あなたが「うまい!」と思うアイデアを、
収集するのである。
アイデアマンにならなければならない。
シナリオというのは複雑な構造であり、
それを突破するにはアイデアが必要だ。
あることを素直に実現するのは難しいから、
アイデアでバイパスをするのである。
ところが、生まれながらにしてアイデアマンである人以外は、
なかなかアイデアを思いつくことはない。
だが安心して欲しい。
あなたは発明家ではないので、
この世になかった、まったく新しいアイデアで、
その状況を突破する必要はない。
使えるアイデアはたくさん転がっているので、
それを利用すれば良い。
だから、アイデアを日々収集するのである。
注意するべきは、
あなたが集めるべきアイデアは、
まずシナリオのそれであること。
シナリオ以外のアイデアも勉強になるが、
まずあなたはシナリオで使われるアイデアに慣れ親しみ、
それからよそを見るべきだ。
何から集めるべきか?
「あなたがうまい、と思ったものから順番に」
である。
アイデアだけを抽出することはたいへん困難である。
だからまず、目立つものから順番で良い。
「死んでたと思ったら生きてた」でもよい。
「この世界は仮想世界だったのだ」でもよい。
最初は大がかりなアイデアが目立つから、
それから集めるとよいだろう。
アイデアを自分のものにするコツは、
そのアイデアを日本語で書くことである。
他人の言葉で書くべきではなく、
自分の言葉で書くべきだ。
なぜなら、今からそのアイデアを、
自分のものにするためだ。
まずそのアイデアを、
自分の言葉で表現してみなさい。
つたなくてもいいから、その具体を見なくてもわかる、
自分の言葉で書いてみなさい。
そしてそれが、なぜ「うまい!」と思ったかを書きなさい。
あることをアイデア一発で突破してることを、
分析してみるわけだ。
そして、
それがもし平凡なアイデアによる突破、
つまりよくあるやつだったら、
どれだけつまらないか、予想して書いてみなさい。
その、平凡から「うまい!」の差分が、
そのアイデアが成し遂げたアイデア力である。
このようなものを沢山書き留めるのだ。
アイデアノートとはちょっと違うね。
アイデア収集ノートを別につくるべきだね。
いくつ集める?
10じゃ応用が効かないだろうね。
30?50?200?
数日じゃ無理だから、何ヶ月もかかるだろう。
大量に摂取するのに便利なのは、
映画を一本見ることだ。
そこで使われていた「うまい!」と思うアイデアを、
収集ノートにメモするのだ。
最初は一個や二個抽出するだけで精一杯かもしれないが、
慣れてくると、
「あれのあれはよかった」
「あれは秀逸」
ともっと思い出せるようになる。
また、一度書いたタイプのアイデアを、
新しく抽出する必要はない。
「この世界が仮想世界だったのだ」を一回書いたら、
マトリックスみたあとにダークシティーを見ても、
同じことは書かなくて良い。
むしろ、マトリックスにはなくて、
ダークシティーにあるアイデアを抽出するとよい。
こうすることで、
大きなアイデアから、
小さなアイデアまで集めることができるぞ。
普段こうやって集めていると、
困ったときに思い出せるのだ。
「アレのアレを応用すれば、
コレを解決できるのでは?」とね。
僕が未だに助けられるアイデアは、
「煮詰まったとき、突然電話がかかってくる」
というやつ。
これはドラマ「高校教師」を見てメモしたやつ。
1993年なので、その時から使わせてもらっている。
このことによって事態が前に進み、
膠着を逃れられるからね。
そういえば「トップガンマーヴェリック」でも、
変形的に使われていた。
マーヴェリックとグースJr.がもめているときに、
教官がなぜかやってきて、
アイスマンの死を告げるシーンだ。
電話じゃなくて直接知らせに来たわけだが、
「膠着したときに電話」のアイデアと同一である。
電話(知らせ)の内容さえ先に考えておけば、
わざと膠着に持っていく、
という「つくり」すら考えることさえ可能だね。
「高校教師」のころは昔の黒電話だったから、
ちょっとびっくりして怖かった。
今のスマホのバイブじゃ、
ビクッとする感じはあんまり出ないよね。
さらに応用すれば、
「廃墟探検したとき、
そこに残っていた黒電話が突然鳴る」
というホラー場面をつくることができるよね。
そう、アイデアは応用してなんぼである。
そのまんま使うのはパクリで、それはいつかバレる。
オリジナルであればあるほどね。
そうではなくて、
「応用の効くようにメモっておく」が大事なんだよね。
そうすれば、
いつでも応用できるわけだ。
そのアイデアのひとつの具体例が、
収集したその場面にすぎない、
みたいになっていると、理想だね。
この収集ノートのいいところは、
時々読み返して、忘れてるアイデアを思い出せることだ。
困った時のアイデアレシピ本ってかんじだ。
昔僕はこんなのを作っていたが、
引越しの時に散逸してしまいもったいない…
アイデアマンにならなくていい。
アイデアを探せる人になればいい。
そして、アイデアを応用できる人になればいい。
たとえば、
「私は愛されていたのだと、残されたアイテムで知る」
なんてのは百万回使われたアイデアである。
これ以外に「私は愛されていたのだと知る」
方法ってあるかなあ、と考えて、
「あれはどうだろう」と応用できるか、
というのが、
次のアイデアを連れてくる。
なんなら、突然黒電話が鳴り、愛してると伝えられてもいいのだ。
今どことも言わずに電話は切れ、
次の日その人が死体としてあがる、そこからはじまるストーリー、
なんてのへ応用するわけである。
それが、
他所から見たらアイデアマンに見えているだけなんだよね。
2022年06月02日
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