ブロッコリーよくみとけ。
解説しておこう。
なぜ強いか?
言いたいことを、手短に、
そして凡庸にせず、強くしているからだ。
「歴史は繰り返す」ではなく、
「(かつて否定された)歴史に逆戻り」と題することで、
プーチンを独裁者ヒトラーになぞらえる。
プーチンの皮一枚めくったらヒトラーだよな、
というのをビジュアライズで助けている。
ヒトラーの写真が白黒なのもよい。
白黒は過去という意味だ。
我々が否定した愚かな過去に逆行するのか、
という強い問いかけを表しているわけだ。
つまり必要なのは、
凡庸でない、強く、短い言いたいこと。
ビジュアル先ではない。
言いたいこと先だ。
そしてそのことを、簡潔でユニークなビジュアルが補完して、
「言葉を必要なく」伝えることができていること。
(この場合、プーチンの皮一枚下は過去の古いヒトラーだということ)
言いたいことを強く訴え、
ビジュアルがそれを補完して一枚絵で示し、
あとは言葉不要で伝達できるビジュアルになっていること。
これがポスターコミュニケーションの正しい使い方だ。
ブロッコリーなんて知るか。
もっと勉強しろ。
我々脚本家だって、これを学ぶべきだ。
つまり、
テーマを強く短くして、
それを一切言わず、
強いメインビジュアルで暗示して、
記憶に残り、伝達される、
ということである。
ブロッコリーみたいな脚本書いてるから、
ブロッコリーみたいなポスターにされるんだよ。
「そうじゃねえ、こうだ」って言えよな。
もっとも、配給会社は、
ブロッコリー以外のやり方を知らないから、
「それはやったことがないので」と怖がるだろう。
もうそういうのは潰れていいんじゃないか。
このポスターに負けないポスターを出してから言え。
おれたちは、フィクションが時に現実を上回ることを知っている。
どんなに現実がひどくても、
落ち着いた後に、
次に人々を助けるのは、フィクションが描く未来である。
そのフィクションが現実より弱かったら、
現実に人は押しつぶされてしまう。
だから、フィクションは現実より強くあるべきだ。
ポスターがこれに負けるフィクションなんて、
フィクションの意味がねえぞ。
2022年03月03日
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