まあそんなこと山ほど聞いたことあるよね。
最近の例からそれを研究してみよう。
ロシアに侵攻されたウクライナの大統領、
ゼレンスキーの演説から。
ゼレンスキー
「私は支持率20%の大統領だ。多くの人に罵られている。これはこの国が自由な証拠だ。大統領を罵り逮捕されるような国にウクライナをしてはならない。支持率7割でもそんな国には住みたくない」
(ロシアが攻撃を開始した後の演説)
支持率20%というマイナスを、
自由の国というプラスに読み替える論法だ。
支持率7割にプラスになっても、
自由を失うマイナスは許せない、
という、
現状肯定の理屈である。
この論法を使わなければ、
「現状OKです」しか言えない。
だが、
現状のマイナスは実はプラスなのだ、
という「逆」を使ったレトリックであることに、
表現者ならば敏感になるべきだろう。
他にも、
人は「そのままでいいんだよ」と言われると弱いとか、
人は積極的に泥をかぶる人間を応援したくなるとか、
そういう感情移入の手法を使っているわけである。
この原稿を書いたコピーライターはそれを分かったプロだし、
もしこれがコメディアン出身の本人の言葉ならば、
実に表現の核心を分かった表現者だといえよう。
逆を使おう。
一番プラスと一番マイナスを使うのだ。
「今は真っ暗だ。しかし夜明け前が一番暗い」
とかも同じ論法なわけだね。
もっともコントラストをつくれるから、
表現として強くなるのだね。
「グッドニュースとバッドニュースがある。
どっちから聞く?」も、
コントラストを用いた、逆を利用した論法だ。
もしあなたのキャラクターが、
絶望の時にゼレンスキーのようなセリフを吐けるなら、
そのセリフは歴史に残ると思う。
2022年03月03日
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