2022年02月22日

行動は動詞で示される

緊迫するウクライナ情勢のニュース記事から。
行動こそが物語であることを端的に示す例。

長い引用を。


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プーチン大統領は、ウクライナ東部のドネツク州とルガンスク州の一部を実効支配し、「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」と名乗る親ロシア派の武装勢力を、独立した国家として承認することを決め、日本時間22日午前4時半ごろに署名した。

2つの武装勢力は、先週から「ウクライナ軍に攻撃されている」と主張し、21日にそれぞれのトップが、プーチン大統領に国家として承認するよう求めていた。

ロシアが国家承認したことを受け、今後、武装勢力の求めに応じて、ロシア軍がウクライナ東部に駐留することも可能になる。

EU(ヨーロッパ連合)は声明で、「国際法などへのあきらかな違反であり、確固たる決意で対応する」と反発している。
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この中でもっとも強い動詞は「署名する」だ。

「独立した国家として承認する」ことは、
カメラに収めることができない。
だが、書類に署名する絵は撮ることができる。

ペンでプーチンと書くだけの動作だが、
このことで歴史が動いたことを示すことができるわけだ。

一方、
対抗するEUは、声明で反発しているが、
これは「言っただけで行動していない」だ。
だから「何もしていない」に等しい。

たとえば、
「ロシアに対して国家断絶を採択する」
(複数の首脳がサインをする絵かな、これも)
ならば、強い行動になる。

つまり、「事態を進める」のは行動だ。
将棋で一手打つように、
行動は事態を変え、相手に行動を余儀なくなせるのである。

EUが反発したとしても何もしないなら、
ロシアはもう一歩駒を進めるかもしれない。
(ロシアからパイプラインでガスを輸出してて、
それが異常に高騰してるんだっけ。
その栓を締める、という行動に出ると、
事態はさらに深刻になろう。
意図的ではなく事故が起こったふりをして、
二日間くらい止めたりすれば、
ゆさぶりがかかるのでは)

で、登場人物はこれだけでなく、
中国やアメリカも出張ってくるはずで、
それらがどう行動するかで、この緊迫はどこかへ動くだろう。
こっくりさんの10円玉のようだ。
複数のプレイヤーの綱引きだからね。

そのうちどこかで発砲事件があり、
「○○を守る」という大義が発動しなければ良いが。



「署名する」は行動になる。
「声明を出す」は「何もしていない」。
この差を認識することだ。

つまり、セリフではなくト書きに、
ストーリーの本体がある。

「言うだけで何もしない」のは、ストーリーではない。
「するべきだが何もしない/しなかった」も、ストーリーではない。
言うか言わないかを置いといて、
「する」「した」のがストーリーだ。
posted by おおおかとしひこ at 10:41| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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