ストーリー全体がそうであるように、
ストーリーの一部であるところの、
エピソードも、そうあるべきだと考える。
たとえば、
主人公が会社を辞めるとしたら、
それはメインプロットだからストーリーの主骨格である。
そうではなくて、
サブキャラが会社を辞めたエピソードがあるとしよう。
これがストーリーの主骨格に絡まず
(のちに利用される伏線ではなく)、
単にそのサブキャラの性格ないし過去の色付けとして、
創作されたとする。
そのエピソードは、
単にああなってこうなってこうなった、
という羅列ではダメだという話。
それも小ストーリーなのだから、
記憶に残るそれを象徴する何かであるべきだ。
たとえば憎い上司の机の上にウンコして辞めたとか、
辞表を叩きつけるときにメンコみたいに裏返ってしまったとか、
なんでもいい。
新しくて変わったシーンを思いつけばいい。
そうすれば、
あ、裏返った人ね、
と言う風にビジュアルで記憶される、
という話をしている。
エピソードの記憶というのは、
なかなか記憶に残らない。
だからその手がかりとして、ビジュアルにそれが象徴されるように、
つくるべきだという話である。
過去話なんかはよく出てくるものだが、
それがビジュアル的になにか記憶に残れば、
「そういう過去」として、
のちのち参照しやすくなるわけだね。
そしてこれは、小エピソードだけでなく、
中エピソードでも、
メインプロットの骨格部分でも、
原則は同じだと考える。
たとえば、
ベルセルクの「蝕」はとても陰惨なイベントであるが、
すべては日蝕で象徴される。
日蝕があるたびに、蝕の悲劇を思い出してしまうし、
蝕の全体を説明するのがむずかしいから、
日蝕からはじまるやつ、みたいに記憶を圧縮するんだろう。
このように、
その象徴物で、そのエピソード全体を指し示すやつがあると、
人は記憶を整理しやすくなる。
で、あいつなんで会社辞めたんだっけ、
わかんないけど辞表が裏返るってあいつらしいよな、
なんて感じで、
人は記憶するわけなのだ。
エピソードはそれを象徴するブツを絡めよう。
のちのち、「それ」のシーン、のように呼ばれることになる。
逆に「それ」がないと、うまく記憶に残らない。
2022年05月23日
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