もちろん、qwerty印字で多少の混乱が入るのは計算に入れるとして。
ブラインドタッチなら秒5で打てるくせに、
サイトメソッドで片手で拾い打ちをしようと思うと、
まったくだめだ。秒1より落ちる。
キーの把握の仕方が、
全く違うようだ。
おやつを食べながら、
qwerty印字ありのパンタグラフを、
片手で打てないかなとやってみたが、
話にならなかった。
空間の把握の仕方が全く違うことに驚いた。
ブラインドタッチの場合、
構えた両手の不動位置が基準位置であり、
「それぞれの指の相対位置」で把握している。
基準位置が一個右にずれてたら全部等しく間違うだろう。
だから一体型を打つのが苦手。
左右分割なら手の幅にしかキーボードがないから、
自然と両手位置が決まるんだよね。
サイトメソッドだと、
基準位置を1列8キーも見れない。
いっぺんに視界に入らないし、
人間は一度に8文字を認識できない。
しょうがないのでFJ位置を基準にしようと思うと、
FJが並んでいないことに気づく。
つまり視界には、
FGHJが入る。
これは見づらい。
GHがホームポジションなら、
かなり扱いやすいと思った。
FJは周辺視野でみれば、
わりと集中できる。
ところが薙刀式は、GHにはマイナーなものを置いてある。
ブラインドタッチでは当然だね。
だから、ちぐはぐがずっとつづいて、
おやつを諦めることになった。
フランスの映画
「ミスターノーバディー」で、
「ホームポジションをFとHに取る」
というのを見たことがある。
そのときは「FJじゃないんだ。フランス流かな」
と思っただけだったが、
これはサイトメソッドだな、と今ならわかる。
すなわち、
FGHの3文字なら見れる、というメソッドだと思う。
これはブラインドタッチと、
サイトメソッドの差を示す重要な事実だと考えられる。
サイトメソッドは、
隣接する三文字を視界に入れて、
視野を動かすことで文字を探す。
基準を仮にFGHとしよう。
ブラインドタッチは探さない。
8つのホームポジションから上下方向しか重要でない。
それぞれの指の担当を使うだけである。
サイトメソッドは8本の指を使わない。
視界に入った時に一番近い指を使うだけだ。
たとえば人差し指2本、中指を使っても4本、
ここに薬指が入るか入らないかくらいだろうね。
僕はサイトメソッド時代、Aが左人差し指か中指で、
残り全部をほぼ右手で取っていた。
SAなんか右人差し指→左人差し指だったりしたものだ。
視界にSAと入ったら、まず右手で取りに行くのは、
サイトメソッドなら当然ともいえる。
で、
実はサイトメソッドは「探す」ために、
自分の指が邪魔なんだよね。
印字が見えなくなるからね。
Aは左手で覆ってもまあわかってた。
その他は全部わからないから、
右手は浮いてたと思う。
休む時にJに置いてたかな。
で、今気づいたのは、
「マイナーなFJがホームポジションの理由」。
これ、マイナーなら指で隠してもOKだからでは?
それも、人差し指一本ずつで隠すのでは?
ということ。
標準運指がタイプライターの最初からあったとは思えない。
おそらくホームポジションのポッチもなかったろう。
おそらく偶然中央にある、
まあまあよく使うGHを中心にして、
それを指で隠さないようにして構えると、
マイナーなら指で隠してもええやろのFJに、
両手人差し指が乗るのではないか。
あとは全部の指をピアノの連想で使うとして、
自然と標準運指が形成されたのでは?
それとは別に、サイトメソッドオンリーで運用するために、
FHホームポジションが自然発生したのでは?
などと妄想した。
この仮説は検証できるのかな。
標準運指の教本ができる以前の話だよな…
で、
僕の興味は日本語なので、
「qwertyローマ字で、
ホームポジションに一番使わないFJがあるのはおかしい!」
という批判は、
サイトメソッドの人たちには全く刺さってないんじゃないか、
とすら考えたわけだ。
なんなら、「一番使わないのを指で隠してもOK、
これが一番使うAとNだったら、
尻の下に敷いてしまって『なくした』と思うようなものだ」
と批判されてしまうのではないだろうか?
ということは、
サイトメソッドでホームポジションに相応しいのは、
「、」「。」なんじゃない?
これなら隠してもまあわかるでしょ。
これを、FJ位置、ないしFHに置くのが、
サイトメソッド専用配列としていいんじゃない?
なんならGHに置いて、
人差し指伸ばしをやめて、
8列4段配列にする手もあるよな。
端の4個を使わなければ、
ブラインドタッチにもよさそう。
僕がNew StickneyやJISカナの根底にある、
「行ごとにまとめると探しやすい」という考え方を批判するのは、
サイトメソッドの考え方でブラインドタッチを作ろうとしてるからだ。
サイトメソッドならば、50音順が最強だと思う。
または、
GHから視界に入る順番で、頻度ごとに並んでいる、
中央頻度配列みたいなやつだろう。
ブラインドタッチの生理と、
サイトメソッドの生理はこのように異なるのに、
それを一緒にしてしまっているから問題だ。
いや、これは、
サイトメソッドから入ってブラインドタッチというものを、
マスターするための教材である、
ということならばなんの問題もない。
ところがこれを一生ものにするには、
ブラインドタッチの道具としては貧弱な気がする。
そもそも、
「ブラインドタッチそのものが、
国民の大半が使える状態」になるのだろうか?
そこもわからない。
自転車みたいにみんなができるものなのかしら?
qwertyはブラインドタッチそのものを学ぶには糞配列なので、
100人サンプルくらいで、
新配列で実験してみたいんだよね。
こうした実証を経ていない状態での、
「行ごとに固めて、サイトメソッドで探しやすく、
ブラインドタッチでも滑らかに打てる」
系統の配列って、
存在できる基盤があるかどうかわからないんだよね。
ブラインドタッチが出来る人が、
1/3くらいしかいないかもしれないからね。
だったら、
サイトメソッド最強の配列をつくったほうが、
よほど効率的だろう。
もし全員ブラインドタッチを、
二週間程度練習したらいける、ってわかったら、
月、薙刀式、新JISあたりが、
それくらいで使える配列だと思うよ。
キーボードをめぐる言説では、
ブラインドタッチなのか、
サイトメソッドなのかで、
実は使っている神経回路も、生理的感覚も、
まるで異なるのに、
時々これらは混同されながら理解される。
たとえば、
「配列図を丸暗記して打つ」
は、サイトメソッドから見た誤ったブラインドタッチの理解だ。
(正解は、指が個別に覚えているだけで、
配列図は脳で統合的に覚えていない)
あるいは、
「US配列のキーキャップは、JIS配列に使えない」
というのはサイトメソッド側からの意見だろう。
ブラインドタッチ的には関係ないし。
(キー数が4個足りないというならわかるが)
先ほど議論したように、
「FJは最も使うキーであるべき」というブラインドタッチの意見は、
サイトメソッドには理解し難いかもしれない。
カラムスタッガードなどエルゴノミクス系が爆発的に評価されないのも、
サイトメソッドでは使いにくいからだろう。
レイヤーキーによってFnや数字をホームポジションに置く、
ブラインドタッチで近い方が良いというやり方も、
サイトメソッドでは「ないと不安」になるに違いない。
すっかりブラインドタッチしかしてなくて、
サイトメソッドの生理を忘れていた。
これは、サッカーと野球どっちが強い?
くらいすれ違いがありそうだ。
2022年05月24日
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