2022年02月05日

【薙刀式】需要と供給

そもそも配列を変えてまで効率化したい人って、
日本にどれくらいいるんやろか。


腱鞘炎になるほど、
苦痛を覚えるほどに、
qwertyローマ字を打つ人のことだ。


仮に100%qwertyだとしよう。
初手からJISカナを使う人は、
今やほとんどいまい。

日本人のうち、7割の人はサイトメソッドだ。
そんなに速く、大量に書かないだろう。
「大量」の定義は、
一日5000字とするか。

3割の人がブラインドタッチだ。
ある程度の文字量をこなせると思う。
ただのビジネスマンやエンジニアから、
清書起こしのオペレーター、
ライターまでいると思う。

うち1/3、日本人の1割くらいが、
qwertyローマ字で肩こりくらいには苦痛を覚えるだろう。

1200万人の、
qwertyに違和感や不満を覚える人がいると推定。

だけど、
それはqwertyのせいという認識ではなく、
「キーボード入力が悪い」
「パソコンの姿勢が悪い」
などの、
とても大雑把な捉え方になると思う。
パソコンスタンドを見直そうとか、
整体に行こうとか、そんなくらいだろう。

事務作業ばかりだからスポーツジムにいこう、
程度の対策の人もいるかもね。

「どう考えても、
qwertyの手の動かし方がおかしなせいでは?
この配列を変えれば、
変な疲れ方をしない、
合理的な動線になるのでは?」
と気づく人は、
1200万人の1%いるかな?
1%なら、1万2000人。

とはいえ、そこからどうしていいか分からないだろう。

「キーボード配列」「キー配列」
「文字の位置 変える」「キーボード 文字テーブル変更」
「キーボード 文字 出力 変換」
なんて検索ワードが出て来れば、
うまいこといけば、
配列の世界にたどり着けるかも知れない。

そもそもqwertyローマ字以外の配列が存在することすら、
知らない人のほうが多いだろう。
僕はたまたま、
「どのキーを打てばどの文字が出るかなんて、
テーブルひとつで管理してるはずだから、
それを変更するプログラムくらいあるだろ」
と想像できたから、
配列にたどりついた。

そうした予測がまったく出来ない、
文系ライターだと一生検索できないと思う。

勝間さんがたまたま親指シフトを布教しているから、
そこで知った人は何千人〜何万人くらいはいると思う。
実際にそれで親指シフトを触った人は、
1/1000くらいしかいないと思うけど。
(エミュレータのインストールから練習まで、
一人で出来る人はほとんどいないだろう)


そんなこんなで、
配列界隈にたどり着ける人って、
1万人いないと思われる。
いても、1000人のオーダーだと思う。

それを、沢山の配列がパイを奪い合ってるのかねえ。

配列の供給は沢山あるのに、
需要は実質少ない。
なぜなら、
「パソコンのキーボード配列は変えられる」
という考え方を、発想することができないからだ。

変えられることさえ分かれば、
あとは、
「自分で好きなように変えてみる」
「すでにあるテンプレをつかう」
「有名な配列があることを知る」
ことくらいは行けそうだ。


qwertyのFJを、ローマ字でよく使うANと交換した配列だけでも、
実は有用かも知れない。
QWERT YUIOP
FSDAG HNKL;
ZXCVB JM,./

これだけでも、腱鞘炎を救えるかも知れない。

(もちろんもっと変えたほうが効率が良くなるが、
まずは「配列を変える」という経験を積むためにちょうどいいかも。
配列を変えることに慣れられるか、
元に戻したときの混乱はどれくらいか、
ショートカットはどうするか、
併用できるものか、
などなど、初めての経験を沢山するだろうから。
この拒否反応が少なければ、
次の段階へ行ってもいいだろう。
そのための検査配列みたいな?)


潜在的な需要はあると思う。
具体的な言葉にできていないため、
存在が認識できないのだと思う。

ということは、
火がつけば燃えひろがる可能性はあるわけだ。
自作キーボードだってここまで広がった。
気軽に手を出しやすい配列変更を、
提案できるといいのだが。

MS-IMEを潰して、
Google日本語入力が天下をとれば、
配列変更が手軽にできるのかなあ。
昔のIME(FEPと呼ばれていた時代)には、
配列をカスタマイズする機能がついてたようだが、
それをやめた理由はなんなんだろう。
(機能キーはある程度できるが、
自由に、までではない)


配列なんて所詮ある種の約束事のプログラムなんだから、
その約束事を変えればいい。
そしてPCの世界では、
大概誰かが思いつくことは誰かがやってる。
それを探せれば、そこにたどり着ける。

問題は、
「キー配列って一個じゃないし、
変えても良いし、
変えるソフトがある」
って考えを知ることができるかなんだよな。


潜在需要は結構あると思う。
100万人くらいは、
qwertyを変えられるものなら変えてみたいだろうし、
1万人くらいは、
自分に合った配列があるなら、
それを一生使いたいと思うだろう。

キーボードの物理と、
論理があるんだってことが、
なかなか理解が難しいことなのかも知れない。
posted by おおおかとしひこ at 17:12| Comment(2) | カタナ式 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
facebookの親指シフトグループにも書きましたが「特許やぶりの女王 弁理士・大鳳未来」の著者 南原詠さんは、小説を書くために親指シフトを拾得されたそうです。

やはり小説家などのように、文章作成量の多い職種には、従前とは別の配列を望まれる方がいらっしゃるようです。

なお、普及が進まない理由のひとつは、新配列に係るハード/ソフトの最適な組み合わせを見出すのが難しいためとおもいます。

親指シフトは、富士通がかつて販売していたキーボードとJapanist の組み合わせが存在していますので、最悪はこれをヤクオフなどで入手することで、推奨環境を入手可能です。

親指シフト以外の新配列も、推奨環境となるソフトとハード(キーボード)の組み合わせが明確になれば、少しでも普及が進むと考えます。

なお、推奨環境からかけ離れたキーボードを使うと、例えばキー荷重が重くて腱鞘炎などを発生させるおそれがあります。
Posted by Ken'ichiro Ayaki at 2022年02月05日 23:58
>Ken'ichiro Ayakiさん

たしかにそれは言えますね。
僕らは色々探求して、
色んな可能性を大体知ってるけど、
ほとんどの人にはキーボードは未知の大陸
(ていうか新しいキーボードを買うという発想すらない)
ですからねえ。
HHKBなんて見たこともないだろうし。

価格帯と入門者向けなどのことを考えて、
いくつか推奨環境を捻り出してみます。
いいヒントをありがとうございます。
Posted by おおおかとしひこ at 2022年02月06日 01:04
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