2022年05月19日

【薙刀式】手の内と太刀筋

古流剣術とタイピングの共通点。


古流剣術を仕事で(半分以上趣味で)調べている。
日本刀という武器を、
どのように使うかという点で、
日本人は変態的な創意工夫をたくさんしている。

その代表的なものが、
「手の内」だ。
日本刀は真っ直ぐな棒でも板でもなく、
反りがあって重心位置があって、
持つべきところも一定ではない形をしている。

そこをグッと持つのか、触れるように持つのか、
どの指を曲げるのか、どの指を伸ばすのか、
右手と左手はどれくらいあけるのか、
持ち手のどの辺を持つのか、
で、
各流派がほとんど違うんだよね。

だからメインになる構えも違うし、
そこから繰り出される太刀筋も違う。

遠くに届かせるのか、
近くを切るのか、
表に行くのか裏に行くのか、
防御が先か攻撃が先か、
なんて目的も各流派で異なり、
そのやりやすい手の内になっている。

江戸時代には「定寸」という、
柳生新陰流の刀に規格化されたが、
その前は各流派ごとに刀の形は違っていて、
定寸でない剣に固執する流派もあった。
(長刀を使うので有名な柳剛流など)

もうほとんど、
キー配列と自作キーボードみたいだ。

日本人は古来から手が細かく、
こうしたこだわりを持ってたんじゃないかなあ。


キー配列においても、

文字配列やシフト方式、
機能部分を入れ込むかどうか、
動線をどのように考えたか、
長文目的か速度目的か、
規格化キーボード前提なのか、
もっと広い範囲なのか、
特殊なキーボードがベストなのか、

などの違いがあり、
古流剣術のように百花繚乱といえようか。


僕が配列というものに興味をもったとき、
これは「手の内」の問題ではないかと思ったんだよね。
手をどう使い、どう動かすのか、
そもそもどう構えるのか、
みたいなこと。

それで当時のスタンダードであるところの、
qwertyローマ字の手の内を勉強して、
「これがベストなわけないやん」と思って、
「もっとまともなのつくったれ」と思ったわけだ。

カタナ式と武器の名前をつけたのは、
手の内のことと関係しているという無意識が作用している。

その後にいろんな配列があることを知り、
それぞれに古流剣術的な、
手の内の異なる配列があることを知る。

左右同時打鍵系、親指同時打鍵系、
前置シフト系、連続シフトありなしなどなど。

文字の配置の考え方(太刀筋)も、
全然違うものであった。
未だに納得がいかないのは、
親指シフトの句読点と「う」「ん」が小指にあることで、
小指を壊さないんだろうかと思う。
僕はこの手の内と太刀筋は全然使えないし、
合理的だとも思えない。
(qwertyよりはまし)


薙刀式が、カタナ式に続いて、
武器の名前を冠しているのは、
やっぱ手の内のことをやってる意識があるからだね。

キーキャップの形や材料も、
手の内に直接関係あるし、
スイッチや物理も手の内のことだ。
だから僕は、納得のいくまで自作キーボードと、
論理配列をいじるのだろう。



で、本題なんだけど、
こうした「手の内の感覚」というのは、
とても言葉にしづらいんだよね。
その配列である程度打てるようにならないと体感できない。

使い手ならば、
○○配列が打ちやすい文章、
打ちづらい文章なんてのが、
打つ前に分かるものだけど、
それ以外には、
呪文が並んでるような配列図しかないから、
とんとわからないんだよね。


なので薙刀式では、
主要連接と称してアルペジオの図で可視化してみたんだけど、
それが薙刀式の手の内の感覚をものすごく表してるか、
というとそこまででもなくて、
「この感覚」をどう表現したら「わかる」まで行くのか、
日々考えてしまう。

格闘ゲームにおける、
キャラの操作感の違いとかを例に出すけど、
格ゲーやってないとわからないよねえ。
間合いもテンポも戦略も勝負どころも、
手の内も全然違うんだよね。
バイク乗りや車乗りもたぶん分かってくれるだろう。

この手の内の感覚の差は、
言葉にもしづらい微妙な感覚だ。
動画じゃ早すぎてわからんし、
遅い動画じゃ意味ないし、
なんかいいアイデアはないものか…

古流剣術の手の内の違いは、
実際に日本刀を持って振ってみることで理解できる。

それぞれの配列の使い手は、
20〜30字程度の、その配列の手の感覚がわかるような、
例文を作ってみてはどうだろう。



薙刀式だと、
「薙刀少女のアイデンティティー」かなあ。

【】をセンターシフト、()を同時打鍵として:
なぎなたしょうじょのあいでんてぃてぃー
M(WJ)MN(RI)L(RJI)【J】JK(EJ),(EMI)(EMI);

同時打鍵でガリガリ文字が進むし、
アルペジオが効いてて気持ちいいよね。

文章でよくあるパートでなくてもいいと思う。

よくありそうなやつなら、

そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない。
BLF【I】R/MKR【V】BL(RHJ)MKF【I】R/MK【M】

こうあるべきだとおもうんだけど、なかなかむずかしいね。
VLJI(FP)W(FN)D【NK】L,(FN)S(DJ)【V】
MFMF【,】(FO)FRK【RM】

なんてかなり早く打ててたのしい。


3個くらいのこうした「手の内体験例文」
(とqwertyでの対応表)があると、
合うものを探してて、比較したい人の役に立つかもしれないね。
これをガッと打ってみるとわかるからね。

複数の配列使ってたら比較しやすいんだが、
僕は薙刀式しか深くわからぬ。
あとはできる人おねがいします。
posted by おおおかとしひこ at 15:11| Comment(0) | TrackBack(0) | カタナ式 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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