最近マンガをそのまま映像化したやつをやってて、
擬態語の例に気づく。
ガラーン(かつていっぱいあったのだが、今は空っぽ)
ホッ(安心する)
ガーン(ショックを受ける。漫画的にピアノを鳴らすこともあるが)
フワッ(と浮く。浮く音はしない)
ザワッ(群衆が不安になる。ザワッ、ドヨッという音はない)
ターン(足場を蹴って宙に飛ぶ。足場が鳴らない限り音はしない)
キリキリキリ(空中回転する。音はしない)
ニュッ(物陰から現れる)
ピーン(と来る。何かに気づくとき)
ハッ(と驚く)
スッ(と構える。音はしない)
そっ(と手を触れる。音はしない)
ムカーッ(と怒る。音はしない)
しゅん…(と落ち込む。音はしない)
グキッ(ぎっくり腰。音が鳴ったら骨折だね)
じんじん(と痛む。これも音は鳴らないが、痛覚の表現だ)
じろり(と睨む。音がしたら怖えわ)
パチパチ(と瞬きをする)
どれも、現実には音がしないが、
アクションに当たる音である。
漫符といってもいいし、
擬態語といってもいいかもね。
手塚治虫が「シーン」とした無音を発明したそうだ。
漫画は動きがないから、
動きを表現するこうした表現が発達したんだね。
そういえば、
時代劇で良くある、
刀を構えるときに「チャキッ」っていう音は、
日本刀には存在しない。
あるいは、鯉口を切るときや、
刀を返すときのチャキッという音もだ。
現実に音がしたら実戦でバレちゃうから、
刀というのは基本音がならないようにできている。
でもそれじゃ分かりにくいから、
音を出してわかりやすくするわけだ。
以前も書いたけど、
登場シーンに、与作の「カーッ」(ビブラホン)を鳴らしたんだけど、
それってヤッターマンの登場シーンなんだよね。
アニメーションの動きなしで、
ただ立ってるだけなのに登場したことがわかるのは、
こうした効果音による漫符表現でカバーしてるわけだ。
車田正美の「ザシャア」も同様である。
なるほど奥が深い。
表現というのは、
それをそのまま見せても分かりにくいことがある。
分かりやすくするために工夫があり、
それが定番化するわけだ。
ガラーンって音はしないのにねえ。
ためしに、
上の例をシナリオ形式にしてみたまえ。
なかなか苦労すると思うよ。
漫符で表現の伝わりが早くなっていることに気づくことだ。
ガラーンはなかなか難しいよね。
「な、ない!」みたいに説明台詞が必要になるだろう。
2022年03月22日
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