2022年02月24日

「彼女は悲しい」をめぐる議論

がなかなか面白かったので引用。
https://nakaii.hatenablog.com/entry/2022/02/22/210429


「象は鼻が長い」の「は」問題と同じだね。
「は」が主格を表す場合ではないやつだ。

他の例にある、
「あの子は犬が怖い」は、
「あの子は犬が怖いんだって」
「あの子は犬が怖いんだよね」
「あの子は犬が怖いゆえに起こった事件があってさ」
などの語尾が省略されてるパターンだろう。

「は」は主格ではなく、
「これから話題の中心になるものを掲げます」
という役割と思うと、考えやすいと思う。

彼女に関していうと、悲しいのだ。
Thinking about her, I feel sad.

という風に開かれると思う。
(Thinking about) her, (I feel) sad.
のように、()内が省略されている。
悲しく思ってるのは「私」である。

もしShe is sad.と言いたいならば、
「彼女は悲しんでいる。」
「彼女は悲しんだ。」
「彼女は泣いている。」
「彼女は感情をぐっと堪え、悲しみの表情を見せないようにした。」
などになるだろう。

つまり日本語は、第三者の感情を断言することは、
失礼にあたるので、
主観による観察を述べる言語だとも言えるね。
名前を言わずに「奥さん」や「部長」「殿」という文化だ。

だから、「彼女は悲しそう」と、推量を入れるのが普通。



現在形かつ客観描写で表現するシナリオではどうだろう。

   彼女の悲しみの表情。

はよくある。

   彼女は悲しむ。

とは書かない。もっと具体的にするべきだ。

   彼女は嘆く。
   彼女は一筋の涙を流す。

などのように書くべきで、
「具体的な動作から彼女の心を推し量る」
ようにするべきだ。
これも日本語特有の表現かもしれない。

ハリウッドシナリオではどう書くんだろ。
やっぱりShe is sad.でいいのかね。



で、一周まわって、
「日本語では他人の感情を直接表現できない」
は、ただしい主張だと思う。

一見そんなバカな、と思うんだが、
よく考えてみると正しい。
日本語は、人を直接指差さない言語だとも言える。
(その代わり陰口が発達している?)

逆に、英語で、直接相手の感情を表現するのは、
失礼に当たらないのだろうか?

この、失礼に当たる/当たらないということが、
ないのだろうと想像される(失礼のセットが違う)が、
英語ネイティブでないのでわからん。
posted by おおおかとしひこ at 11:44| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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