qwertyは指の運動に無駄があると思う。
薙刀式はそれに比べて動きが少ないと思う。
打鍵数が仮に同じになってもだ。
定量的に比較してみた。
結論から言うと、
qwertyは、薙刀式の1.7倍、指の運動距離が長い。
【測定方法】
kouyさんの100万字統計から、
頻出二連接50を選び、
これを打った時の、指の運動距離を調べる。
(50にしたのはしんどそうだったから)
【測定モデル】
・二次元平面として、移動距離をはかる。
・打鍵コストは0として、移動距離のみを積算する。
・キーの中央を叩くと仮定し、移動は直線と仮定する。
・最初はホームポジションにいるとする。
・上下段、人差し指伸ばしを打つときは、「手ごと移動」と仮定して、
一々ホームポジションに「戻さない」とする。
そこから次を打つ時に移動する時、はじめて移動距離を足す。
・二連接を打ち終えたら、ホームポジションに戻ると仮定する。
(これはなくても良く、ホームに戻さないまま次を打つモデルも考えられるが、
手計算のためこうした。
プログラムを組めば、一万字の文章をシミュレートするなどが可能だろう)
・キーボードは上段1/4Uズレ、下段1/2Uズレの、
伝統的ロウスタッガード型を用いた。
たとえばホームポジションから上段キーを打つ移動距離は、
左1/4U、上1Uの三角形の斜辺、1.03Uである。
例: ょう you
qwerty:
右手をYに動かす距離、1.60
右手を1UぶんずらしてOを打ち、1
上段でそのまま動かさずにUを打てるので、0
ホームポジションに戻るのに1.03
文字を打つまで 2.60
戻り 1.03
トータル 3.63
薙刀式:
右手を上段に動かして「よ」1.03
中段に戻して「う」1.03
ホームポジションに戻る0
文字を打つまで 2.06
戻り 0
トータル 2.06
【計算結果】
手で計算したので間違ってたらすいません。
単位はU(=19.05mm)。
単純に足しただけで、頻度の重みは入れていない。
qwerty:
ホームポジションから文字打ちまで 123.62
ホームポジションに戻る 61.02
トータル 184.64
薙刀式:
ホームポジションから文字打ちまで 68.29
ホームポジションに戻る 42.43
トータル 110.72
移動距離比(qwerty/薙刀式):
ホームポジションから文字打ちまで 1.8
ホームポジションに戻る 1.4
トータル 1.7
参考:
打鍵効率
qwerty: 1.7
薙刀式: 1.3
打鍵数比(qwerty/薙刀式): 1.3
【考察】
打鍵数比1.3、移動距離比1.7。
打鍵数あたりの距離もqwertyの方が多い。
つまりqwertyは薙刀式に比べて、
1打鍵当たりの移動距離が1.7/1.3=1.3倍ずつ大きい。
それだけ「無駄な動き」になっている。
また、ホームポジションに一々戻らずに、
長いフレーズを打つ実戦的な打鍵を想像すると、
1.7の数字は1.8に漸近すると考えられる。
【感想】
qwertyは色んなところに指が飛び飛びになる印象があるが、
つまりは薙刀式より1.7倍の距離を指が動いていたわけだ。
こりゃ疲れて当然だわ。
薙刀式に変えると、qwertyの1/1.7=59%程度に、
指の移動距離がちぢむぞ。
すなわち同じ疲労度ならば、
薙刀式はqwertyの1.7倍書ける。
この計算では、BSやエンターやカーソルを無視した。
実際にはその移動距離は大きく、頻度も大きい(10%程度)ので、
同じ疲労度ならば、
2倍程度の開きがあると見積もるべきかも知れない。
これまで打鍵数比較や、頻度分布比較はあったが、
直接的な指の移動距離の比較はなかった。
あっても、一打ごとにホームポジションに戻るという、
近似の荒いモデルであった。(計算がしにくいためだろう)
今回のモデルは、一回手を動かしたらその場で次を打つまで待機する、
という前の打鍵に影響を受ける、
より現実に近いモデルを採用したので、
以前の調査よりは実感に近い数値になっていると思う。
全ての打鍵パターンを示したいが、めんどうなので省略。
「楽」という指標は打鍵数のこともあるが、
「指がバタバタしない」ということでもある。
そのバタバタを総移動距離で比較してみた。
バタバタは、qwertyの1.7倍楽になる。
カタカタは、qwertyの1.3倍楽になる。
薙刀式のリアルな数字。
また、この計算法だと、
ホームポジション率の高い飛鳥は、
移動コストがほとんどないのではないかと予想される。
親指の打鍵コストは大きいが、
下手に指が動かない配列だと、数値的に出そうだね。
2022年05月06日
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