どれだけのコンテクストがローカルで、
どれだけのコンテクストが万人共通かを探ろう。
森絵都の小説「カラフル」は結構な名作だ。
タイの映画「ホームステイ」が、
なんかカラフルと設定が被るなと思い調べたら、
なんとカラフルのタイリメイクらしい。
へえ、そんなことあるんだな。
死んだ少年Aが魂の状態ではじまり、
自殺した少年Bの体を借りて、
Bの自殺の原因を明らかにしたら、
再び生き返らせてやるよ、
という死神?の指示を受ける話だ。
なぜBは自殺したのか?
どんなつらい人生があったのか?
Bが死なない未来に作り替えることはできるのか?
家族や友人たちのいくつかの問題を、
Bの肉体に入った別の少年Aの魂が、
修復していく話だ。
小説は傑作だけど、
アニメ映画は微妙だったな。
展開部の家族たちの問題が、
いまいち浮いてる気がした。
おそらく、
タイリメイク版は、
その家族たちの問題を、
タイローカルな何かに変更してくると予想される。
問題同士の連関は薄く、
パズルのようにもなっていないので、
アレンジが効きやすいと予想。
で、本題だ。
カラフルのアイデアのコアは、
初期設定と目的のユニークさだ。
そしてそのオチにもあるが、
ここではネタバレを避けておく。
一人称だから成立するという話もあるな。
このコア部分は、
ローカルなコンテクストとは関係ない、
人類共通に通用するアイデアで、
各部分問題は、ローカルな文脈だ。
だから、
大枠を共通にして、
部分問題をローカライズできる可能性があるな、
と思ったわけ。
さて、
あなたのストーリーは、
どこからどこまでがローカルな文脈で、
どこからどこまではローカルでない、
人類共通のお話なのだろうか?
そこを切り分けて自覚しておくことは、
自分のストーリーに客観的であることである。
なにも、
ローカルを削ってグローバルを増やせとか、
グローバルを削ってローカル一辺倒にせよとか、
そのバランスを問題にしたいのではない。
これはローカルな文脈である、
これは共通化できる部分である、
のような、色分けが自分で明確か、
という話だ。
で、
外国の、外人の話だとしたら?
と想像することはこの格好のエクササイズになるな、
と思ったわけ。
ローカルな部分を捨象したときに、
誰もが理解できる部分を、
自覚的にしてみようということだ。
同じく、男女を逆転するエクササイズもよい。
時代物では無理がある部分が出てくるけど、
現代物では、建前上、男女は交換できるはずである。
そこで交換できない部分を見つけたら、
「男にしか分からない感覚」
「女にしか分からない感覚」
というローカライズを発見できる、
ということである。
それは良くないかどうかはそれ次第で、
女の情念やら男の蛮勇やらは、
やはり固有のものだと思うので、
交換できない部分はあると思うがね。
つまりこれは、
必然性のチェックでもある。
交換して成立するなら、
それがそれである必然性が、
弱いんじゃないの?ってことだ。
外国人の話にしてみよう。
男女逆にしてみよう。
主客を転倒させよう。
なにがローカルで、
どれはみんなに共通のものだろう?
2022年02月26日
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