎にあるわけだ。
(最適化運指はすなわち、
標準運指でロールオーバーできない部分を、
全部ロールオーバーで繋いでいこうとする試みだ)

親指シフターは、
1モーラを1アクションで打つ、
脳内発声の癖ですべてを見ているのかも知れない。
世の中にはもっと広い打ち方があるぜ。


シフターが、
「親指シフトはローマ字の2倍!」
なんて無邪気に言うならば、
「ローマ字はロールオーバーでどんどん詰められるが、
親指シフトでロールオーバーで詰められる部分は単打部に限られ、
その詰められる箇所が少ない。
従って指は忙しいものの、ローマ字が速度的には逆転する可能性もある」
と反論してみてはどうか。

このあたりが、ローマ字タイパーに、
シフターのタイパー(いるのか)が、
勝てない理由ではなかろうか。
ローマ字タイパーの詰め方はえげつないからな。




(追記)
以下のような批評があった。
> 指は忙しいがphoenixかなの方がローマ字より速い。 #個人的な感覚では。

phoenixの速さの理由はロールオーバーの有無のファクターよりも、
打鍵範囲の狭さのファクターが効いているように思われる。

上で比較したものは、
おおむね3段30キー範囲の配列の比較で、
2段のphoenixはまた異なる指の原理だろう。
2段かつロールオーバーできるなら、
さらに速くなることが想像される。
(ローマ字の2段配列とか?)

phoenixの動画を見たことがないため、
qwertyローマ字より速いと言えるのかはわからない。
(個人の中でphoenix>qwertyは全然あるし妥当だが、
タイプウェルのタイム比較では、
phoenixは結果を出してないともいえる。
まあそんなこというと、薙刀式も結果は出してない)

では1段のつばめ配列などは速いのだろうか?
実態不明なのでなんともいえない。
(もし動画があれば、ぜひ拝見したい)


勿論、個人的な感覚のファクターは大きいが、
それを言ったら議論する楽しみが終わってしまうのでね。
一人が「できる」ことと、
一人が「できない」ことと、
みんなが「できる」ことと、
みんなが「できない」ことは、
違うし。
posted by おおおかとしひこ at 10:21| Comment(0) | カタナ式 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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