2022年03月31日

いきなり何かを言わない

あることを台詞で言いたいとしよう。
いきなり言うのは下手だ。
だってリアルを想像すればいい。
いきなりそれを言わないよね?


リアルを観察していればわかる。
あることを言おうとしているときに、
何か迎えにいく呼び水の話をしてから、
それに関連付けて言うものである。
あることを話しているときに、
言いたいことを思い出して、
それを言うのである。

いきなりAをいうわけではない。
何かの折に触れて、
関連したAがでてくるものである。
もちろん、事前にそれを言いたいと分っていて、
それを通達する場があったりすれば、
いきなりAという辞令を言うことがあるだろう。

彼女に告白するぞ、と事前に練習したって、
いきなりデートの場面で告白できるものではないよね。
それにふさわしい文脈というものがあるよね。
(まあラブストーリーは突然にしたほうがいい時もあるだろうけど、
たいていは唐突で、相手に受け止める準備が出来ていないよな)


つまり、
相手のことを考えていない発言というのは、
人間社会でほとんどないのだ。
辞令の交付のような、一方的な物言いのときしか、
いきなり何かをいうことはないのだ。
せめて世間話から入るとか、天気の話から入るとか、
そうしたことを人は工夫するものである。

そうした、
いきなり何かを言わずに、
言いたいことに対して誘導するような話術が書けて初めて、
唐突に結論から入る話法は、
インパクトがあるわけだ。


唐突に話すやり方から、
いつの間にか本題に入っていて、
この沼を抜けるのは無理だぞと悟るまで、
色々な話し方が書けるようにならないと、
話題のコントロール権を失うだろう。





posted by おおおかとしひこ at 11:57| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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