2022年03月30日

インサートシーンの適切な箇所

とくに複数のプロットが同時進行するような作品の場合。
ある短いインサートシーンを、
どこに入れるべきか迷ってしまう。

やりがちなやつと、それを回避する方法。


インサートするべきシーンをXとしよう。

ついやりがちなのは、
長いシークエンスAの、間に挿入するパターンだ。

シークエンスAが勢いがあるから、
その間にXを入れてしまえば、
Xで勢いが落ちたとしても、
全体としてAの流れの中に入り、
色々誤魔化せるだろう、
という「作者の日和」が、
ついよくやってしまうと思う。

これは間違いだ。

せっかく勢いのあるシークエンスAを、
途中で止めてはいけない。

そのシークエンスAは、
純粋に起こりから結まで、
一気に流れるべきである。

だけど、Aが終わってから、A→Xと直結出来ないとしよう。

じゃあXはどこに置くかというと、
Aの前がベストだ。

すなわち、
X→ひとつも途切れがなく一気に展開するA
となる流れが理想ということ。

Xの位置としてはちょっと前すぎるかなあ、
と心配してもしょうがない。
前すぎるから、
Aをどこかで切ってXを挿入してしまう気持ちはよくわかる。

だがそれはやめて、
Aをノンストップにしたほうがいいぞ、
という話である。


複数のプロットが同時進行する話では、
こうしたいくつかのシークエンスが進行する場面がある。
シークエンスABC…とそれぞれあり、
インサートするべきシーンXYZ…があるならば、
XYZは、それぞれABCのシークエンスをぶった切って、
途中挿入してはいけない。

すなわち、
XYZ→A→B→C
A→XY→B→Z→C
A→X→B→Y→C→Z
のような形式にするべきであり、

A1→X→A2→B1→Y→B2→C1→Z→C2

のような形式にするべきでない、
ということである。


シークエンスは映画の華だ。
せっかく緊張感を持って連続で見れる部分に、
邪魔者を入れるのは野暮だ。
たとえ一瞬でも目を逸らせるべきではないと僕は考える。


今書いてる話では、
第二ターニングポイント前の10分間が、
メインプロットを解決するためのシークエンスになっていて、
別のエピソード(伏線)Xが入り込む余地がなくて困っていた。
最初はその10分のシークエンスの途中に挿入しようとしたのだが、
なんともうまくいかず、
10分以上前のところに挿入するとうまくいった。
ページ的にはずいぶん戻るので大丈夫かと思いきや、
10分間の集中の後、
ずいぶんしてからその伏線が効いてくるので、
結果的にはいいインサート位置だと判断した。

結局、シークエンス(シーン同士が繋がり、
複数のシーンで描く一連)を中座させるのは、
勿体ない、という経験を得た感じ。

ちなみに第二ターニングポイントが終わって、
まだ5分はシークエンスが続く予定だ。
最も緊張感に満ちた三幕の入りに直結する、
実に大事なところである。
この間には、毛一本挟まる余地などないのであった。
posted by おおおかとしひこ at 07:15| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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