2022年02月08日

【薙刀式】打鍵範囲

薙刀式を最近始めた方の感想。
> JISかなにならされているので指がこんなに狭い範囲しか動かないのまじかよってなってる

逆に薙刀式から見ると、
JISカナの広大さは絶望的だ。


子供の頃大型公園に行って、
「全部を見れないんだ」って絶望したときの気持ちに似ている。
オリンピックの全種目を見るわけにいかない。
文化祭を全部回ったり、
万博を全部回ることって難しいよね。

逆にJISカナの人は、
4段40キーと、
小指伸ばし1列(4段)、さらに1列(上3段)、さらに1キー(最上段)の、
全部を支配下に置いてるわけだ。

僕からみたら特殊能力。


実際、これだけの範囲を満遍なく使って、
長文が書けるものだろうか?
メールの数百字はまあいけるか。
ブログの2000字くらいは?
それだけで疲れそう。

数記事、5000字は?
たぶん無理だろう。

論文、1万字を書くのは?
何日も何日もかかるのではないか?
(英語の例ではあるが、
音声入力で2時間で入力、
手作業で推敲で、4〜6時間で論文一本仕上げる、
という話は聞いたことがある。
日本語の音声入力は、
ここまで進んではいないだろう)


文字入力専門オペレータがいた頃
(今でもいるはいるだろうが、
かつてのオフィスの重要職ほどではないだろう)、
JISカナで入力できる人が一定数いただろうが、
それは高給を払うだけの、
特殊能力だと思う。
バスの運転手に高給を払うようなものだ。


もともとJISカナは、
サイトメソッドを前提として開発された。
ブラインドタッチは想定外の使用法である。

もともと電信電報用(JISカナの作者は電電公社)だ。
電報の実物は見たことないが一通はとても短い。
一日何通分をオペレータが処理したのだろう。
精々数千字くらいではないかと予測する。

そんな特殊技能者が使う配列を、
万人のブラインドタッチのための配列として、
制式採用していることは、
ぼくはおかしいと考えている。


万人のためのサイトメソッド配列ならば、
50音配列が順当だと思う。

万人のためのブラインドタッチ配列は、
何が適当だろうか?

僕の回答は薙刀式だ。
(唯一の解答とは思ってなくて、
複数併用できる切り替え可能環境が理想だと考えている。
文房具の多様性である)


誰もがブラインドタッチ可能な範囲は、
8指で精々30キー、
親指が多くても2キーずつ4キー、
くらいだと考えている。

薙刀式は、その範囲で30+1しか使わないし、
Qなんて編集モード以外で使わないし、
TYはカナを置いてないから、
実質27+1を常用する配列だ。

この範囲ならば、
すらすらと指を動かして、
時にズダズダとノリノリになり、
時にポツポツと言葉を選びながら打ち、
1万字を書くのに手間や疲労が少ないと考えている。


もちろんその中でも運指軌跡が気持ちいいとかの要素もある。
実は範囲が狭いことと関係している。
指があちこちに行かないから、
手早く連接が届き、滑らかに繋げやすいのだ。

範囲が広いとこうはいかない。
片手連接をなるべく減らしたとしても、
左右交互で範囲が広すぎて、
ロールオーバーできるほど素早く繋げられないだろう。

JISカナを打つ人の、
短い動画は見たことがあり、
ほんとに素早く打てるんだ、すごいなあと感心するものの、
その長文動画が存在しない。
どれだけ疲れずに、速さをキープしたまま書けるのかは、
見てみないとわからないところだ。

親指シフトもそうだけど、
「昔はできる人いっぱいいたのに、今若い人は誰もそれを知らなくて、
肉眼はおろか動画ですらみたことがない」
ものが沢山あると思う。
昔はみんなミシンや裁縫してたのに、
今できる人は少ないみたいなイメージ。

もしJISカナや親指シフトで、
長文がそれなりの速度で打てる人がいるなら、
是非動画に残してほしい。
内容は趣味の話でもいいし、キーボードの話でもいい。

僕は、「昔のすごかったやつ」が、
ほんとにすごかったのだが絶滅したのか、
スポーツ記録のように、その時はすごかっただけで、
今の技術には全然敵わないのか、
どちらかを知りたいのだ。




僕はJISカナに一度挑戦して挫折した。
右小指が悲鳴を上げたためだ。
全キーの中で一番使うキーが「゛」の@位置で、
そんなの右小指で取り続けられない。
しかもBSとエンターも小指だから、
もう無理ってなったな。
最上段の「う」の4位置も、短い人差し指が届かなかったなあ。
あとBSの一個左の「ー」は、何指でも取れなかった。
「キーボード」とか絶対無理やろ。
「Nキーロールオーバー」とか「ガーバーデータ」とか打ってみやがれ。

逆にこれが「できる」人から見たら、
薙刀式は、
4LDKから4畳半に引っ越したような感覚になるかも知れない。

だけど人間、起きて半畳寝て一畳なのだ。
座ったまま手の届く範囲で仕事ができる感覚が、
薙刀式の合理性なのだ。



> EnterとBackSpaceがホームポジション付近にあるのすごい
JISカナでも、この2キーはやはり指を圧迫すると思う。
自然な手の動きではないと、
僕はずっと考えている。

まずは一週間やってみれば、
コンパクトカーの取り回しのように感じるだろう。
一ヶ月もやれば、起きて半畳の意味がわかると思われる。
posted by おおおかとしひこ at 10:55| Comment(0) | カタナ式 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。