2022年05月26日

二幕は、一幕より面白くなければならない

誰もが悩む二幕の展開部。
なぜ悩むのか、どうすれば面白くなるのだろうか。


おそらくだけど、
一幕と三幕を先に思いつき、
二幕をあとづけでつくっているからだと思う。

そういうときは多分、
一幕が一番面白くて、
三幕が次に面白くて、
最後に二幕の順番になると思う。
だからつまらないともいえる。
一番面白くないパートだからね。

で、
まず目標は、
一幕より二幕が面白くなろうぜ、
ということなのだ。

そんなことわかっている、というかもしれない。
しかし二幕は一幕の倍の長さがあり、
なにしていいかわからない、非常に難しいパートだ。
一幕を書いた時点で、
たいていエネルギー切れになり、
一幕よりもつまらなくなってしまうのだ。

じゃあどうすればいいのだろう?

他の名作を参考にするとよい。

極端にいうと、
漫画の、一話以外はすべて二幕である。
クライマックスの最後の決戦を除く、
9割(以上?)はすべて二幕だ。

その、漫画の面白い部分を分析するとよい。
何が起こっているのか?
どういうのが展開の例なのか?
何をしたら面白いストーリーになるのか?

いろいろあるだろう。
トーナメント展開でもいいし、
誰かが死ぬ展開でもいいし、
浮気される展開でもいいし、
誰かが怪我をして機能しない展開でもいいし、
ライバルに圧倒される展開でもいい。
謎が次々に明かされていく展開でもいい。

とにかく、
好きな展開を調べよう。
どういうのが面白いんだっけ。
面白そうなキャラクターが出てくるのがいいんだっけ。
そのあとにいろいろなことが起こるのが面白いんだっけ。
なんでもいい。

そういうものを書けばいいだけだ。

二幕はストーリーの本体である。
一幕や三幕が本体ではない。
そのことを考えておくべきだ。
「そのストーリーはどこが面白い?」といったとき、
二幕のことがないならば、
それはストーリーとしては、そんなに面白くないストーリーの場合が多い。
なぜなら、
一幕は「満足への期待」にすぎず、
三幕は「満足したことの確認」に過ぎないからだ。
その間の何かで満足しないと、
面白かったストーリーにはならないわけである。

厄介なことに、
面白いストーリーは、自分が夢中になってしまい、
冷静に分析できないことが多い。
だから、
とりあえず夢中になったストーリーを持ってきて、
なにが起こったか、だけを書き出すとよい。
トーナメント展開が面白かったら、
「トーナメント展開」とだけ書けばよい。
「死んだはずの兄を見つける展開」でもいいし、
「敵の弱点を知っている人に会いに行く展開」でもいし、
「双方の陣営の橋渡しをする展開」でもいいぞ。

なんでもいい。
面白さをあなたの言葉にする訓練だ。

そして、そういうものが10本でも20本でもたまってきたら、
あなたのストーリーでそれをできないか、
考えるとよいだろう。

どんなストーリーでもトーナメント展開は無理があるだろうが、
「隠されていた秘密が暴かれる」展開や、
「絶体絶命に思われたが、大逆転のヒントを見つける」展開、
「死力を尽くして頭脳合戦する展開」、
「運命のライバルに出会う展開」などは、
大体どれでも行けるだろう。

面白かったその展開の例はすでに名作にあるから、
そのままパクるのではなくて、
構造を利用するといいわけだ。
言葉にするのはそうした理由だ。
そのままコピペするのではなく、まったく違う展開になるからね。

「運命のライバルに出会う展開」と言葉で書いておけば、
ディテールはまったく元ネタと違う展開を考え付くだろう。
元ネタがちらついていると、
それをそのままパクりがちだから、
いったんそれを脱構築して、言葉に還元しておくのがコツだ。


どん展開でもいい。
面白い展開を考えよう。
ネタは、あらゆるところに転がっている。
「まさかああいう展開になるとは思わなかった」やつや、
「この展開待ってました!」となるやつを、
いろいろ探して、ストックしておくのだ。

今このストーリーで使えそうなのは、
どういう展開?

ジャンプで新連載が始まったとき、
アンケートで、
今後どのような展開を望みますか?
ってのがあったよね。
「それはいらんやろ」から、「まあ順当」まで、
いろいろな例が提示されていたと思う。
そんな感じで、
どんどん展開の例を考えておくとよい。
「死んだと思われた父を探していく展開」
「恋愛メインの展開」
「ライバルに追い抜かれ、抜き返す展開」
など、いろいろなパターンがあったと思う。
そのアンケートのパターンを拾うだけでも勉強になるかもね。


一幕なんて、
所詮二幕のための準備に過ぎないのですよ。
面白い展開こそが、
ストーリーの本体であることは、自覚しておいたほうがいいよ。

「男と女の中身が入れ替わってしまったことでおこる、
ハチャメチャコメディ」
という一幕を考えたとしよう。
じゃあ二幕はそのハチャメチャが本体だよね。
それを考えないと意味がないわけだ。
入れ替わるまでが一幕で、
もとに戻るのが三幕なんだから、
その間は、ハチャメチャをやるのである。
それがそのストーリーの本体になるはずだ。

一幕や三幕を思いついても、
二幕が書けないやつは、
ストーリーがなんたるか、まだわかっていないとすらいえる。

まずその本体を面白くしろ。
逆に、そこに入るにはどう誘導したら面白いか考えて一幕をつくり、
それがどう決着したら満足するかを考えて、
三幕をつくったっていいんだぜ。

ドラゴンボールの本編があったとして、
どうやって旅に出るかの一幕を新しく考えて、
それがどうやって完結するのか、
完結編を考えて三幕にしてもいいんだよ。

一幕と三幕は、二幕ありきで逆算してつくることができる。
すでに本体があるからね。

本体もないくせに、
一幕と三幕だけあっても、
なかなか受肉しないと思うよ。

本体を考えよう。
それをひとつも考えていないから、
二幕が思いつかないのだ。
posted by おおおかとしひこ at 01:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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