2022年03月28日

絵と音の連続性の違い

どっちがブツブツ切れると気になるか。
音だ。
つまり、音の連続性のほうが、
絵より要求が高い。


絵がブツブツ切れることを想像しよう。
カットが割られたものを見て、
「絵がブツブツ切れている」という人はいるまい。
絵は連続性を要求しない。
多少飛んでても、人はその間を補完する能力がある。
むしろ、適度に省略して刻むことで、
映画はリアルタイム以上の時間の表現を手に入れた。

音がブツブツ途切れるのは、
我慢ならない。
ラジオで電波が悪く、言葉が途切れたり、
レコードの針が飛ぶのは耐えられないものだ。
(レコードの針が飛ぶ経験をしている世代はもうそろそろ老人だろうが)

音楽、言葉、ムードのようなものは、
ブツブツ途切れられないのである。

これを利用すると、強い効果を出せる。

「実はさ、」と言いかけたがやめる
「ここから先は言えない」とやめる
音楽が始まるが、突然止まる

などを使ってみるとよい。
「何が起こった?」と強い興味がでるはずだ。
そしてそれが途切れた理由に関心を持つはずである。

それは、絵を途切れさせるよりも効果が高い。
あることをしようとして絵がカットされ、
終わったあとにつながれても、
とくに普通の編集だからね。

絵のリズムが変わってもそんなに気にならないけど、
音楽の再生テンポがぐねぐね変わったら、結構気持ち悪いものだよ。
つまり、
人は一定のリズムを心臓の拍動で感じているのかもしれないね。
その一定リズムが急に変わると、違和感を感じるのかもしれない。


つまり、時間軸とは音のことである。

シナリオは絵と音のことに関して書くが、
より時間を意識するものは絵より音なのだ。

絵のないラジオドラマと、音のない漫画では、
ラジオドラマのほうが、
映画に近いのである。


最近のCМプランナーはラジオを経験していないという。
だから時間軸のない、オチがない企画とかしか書けないのだろう。
ラジオを三年くらいやれば、
誰でもコントの一つ二つ書けるようになるものだ。
書けるようにならないのは才能がないと思う。


編集は、絵と音のどちらを繋ぐか知ってるかい?
素人ほど絵繋ぎっていうんだよね。
違うよ。
音を繋いで、それに絵を合わせるんだ。
編集の正体は音だぞ。

ためしに誰かのインタビューを繋いでみな。
まず言ってることを整理して音を繋ぐだろう?
絵はその音に被せて選べばいいんだぜ。

時間軸の本体は音だ。
どちらがブツブツ切れないか、やってみるとわかる。

シナリオとはつまり、音に関する設計図なのだ。
posted by おおおかとしひこ at 09:19| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。