ストーリーの大枠をコントロールして、
リライトするときに、
要素を分解して大掴みにとらえ、
それらを頭の中でいろいろ作り直すことは、
とても有効な手段である。
しかしそれから零れ落ちる、
大事な要素がある。それが感情移入だ。
僕は、
感情移入と共感はわけて考えている。
共感は「自分と同じものに感じるもの」
感情移入は、「自分とは違うが、それはわかるとなるもの」と、
区別している。
感情移入がうまくいくと、
最終的には主人公と一体化してしまい、
主人公に共感してしまうので、
感情移入と共感は、
最終出口が区別がつかなくなる。
違いは、入り口だと考えればいいと思う。
感情移入は、
立場と目的だけでできるだろうか?
それは履歴書のようなもので、
その人の心や感情や真意が入っていないのではないかな。
大掴みの要素だけで考えてしまうと、
ともすると、
履歴書の文面だけで人員配置をしてしまうことになる。
それは心が入らない。
なんでその人はそれがマジでしたいんだっけ?
という部分が抜けがちだよね。
(履歴書にもね)
その人の本気度とか、その人の切実度とか、
その人の感情の揺れとか、
それがわかってくると、
応援したくなる、
という感情が、感情移入である。
これは、大掴みの要素だけでは難しいところだ。
しかし、「妻が死んだ過去を持ち、人を避けている」
なんて大掴みの設定要素ならば、
「まあわかる」というくらいは可能だろう。
つまり、なるべく履歴書程度の情報で、
感情移入に至るように、
パーツをつくっていくことが大事だ。
モンタージュ理論によれば、
顔の表情や演技は、共感要素にはなるものの、
それが絶対必要ではないことがわかっている。
事情や立場の理解があるだけで、
たとえ無表情でも人は感情移入するのである。
だから、結局、
そういう風に大掴みの要素をつくっておくとよい。
僕は、それが真の設定だと思うんだよね。
眼帯を外すと超能力が出るとか、
最強の剣士だったが今は引退しているとか、
雑誌「〇〇〇」が好きとか、
真の設定じゃないんだよな。
そうじゃなくて、
「そういう事情や立場ならば、
そういう目的をもってもしょうがないし、
その気持ちは顔を見なくてもわかるよ」
となるように、
大掴みの要素をつくっておくべきだと思うんだよね。
それって、初手の大掴みの要素を考えるときではなくて、
だいぶ後半にやることになると思う。
(そして、初手からやってればもっと簡単につくれたのに、
なんて後悔するものだ)
要素を大づかみで頭の中で練るとき、
これらの要素をすべて頭の中で展開することは、
とても難しいと思う。
展開要素、
テーマ、
感情移入、
という三面で考えるしかないように思える。
それのチェックが甘ければ、
どこかが弱いものになるだろう。
(等しいバランスが最強とは限らない。
それはストーリーしだいだ)
2022年06月17日
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