古流剣術とタイピングの共通点。
古流剣術を仕事で(半分以上趣味で)調べている。
日本刀という武器を、
どのように使うかという点で、
日本人は変態的な創意工夫をたくさんしている。
その代表的なものが、
「手の内」だ。
日本刀は真っ直ぐな棒でも板でもなく、
反りがあって重心位置があって、
持つべきところも一定ではない形をしている。
そこをグッと持つのか、触れるように持つのか、
どの指を曲げるのか、どの指を伸ばすのか、
右手と左手はどれくらいあけるのか、
持ち手のどの辺を持つのか、
で、
各流派がほとんど違うんだよね。
だからメインになる構えも違うし、
そこから繰り出される太刀筋も違う。
遠くに届かせるのか、
近くを切るのか、
表に行くのか裏に行くのか、
防御が先か攻撃が先か、
なんて目的も各流派で異なり、
そのやりやすい手の内になっている。
江戸時代には「定寸」という、
柳生新陰流の刀に規格化されたが、
その前は各流派ごとに刀の形は違っていて、
定寸でない剣に固執する流派もあった。
(長刀を使うので有名な柳剛流など)
もうほとんど、
キー配列と自作キーボードみたいだ。
日本人は古来から手が細かく、
こうしたこだわりを持ってたんじゃないかなあ。
キー配列においても、
文字配列やシフト方式、
機能部分を入れ込むかどうか、
動線をどのように考えたか、
長文目的か速度目的か、
規格化キーボード前提なのか、
もっと広い範囲なのか、
特殊なキーボードがベストなのか、
などの違いがあり、
古流剣術のように百花繚乱といえようか。
僕が配列というものに興味をもったとき、
これは「手の内」の問題ではないかと思ったんだよね。
手をどう使い、どう動かすのか、
そもそもどう構えるのか、
みたいなこと。
それで当時のスタンダードであるところの、
qwertyローマ字の手の内を勉強して、
「これがベストなわけないやん」と思って、
「もっとまともなのつくったれ」と思ったわけだ。
カタナ式と武器の名前をつけたのは、
手の内のことと関係しているという無意識が作用している。
その後にいろんな配列があることを知り、
それぞれに古流剣術的な、
手の内の異なる配列があることを知る。
左右同時打鍵系、親指同時打鍵系、
前置シフト系、連続シフトありなしなどなど。
文字の配置の考え方(太刀筋)も、
全然違うものであった。
未だに納得がいかないのは、
親指シフトの句読点と「う」「ん」が小指にあることで、
小指を壊さないんだろうかと思う。
僕はこの手の内と太刀筋は全然使えないし、
合理的だとも思えない。
(qwertyよりはまし)
薙刀式が、カタナ式に続いて、
武器の名前を冠しているのは、
やっぱ手の内のことをやってる意識があるからだね。
キーキャップの形や材料も、
手の内に直接関係あるし、
スイッチや物理も手の内のことだ。
だから僕は、納得のいくまで自作キーボードと、
論理配列をいじるのだろう。
で、本題なんだけど、
こうした「手の内の感覚」というのは、
とても言葉にしづらいんだよね。
その配列である程度打てるようにならないと体感できない。
使い手ならば、
○○配列が打ちやすい文章、
打ちづらい文章なんてのが、
打つ前に分かるものだけど、
それ以外には、
呪文が並んでるような配列図しかないから、
とんとわからないんだよね。
なので薙刀式では、
主要連接と称してアルペジオの図で可視化してみたんだけど、
それが薙刀式の手の内の感覚をものすごく表してるか、
というとそこまででもなくて、
「この感覚」をどう表現したら「わかる」まで行くのか、
日々考えてしまう。
格闘ゲームにおける、
キャラの操作感の違いとかを例に出すけど、
格ゲーやってないとわからないよねえ。
間合いもテンポも戦略も勝負どころも、
手の内も全然違うんだよね。
バイク乗りや車乗りもたぶん分かってくれるだろう。
この手の内の感覚の差は、
言葉にもしづらい微妙な感覚だ。
動画じゃ早すぎてわからんし、
遅い動画じゃ意味ないし、
なんかいいアイデアはないものか…
古流剣術の手の内の違いは、
実際に日本刀を持って振ってみることで理解できる。
それぞれの配列の使い手は、
20〜30字程度の、その配列の手の感覚がわかるような、
例文を作ってみてはどうだろう。
薙刀式だと、
「薙刀少女のアイデンティティー」かなあ。
【】をセンターシフト、()を同時打鍵として:
なぎなたしょうじょのあいでんてぃてぃー
M(WJ)MN(RI)L(RJI)【J】JK(EJ),(EMI)(EMI);
同時打鍵でガリガリ文字が進むし、
アルペジオが効いてて気持ちいいよね。
文章でよくあるパートでなくてもいいと思う。
よくありそうなやつなら、
そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない。
BLF【I】R/MKR【V】BL(RHJ)MKF【I】R/MK【M】
こうあるべきだとおもうんだけど、なかなかむずかしいね。
VLJI(FP)W(FN)D【NK】L,(FN)S(DJ)【V】
MFMF【,】(FO)FRK【RM】
なんてかなり早く打ててたのしい。
3個くらいのこうした「手の内体験例文」
(とqwertyでの対応表)があると、
合うものを探してて、比較したい人の役に立つかもしれないね。
これをガッと打ってみるとわかるからね。
複数の配列使ってたら比較しやすいんだが、
僕は薙刀式しか深くわからぬ。
あとはできる人おねがいします。
2022年05月19日
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