2022年05月27日

【薙刀式】End Game Now

オールコンベックスキーキャップ、オールクリアアクリル製。
これは大幅にエンドゲーム………!!
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そもそもコンベックスにしたのは、
撫で打ちを全体でなく部分でやるためだ。
サドルプロファイルでは全体を球のように考えたが、
これはキー単位で球のようになっている。
(もちろん平たくつぶれていて、
撫で打ちの角度にあわせている)

当然、上から突き刺し打つと突き指になる。
だから指を寝かせて、指の腹で撫でるのが正解。

点で文字を打っていくときは辛い。
しかし薙刀式のように、
アルペジオで文字が繋がるように打てると、
急に気持ち良くなる。
(ためしにこれでqwertyを打ってみたが、
僕の練度の違いもあり、
全然撫で打ちにならず苦痛であった)

撫で打ちといっても色んな角度を撫でるのがいいみたい。
特に奥半球を撫でるイメージだと突き指しにくい。


なので、
すべての打鍵メソッドには対応しない。
薙刀式の「続け字のような」撫で打ち打鍵スタイルに、
特化したキーキャップである。

MX系ではもっとも低い、
DSAより約2mm低い。
このため、キーボード全体がとても低く感じて、
撫で打ち感覚に最適だ。


懸案の親指キーは、
1.25Uにすることで広めに親指を捉えて、
手前に傾けて平面回転することで、
親指の向きになんとなくあった。
厳密には合ってないが、
それが適度な姿勢的寝返りを打つので、
ちょうどいいと考えている。

普通のキーのように側面にも当たっていないから、
痛くなることはない。
サドルプロファイルの指の腹に当たるのに比べると、
やや側面よりだけど、
これはもうそういうものとして、
そう打っていくという考え方だ。


4指の高さをここにキープしようとすると、
指の腹で親指を捉えるためには、
どう斜めにしてもうまくいかなかった。

4指の平面より高いと手が捻れてしまいよくない。
親指を斜めにキープするとキーキャップの底面がスイッチに干渉するため、
ステムから遠ざけるしかない。
そうすると親指をだいぶ開かないといけなくて、
薙刀式の運指がしづらくなる、
というトレードオフがある。

結局、親指のスイートスポットを諦める
(とはいえ平面キーキャップよりかなりマシ)ことで、
低い位置に当たり、
なおかつ近い位置に親指がいるような感覚をつくることができた。


そしてなによりこの打鍵感は、
アクリルという素材の良さによるものだ。

ツルツルで柔らかく、
粒度が細かい素材ゆえに、打鍵の解像度があがる。

他の何に近いんだろ。
硬めのコンニャク?
コンニャクほど柔らかくはなく、
あくまで個体だけど、
アクリルの微妙なしなりが振動を吸収して、
表面の滑りが撫で打ちを加速する。

(DMMからプリントされたものを、
#400と#2000で磨いた。
なお中段キーと親指キーは裏面も含めてコンパウンドで磨いている。
他は天面のみ)

ただ滑るだけだと固い素材になってしまうところ、
微妙にしなってくれるのがかなりよい。


PBTでは得られない打鍵の解像度。
私はこれを細かいレベルで支配している、
という感覚は、アクリルならではだ。
(ぜんぶで2万をこえるお値段です…)

たとえばガラスでこの形を作ったらどうなるんだろ。
それはそれで興味深そう。
(まだ民間で気軽に利用できるレベルではないっぽい)



スイッチはエンドゲームスイッチと思われる、
Everglide Tourmaline V2.5。
POM(ウムピエっぽいんだけど?)系ステムが滑り、
PCぽいボディがぐらつかない。
(素材非発表なので推測)

なによりボディの形(内側)に工夫があり、
ステムとの接触を線になるような工夫がたくさんある。
(Everglide製が全てそうかは未検証)
このおかげで、イニシャルの沈み込みがめちゃくちゃ早い。

バネは2ステージのロングスプリングに交換。
初動が重く粘り、後半真空のようにストンと落ちる。
いわゆるスローカーブで、
初期の力でそのまま進むリニアや、
後半グッと重くなるプログレッシブに比べて、
ペン先で文字をグッと書き、抜く感覚に近い。
この抜き感が重要かも。

強い中指は48g(Durockのロングスプリング)、
その他は37g(Tecsee)。
親指のみ、ホールドが多い薙刀式用に、
リニアの35S(Sprit Designs)を使っている。

底部のクッションにシリコンシート0.5mm厚を、
シリコン系接着剤(手芸用)で接着して、
強い打鍵のときの底打ちに対応している。
軽いバネのときはやった方がいいと思う。
独特の粘り感になるし。

トップハウジングのステム両肩が当たるところは、
シリコン接着剤を固めて静音化している。

全体にKrytox 205 g0でルブしてある。
でもまだ、
・時々カサつくこと
・たまにバネ鳴りがあること
に遭遇するが、
この条件がよくわかっていない。
実用上はまあ大丈夫。



MiniAxeのボディは、
トッププレートとPCBの間に、
自作ナイロン製のミドルプレートを挟んである
(ポスカで着色)。
ぼんやりした打鍵感から、ソリッドではっきりした打鍵感になる。
側面はジリコテ(シャム柿)4mm厚を用いた自作ケース。
密度の高い木材なので、加工が大変だが重く、
打鍵が安定する効果がある。

ボトムプレートとPCBの間に、
カカトジェル(キャンドゥ)を挟んであって、
PCBの振動を吸収する仕組みにしてある。



すべては、
薙刀式を打つのにベストなキーボードを、
追い求めての結果である。
これ以上良くなるアイデアが今のところない。

3Dキーボードの開発は、
これが良いのでストップしたままだ…
どっちがいいか、慣れてきた頃決勝戦かもしれない。




ちなみにこのキーボードの実物は、
6/3、4、秋葉原のDMM.make3Dプリンタ活用展にも、
出品予定。(入場無料です!コロナ対策で一人90分まで)

会場で触れるので、触りたい人は是非お越しください。
(サドルプロファイル、バビロンも展示予定)
僕も常時います。

自キ組はほかに、yfukuさんがGravity Keycapを展示するよう。
Claw44の3Dキーキャップも?
触り比べできるぞ!

その後遊舎工房に寄ったり、
秋葉ヨドバシのキーボードコーナーはどうでしょう。
https://dmm3dpkatuyouten.peatix.com/
posted by おおおかとしひこ at 15:57| Comment(0) | TrackBack(0) | カタナ式 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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